早稲田大学の教育・研究・文化を発信 WASEDA ONLINE

RSS

YOMIURI ONLINE

ホーム > キャンパスナウ > 2014 新年号  SPECIAL REPORT

キャンパスナウ

▼2014 新年号

SPECIAL REPORT

人とロボットの幸せな未来へ

創立150周年(2032年)に向けた“Waseda Vision 150”の中で掲げる「国際研究大学」を目指し、日々、その活動を広く世界へ発信し、人類社会に還元している早稲田大学。
中でも人間型ロボットの研究は1970年に理工学部内の学科横断プロジェクトとしてWABOTプロジェクトを開始して以来40年以上の歴史を誇り、世界最先端の技術が日々開発されています。
人とロボットの共生を目指した早稲田の研究・技術の成果と課題をレポートします。

研究者鼎談

世界をリードするWASEDAのロボット研究

早稲田のロボット研究に携わる理工学術院の藤江正克、高西淳夫、菅野重樹の3教授※に、世界の平和と人類の幸福に貢献する“ロボット研究”、早稲田のロボット研究の展望について語り合っていただきました。

人間を追究する
早稲田のロボット研究

――研究内容を教えてください。

藤江 医療・福祉分野に関わるヘルスケアロボットを研究しています。そのひとつが手術支援ロボットです。特にがんの穿せんし刺治療においては、熟練の医師と経験の浅い医師では技術に差が出てしまいます。そこで熟練の医師の技術をロボットシステムで再現し手術をサポートします。脳・肝臓をはじめ、最近は乳がんや肺がんを研究しています。もうひとつはリハビリ用ロボットです。身体が不自由な高齢者が、楽しくリハビリできるように支援するもので、どちらも人間とロボットの共生が研究テーマです。

高西 1960年代に早稲田でスタートした2足歩行ロボット研究の流れを汲んだ人間型ロボットの2足歩行や走行を研究しています。また、感情・情動を表現するロボットを研究しており、2足歩行ロボットと組み合わせた全身でいろいろな感情を表現するロボットを研究しています。医療・福祉分野への応用研究には、すでに実用化された医療従事者のトレーニング用患者ロボットもあります。さまざまな病態を再現する人間そっくりの患者ロボットで十分に練習することで医療事故を防ぎ、医療の質を高めることができると考えています。

菅野 人間共存ロボットを研究しています。高齢化が進むこれからの社会で、人間の生活をロボットが支援するためには、安全性への配慮が不可欠です。ロボット自身が人間の動きに合わせることができるよう、人間の手のような器用さや巧みさを機能的に実現したいと考えています。その機能は、農作業や森林作業、建築現場などで使われる産業用ロボットにも応用できるでしょう。また、人間の“こころ”はロボットや機械に存在するのか、どこまで生きていることに迫れるかなど“究極のロボット”を追求することで、人間を解明しようとしています。これは高西さんも研究されていますし、早稲田のロボット系の研究室すべてが共通に持つ永遠のテーマです。

高西 そのためには僕はモデリングという視点が大切だと考えています。例えば言葉でモデルのイメージをつくりあげることで読者を感動させる小説のように、「感情」や「情動」を広角的な意味で“こころ”をモデル化しようと、文学部心理学教室の木村裕先生に教えてもらいながら研究しています。

世界標準に向けた早稲田の「体系的ロボット学:M-Robotics」

――早稲田のロボット研究にはどのような特徴があるのでしょうか。

藤江 正克/理工学術院教授

藤江 早稲田の特徴は産業用ロボットに特化しておらず、“人間”という分からないものを対象にしていることです。私の研究テーマである肝臓がんにしても、腫瘍のサイズや性質、症状は一人ひとり違います。ロボットシステムはそれらすべてに対応し、腫瘍をきちんと治療することで、患者さんが幸せに生きられるようにするという使命があります。

菅野 もうひとつ早稲田の誇りは、必ず自分たちでオリジナルのロボットをつくること。機械の体と動きは密接に結びついているため、コンピュータ上の計算だけでなく、実際にロボットをつくりシミュレーション通りに動くか実験します。早稲田には、材料を理解し、設計の基礎を固めた上でロボットをつくる教育・カリキュラムがあります。

高西 早稲田では実際にモノをつくって動かせることを世界中の研究者が知っているので、早稲田でこういう研究をしたいと世界の一流大学から人が来るのです。

藤江 文部科学省の採決を受けたGCOEプログラム「グローバル・ロボット・アカデミア」(2008~2013年)では、早稲田のロボット研究グループの教育を「体系的ロボット学:M- Robotics」として世界標準にしようと取り組みました。Web上に「RTPedia」という教科書を設け、実際にモノをつくり実験で採取したデータや理論などの研究内容を公開するものです。それにより、企業の研究開発が進展し、さらに高度な研究をしたい学生は歴史を踏まえて次のステップへ進められます。

