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ミニマムアクセス米

 ミニマムアクセスは、「最低限(ミニマム)これだけは輸入(アクセス)する」と国際的に約束した品目のことです。世界貿易機関(WTO)が自由貿易を推進するために定めた仕組みで、日本はコメを無関税で年間77万トン輸入しています。この仕組みで輸入されたコメは「ミニマムアクセス(MA)米」と呼ばれています。

 日本は国内の稲作農家を守るため、コメの輸入を厳しく制限してきましたが、多角的貿易交渉(ウルグアイ・ラウンド)で海外からコメ市場の開放を求められ、1995年から国内消費量の4%にあたる約42万トンのMA米の輸入を始めました。MA米の輸入量はその後、消費量の8%に相当する約77万トンに引き上げられています。

 MA米の輸入は政府が一元的に行っており、2024年度は主に米国やタイ、中国などから輸入されました。国内の稲作農家を守るため、輸入されたMA米のうち主食用に回すコメは最大10万トンに制限され、残りはみそや焼酎、米菓などの加工食品用、牛や豚の飼料用のほか、海外援助用にも使われています。

 99年からはMA米以外のコメの輸入が関税化され、関税を払えばだれでもコメを輸入できるようになっています。関税の税率は重さに応じた従量制で、1キロ当たり341円と高額ですが、米価が急上昇した「令和の米騒動」の影響で、高い関税を払ってもコメを輸入する業者が増え、2025年は1~6月の上半期だけで、約4万トンのコメが輸入されました。

 7月に合意した日米関税交渉で、日本政府は米国からの調達を増やすことを約束しました。8月下旬の時点ではどのくらい増やすのか明らかにしていませんが、小泉農相は「MA米の範囲内で米国産の割合を増やすが、輸入総量77万トンや主食用米10万トンの上限は変わらない」と説明しています。

 一方で米国政府は「日本は米国産のコメの輸入量を75%増やす」と発表しています。2024年度の米国産MA米の輸入量は約35万トンなので、75%増えると約60万トンに増える計算となります。MA米の上限が変わらなければ、米国産が25万トン増えた分は、タイなどからのMA米が25万トン減ることになります。

 ただ、今は日本のコメ価格は高止まりしており、関税を払って輸入しても売れる状態になっています。MA米から締め出されたタイなどのコメが、民間輸入で日本に入ってくるかもしれません。コメ高騰を受けて大量に放出された備蓄米の穴を埋めるため、MA米の主食用の用途を拡大して備蓄に充てることも考えられます。

 政府は1970年代から続いてきたコメの生産調整(減反政策)を見直し、増産にかじを切る方針を表明しましたが、それでも米国産に限らず、MA米を含む輸入米が存在感を高めていく可能性は否定できません。

(読売新聞東京本社編集委員 丸山淳一)