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中立金利
景気を刺激もせず、冷やしもしない中立的な金利水準をいい、中央銀行が中央銀行が物価や景気の現状を見て上げ下げする政策金利を決める重要な判断材料のひとつとされています。予想される物価上昇率と、インフレの要素を含まない実質の金利である自然利子率を足しあわせて算出します。
政策金利が中立金利を上回ると金融引き締め、下回ると金融緩和となります。中央銀行が政策金利を引き上げていく利上げ局面では、中立金利が高い場合は利上げの余地は大きく、中立金利が低ければ、利上げは限定的ということになります。
予想物価上昇率は、多くの先進国が安定した物価上昇率の目標としている2%を使って算出するのが一般的ですが、自然利子率は直接観測することができません。人口動態や労働生産性、潜在成長率により決まるとされ、各国の中央銀行がさまざまな推計を行っていますが、これが正しいという答えは見つかっていません。
米連邦準備理事会(FRB)は中立金利の水準は中央値が3.0%、推計幅は2.6〜3.9%としています。日本の自然利子率は過去の研究などから「マイナス1%から0.5%程度とみる見方が一般的です。日本銀行は、これに2%の予測物価上昇率を加えた「1〜2.5%の間」を中立金利と推計しています。
日本銀行は2025年12月、政策金利(翌日返しの短期金利の誘導目標)を0.5%から0.75%に引き上げました。政策金利はバブル崩壊以降ずっと地をはうような低水準で推移し、一時はマイナスにもなっていました。1%にも満たない水準とはいえ、0.75%になるのは30年ぶりのことです。
利上げ決定後の記者会見で日銀の植田和男総裁は「中立金利の下限にはまだ少し距離がある」と語り、さらに利上げを続ける方針を示すとともに、「(中立金利の)推計には相当なばらつきがある」とも述べ、「1〜2.5%の間」としている中立金利について、再推計する可能性にも言及しています。
中立金利の下限は1%ですから、日銀が再推計せずに0.25%を超える追加利上げを行うと、金融引き締めに一歩踏み出したともとられかねません。高市首相は日銀が金融引き締めに転じることには難色を示すとみられ、今後、日銀が中立金利についてどのような考えを示すか、注目されています。
(読売新聞東京本社編集委員 丸山淳一)