菅野 2013年からは新たに「博士課程教育リーディングプログラム」が始まり、知覚情報システム研究室の小林哲則先生と私がコーディネートしています。学科も専攻も違う機械系と情報系が共同する精神は、「世界のロボット開発の父」と呼ばれた故加藤一郎先生(機械工学科)が人間型ロボット研究グループをスタートさせた1970年から脈々と続いています。

高西 当時は2足歩行のメカニズムが研究されていなかったこともあり、大腿部(股関節)と下腿部(膝の関節)と足部(足首の関節)の3つを持つ片足をつくって関節を動かすところから研究がスタートしたそうです。

藤江 早稲田は本当に協力しているよね。それで完成したのがWABOT(ワボット)-1号。それに続くエレクトーン演奏ロボットWABOT-2号がつくば科学万博で展示されて注目されました。

菅野 ロボットはあらゆるものを組み上げるシステムのようなもので、コンピュータや電気回路、機械の材料、設計など何でも知っていなければなりません。医学や心理学など他分野の知識も必要です。ロボット系の学生は、モノづくりを通してさまざまな知識を組み合わせる力を体得するのです。

高西 しかもロボットは必ずチームでつくりますから、コミュニケーション力やチーム力を高める方法が自然と身につきます。

“失敗体験”から学ぶことが大切

――教育で意識していることは何ですか?

高西 淳夫/理工学術院教授

COLUMN 

2足歩行ロボット「WABIAN」と
全身で喜怒哀楽を表現する「KOBIAN」

 「WABOT」の進化型が、高西研究室の開発した「WABIAN」です。腰部機構を活用することで、人間と同じように膝を曲げ伸ばしする歩行を実現させ、歩行支援機など福祉用具を開発するための人体運動シミュレータとしても活躍しています。また同研究室で開発された「KOBIAN」は、喜び、怒り、驚き、悲しみ、恐れ、嫌悪、通常の7つの感情を全身で表現でき、将来、人とロボットの円滑なコミュニケーションの実現につながると期待されています。

全身で喜びを表現するKOBIAN

高西 僕は授業で使う電子部品を秋葉原まで学生自身に買いに行かせています。例えば「50キロオームの抵抗」を購入しようとすると「何ワットだい?」と聞かれる。すると学生は分からないので買えずに帰ってくるのです。つまり、知識でしか知らなかったワット・ボルト・アンペアの関係を、自分たちでモノをつくるときに初めて体験として理解するんですね。加藤先生から受け継いだ方法です。

菅野 加藤研究室では“秋葉原大学”と呼ばれていたほど(笑)。体験を通して学ぶことは大切ですね。

藤江 うちもそう。本の知識だけで終わると社会に出てからの実験事故につながる恐れもあるからね。

高西 “体系的”ではなく“体験的”の方が良いかもしれませんね。“ 失敗体験”をしないと良いロボットはつくれません。そういう意味では、身近な時計やテレビを分解してメカニズムを学ぶという体験ができない、いまの学生はかわいそうですね。

藤江 親御さんから「実験に失敗したと子どもが落ち込むのですが、失敗すると点数が下がるのでしょうか」と質問されますが、実験に失敗しても成績は下がりません。私も学生時代に実習で最新のフライス盤を壊して実験室の技術職員の方に怒られましたが点数には影響しませんでした。むしろ失敗体験は、良い勉強になります。

高西 学生が将来、技術者として設計したものは事故を起こすこともありますが、失敗体験を通して臨界があることを身をもって学んでいれば結果的に安全な機械や装置を設計できるはずです。

菅野 だから早稲田は、どんどん挑戦して失敗しながら「設計ってこうなんだ」「これ以上はだめだ」と学ぶ教育を大切にしています。実験の際は、有能な技術職員の方々が学生に安全について指導してくれます。そうした教育カリキュラムや実験環境がそろい、人が配置されているから早稲田でモノづくりができるのです。

高西 技術職員の協力は大きいですね。工作実験室などは学科だけでなく、理工全体にサービスを提供する共通実験室になっています。

藤江 肝臓の圧縮試験なんて変わった実験装置を持って実験室に行くと、最初は不思議そうな顔をされるけど、面白そうだからと工夫してくれますね。WABOT-1号と2号を新しく建った63号館に展示しようと提案してくれたのも技術職員の方たちです。

菅野 それまでは58号館にボロボロの状態で置かれていたのを、彼らがきれいに整備してくれたんですよね。いまは理工学部の代表的な展示として、キャンパスツアーにロボット見学が組み込まれています。

高西 日本で初めて電波伝送による画像の送受信に成功した「早稲田式テレビ」や「早稲田式抵抗器」、アナログコンピュータなど早稲田は日本初の研究が多くあります。演劇博物館のように、理工ミュージアムをつくり、公開してほしいですね。

