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暫定税率

 一定の期間に限って本来の税率(本則税率)に上乗せされた税率の呼び名で、1974年にそガソリン税(揮発油税)など、76年に軽油引取税などに設定されました。当初は石油危機を受けて石油消費を減らし、道路整備の財源を得るために導入されましたが、その後も税金の使い道を変えたり、期限を限らない本来の税率(本則税率)に組み込まれたりしながら続いてきました。
 過去の販売価格が高騰した時にはガソリン税の暫定税率分の課税をやめる「トリガー条項」が発動されたこともありました。急激な価格の上下でガソリンスタンドなどが混乱したため、その後はこの条項も凍結され、石油元売りに補助金を支給してガソリン価格を抑制する方法が採られてきましたが、ガソリン税は2025年末、軽油引取税は25年度末で暫定税率を廃止することが決まりました。
 ガソリン税は国税の揮発油税、地方税の地方揮発油税に分かれており、本則税率による1リットルあたりの税額は28.7円(国税24.3円、地方税4.4円)です。これに暫定税率(国税24.3円、地方税0.8円)25.1円が上乗せされ、ガソリン税は1リットルあたり53.8円となっています。

 実際のガソリン代にはさらに石油石炭税や地球温暖化対策税が加わり、最終的に消費税が課されて、販売価格の4割程度は税金が占めています。暫定税率の廃止によって、ガソリンの販売価格は11月はじめと比べると1割程度下がるとみられています。廃止にあたっては、補助金が廃止分と同じ税額まで段階的に増額され、急激な販売価格の上下による混乱を避ける方法がとられます。
 1リットルあたり32.1円が課せされている軽油引取税についても、ガソリン税と同じ方法で1リットルあたり17.1円の暫定税率が廃止されます。軽油引取税はすべてが地方税で、地方自治体予算の補正を防ぐため、廃止時期は26年度の初めとされますが、販売価格は補助金の増額によって25年12月には廃止後と同じレベルまで下がるとみられます。ただ、軽油引取税は暫定税率分には消費税が課税されず、補助金廃止による本体価格上昇の影響が大きいため、暫定税率廃止による値下げ効果はガソリンより小さいとみられています。

 第一生命経済研究所の試算では、ガソリン暫定税率の廃止は車を持っていない世帯も含め、年平均で7600円程度の負担減になるとみられます。軽油引取税の暫定税率の廃止も公共交通機関や物流コストの下落につながり、物価上昇を抑制する効果が期待されています。
 一方で、ガソリン税で年に約1兆円、軽油引取税で年に約5000億円とされる暫定税率廃止による税収減をどう手当てするか、ははっきりしません。燃料価格が安くなると消費が増えるため、カーボンニュートラルをめざす国際的な潮流に反するのではないか、という指摘もあります。

(読売新聞東京本社編集委員 丸山淳一)