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ホーム > キャンパスナウ > 2016 錦秋号  Front Runner—活躍する若者—

キャンパスナウ

▼2016 錦秋号

Front Runner—活躍する若者—

学生生活のなかで身につけた視点や能力を生かして活躍している学生と若手校友をクローズアップして紹介するコーナー。
第11回は教育学部4年の真鍋安佳理さんと、名古屋大学大学院医学系研究科の栁川まどかさんにお話をうかがいました。

社会経験を生かし、老年科医として患者さんと向き合う

略歴はこちらから

栁川 まどかさん/名古屋大学大学院医学系研究科
地域在宅医療学・老年科学 助教 医学博士 医局長

 医学部がない早稲田大学。しかし、2016年1月に設立した稲門医師会には200人を超える医師や看護師の校友が所属し、全国で活躍している。栁川さんもその一人。36歳のときに国家試験に合格した。

 早稲田大学時代は、想像もしなかった現在の自分。当時、岡澤憲芙教授のもとで政治学を専攻し、後に政界やマスコミに進む個性の強い先輩にもまれながら、広い視野を身に付けた。恩師が常日頃から口にする「いつも心に地球儀を」や「迷ったらGO」という言葉は、判断に迷ったとき、いつも頭に浮かぶ。「学生時代に学んだことは、その後もずっと私の思考の基本ライン、土台になっています」

 卒業後は、学生時代にNHKでアルバイトをしていた経験を生かし、テレビのディレクターとして活躍。ドキュメンタリーや情報番組を手掛け、中でも「今日の健康」の番組制作に夢中になった。「一流の医師たちに出会い、医療を取り巻くさまざまな話をお聞きすることが楽しく、医療と社会が密接に絡み合っていることに関心を持ちました」

東海大学医学部時代のワセジョ3人組。今でも何かあれば相談できる同志。左から栁川さん、志田佳愛さん、寺尾まやこさん

 結婚を機に会社を退職。数年は夫の仕事を手伝っていたが、何か手に職を付けたいと考えるようになったのがきっかけだった。自分は何が好きだったか、今やりたい仕事は何か-考えた末、興味のあった医師を目指すことに。過去の試験問題の分析を重ね、見事一発で合格。32歳で東海大学医学部に入学した。同期には、偶然、ワセジョが3人いて、かけがえのない同志になった。「心強かったですね。当時、学士入学は通常6年のカリキュラムが4年に圧縮されていることもあり、日々の勉強量はかなりのものでした。早稲田大学時代の10倍は勉強して国家試験に臨みました」

 36歳で医師国家試験合格後、名古屋大学附属病院で臨床研修を開始し、その後老年内科に入局。研修医として全科を経験し、老年内科を選んだのは、ディレクター時代に取材し感銘を受けた医師が前指導教授だったという点も大きい。高齢者は複合的な問題を抱えている場合が多く、専門性だけでは適切な治療ができない。例えば、腎臓と心臓が悪く、さらに認知症もあるという患者さんの場合、どの治療を優先させるか、ゴールをどうするかを俯瞰的に考えなければならない。他科の医師、理学療法士、ケースワーカーと意見を交わしながら、治療をコーディネートする役割に、それまでの経験を生かしたいと考えた。

「患者さんのご家族に感謝されたり、他科の尊敬する先生に頼りにされたりすることが、やりがい。私を担当医師に、とお願いしてくれる患者さん、『先生、私を看取って』と言ってくれる患者さんもいるんです。老年内科の必要性をもっと高めて、患者さん一人ひとりに本当に必要な医療が行われるべきだと考えています」

 人生90年の時代、キャリアは「二毛作」にもできる、と栁川さん。「たぶん10年後には、私のようなキャリアは当たり前になるでしょう。大学も人生の間に何度も行き来する場所になるのではないでしょうか。私も、60歳くらいになったらまた新たな分野を学び直しているかもしれません」

 気負いなく仕事を語る栁川さんの姿は、キャリア形成はもっと自由であっていいことを教えてくれる。年齢や固定観念に縛られず、さまざまな世界で学び、活躍する早大生はこれからもっと増えるかもしれない。

栁川 まどか(やながわ・まどか)さん/名古屋大学大学院医学系研究科 地域在宅医療学・老年科学 助教 医学博士 医局長

愛知県出身。1993年3月早稲田大学社会科学部卒業。テレビ番組制作会社にディレクターとして勤務。2002年に東海大学医学部に学士入学。2006年に卒業後、名古屋大学附属病院にて臨床研修後、老年内科に入局。2015年より老年内科医局長。趣味は乗馬。定期的に通い、腕を磨いている。