藤江 マサチューセッツ工科大学(MIT)には「MITミュージアム」があり、MITが取った歴代のノーベル賞や研究に関するものが並べられています。早稲田も歴史を尊重していくべきでしょう。先日、100年前に授業で学生が描いた図面が出てきましたが、それらも公開していきたいですね。

菅野 いまの学生はイノベーションを起こす発想力が求められていて、そのためには歴史を知ることが大切です。過去の技術の流れを理解し、それを自分の研究領域に当てはめることで新しい発想が生まれるでしょう。

多くの人が興味を持てるよう
分かりやすい言葉で伝える

――これからのロボット研究における展望についてお聞かせください。

菅野 重樹/理工学術院教授

菅野 人間型ロボットはまだ実用化されていませんが、その技術が一番生かされているのは自動車です。自動車は人間が運転していますが、実は安全面や動き方などをコントロールしているのはコンピュータなんですね。

高西 飛行機もロボット化が進み、いまは全自動の離着陸も可能になっています。

藤江 新幹線もすべて自動化されていて、機械が計算して運転をコントロールしています。一方で、五感が必要なものや想定外の状態に対しては、人間が対応する必要があるのですね。

菅野 人間と機械、お互いの良いところを生かすシステムづくりが、未来の社会における人間と機械の共生につながります。

藤江 しかしすべてがロボット化されていても、世の中の人がそれを知らないことが多すぎます。東日本大震災で1台も脱線しなかった新幹線の技術はすごいことなのに誰も知らない。だからこそ、僕たちがきちんと明らかにしていかなければならないわけですね。

菅野 一般の方に分かりやすく説明できてはじめて、その分野を理解したと言えるでしょう。説明できないなら実は本人が分かっていないということ。だから僕は学生に「小中学生に説明できる?」と聞く。それが理解の基準になります。

高西 いま早稲田では優秀な学生を獲得するため、ロボット系の教員も地方の高校に赴いて模擬講義をしています。そこでの私たちの目標は、興味を持たせること。社会のため人類の幸福のためにしている早稲田の研究を分かりやすい言葉で伝えることで興味を喚起させるのは重要ですね。

菅野 ロボットは映像も多く、皆が興味を持っている分野なので、比較的分かりやすいですね。

藤江 これまで大学の先生は易しいことを難しく説明していましたが、これからは難しいことを易しく伝えることが求められています。私たちが分かりやすい言葉で世の中に発信する努力をすることで、大学の研究が世界の平和と人類の幸福を実現させるのだと思います。

COLUMN 

高齢者の生活をスムーズに支援する介護ロボット
「TWENDY-ONE」

 菅野研究室の開発した「TWENDY-ONE」は、全身に搭載した接触検知機能や高度なセンシング性能により、人との接触や衝突を避けることができる安全性を重視した介護ロボットです。圧力を調整できる指で複雑な形状のものや柔らかいものを人と同じように扱うことができ、ベッドから車椅子に移る際の介助や家事支援など、超高齢社会において人との共生が実現可能です。

人や社会の役に立つ 早稲田のロボット研究

――早稲田のロボット研究の展望を教えてください。

「RTフロンティア」で早稲田のロボット技術を一般公開

 理工キャンパス近くの明治通り沿いにある「RT(Robot Technology)フロンティア」では、人間支援ロボットの研究活動拠点として、定期的に人間支援ロボット体験公開イベントを開催しています。1階の人とロボットのコミュニケーションスクエア「COSMAR」では、高齢者支援用、リハビリ支援用のロボットなどが置かれ、一般の方がロボットと触れ合える場となっています。

2013国際ロボット展

 2013年11月6日から9日の4日間、東京ビッグサイトで行われた「2013国際ロボット展」のRT交流プラザに、早稲田大学から高西研究室、可部研究室、大学院松丸隆文研究室が出展。睡眠時無呼吸症候群サポートロボット「じゅくすい君」など、さまざまなロボット技術を展示しました。

藤江 学生時代に、世界一の医師や看護師たちが乗った原子力潜水艦が赤血球くらいに小さくなって人間の体内に入り疾患を治療する『ミクロの決死圏』(1966年)というアメリカの映画を観たのですが、私はあの機能を持つ医療・福祉ロボットをつくりたいと思っています。それが実現すれば私たちのロボット研究はやることが無くなるでしょうね。

高西 2足歩行ロボットや、感情を表現するロボット、楽器演奏をする人間型ロボットの完成度を上げ、1台1機能ではなく、1台のロボットが複数のことをできるようにすることで人間に近づけたいと考えています。また、大学の研究が社会に還元できるように、実用化を進めることも大切です。早稲田の「在野精神」にもつながると思います。

菅野 人間に近づけたい、人間の役に立ちたいと言うのは簡単ですが、本当に何ができるかは難しいですよね。もちろん、時代や技術が進歩し、着実に一歩ずつ人間に近づいていますから、やれば確実に進むことは確かです。私は、できる範囲で本当に何ができるのかを追究したいと思います。

藤江 夢を持ちやすいロボット分野で、若手の研究者を育てることが私たちの一番大きな夢でしょう。RTフロンティアが毎月実施している人間支援ロボット体験公開イベントも、一般の方に体験を通してロボット技術を理解していただくことが目的です。

高西 先日、宮城県南三陸町にヒューマノイド研究所が発行した絵本『ワボットのほん』(全7巻)を大量に贈呈しました。それも子どもたちが夢を持つきっかけになるでしょう。僕は、モノづくりを通して人類の幸せを実現するのが工学の役割だと考えています。

菅野 ロボット研究が未来の社会に貢献する道は二つあり、ひとつはロボットそのものが役に立つこと。そしてもうひとつがロボット研究から生まれた新しい先端のモノづくりの技術「RT(Robot Technology)」があらゆるところに応用され役に立つことです。目には見えませんが、現在の先端技術は、すでにあらゆる意味でRTが応用されています。RTはITの次の技術と考えられ、期待されています。

藤江 これからは、一般の人たちが考える“工学”とは違った切り口が必要で、そうした微細な技術が日本の強みになります。例えば飲料メーカーの「のどごし」や、化粧品・下着メーカーの「肌ざわり」「肌のしっとり感」、自動車メーカーの「乗り心地」といった人間の性質や感覚を測定する技術がありますが、それを明確にするのがRTで、世の中はどんどんRT化していくでしょう。学生たちには、いま関わっているロボット研究がさまざまな分野に応用され、さらに未来へ進展するものだという視点を持ってほしいと思います。

藤江 正克(ふじえ・まさかつ)/理工学術院教授

1969年早稲田大学理工学部機械工学科卒、1971年同大学院理工学研究科修士課程修了。株式会社日立製作所機械研究所にてロボットの研究開発に従事。主管研究長を経て、2001年早稲田大学理工学部教授。ロボット工学を応用・発展させ人間の医療福祉に役立てる研究に従事。主な研究に当該分野で先駆けとなった高齢者向け歩行支援ロボット・脳外科手術支援ロボットなど。日本ロボット学会実用化技術賞・日経BP技術賞・日本機械学会ロボメカ部門賞などを受賞。博士(工学)。

高西 淳夫(たかにし・あつお)/理工学術院教授

1980年早稲田大学理工学部機械工学科卒、1985年同大学院理工学研究科博士後期課程単位取得満期退学。工学博士。1990年早稲田大学理工学部助教授、1997年同教授。早稲田大学ヒューマノイド研究所所長、日本ロボット学会副会長。1990~1991年・2004年米国マサチューセッツ工科大学客員研究員、1998年・2005年イタリア聖アンナ大学院大学客員教授。2000年冬には世界で最も権威のある英国の青少年向け公開科学講座「クリスマス・レクチャー」講師を担当。著作に『マイロボット』(読売新聞社)、『人間型ロボットのはなし』(日刊工業新聞社)など。

菅野 重樹(すがの・しげき)/理工学術院教授

1981年早稲田大学理工学部機械工学科卒、1986年同大学院理工学研究科博士後期課程単位取得満期退学。1989年つくば科学万博で展示実演された鍵盤楽器演奏ロボットに関する研究により工学博士。1992年早稲田大学理工学部助教授、1993~1994年米国スタンフォード大学客員研究員、1998年同教授。2001~2012年WABOT-HOUSE研究所所長。バイオメカニズムの視点から見直した人間機械系を人間共存ロボット、人間ロボットコミュニケーション、知的生産システムなどに適用することに興味がある。著作に『人が見た夢 ロボットの来た道』(JIPMソリューション)など。

INTERVIEW 

“Waseda Rikoh-girl”に聞く
「乳がん手術支援ロボット」研究

築根 まり子さん
(創造理工学研究科 総合機械工学専攻
医療福祉工学研究室(藤江正克研究室)博士後期課程1年)

 乳がん治療はジェンダー要素が強く、女性患者の身体・美容面や精神的負担を軽減するための、高度な診断システムと局所的な治療技術の確立が望まれています。中でも注目が、腫瘍に電極針を刺して熱で壊死させる穿刺(せんし)治療です。しかし柔らかい乳房組織は穿刺時に形状が変化しやすいなどの理由から、治療に当たる医師の技能に左右されるという課題があります。この課題解決を目的に当研究室の先輩たちが治療を支援する穿刺システムの原型を構築し、ロボットによる実証実験を行ってきました。私が研究しているのは、硬さを測る技術を応用し、職人技に近い“触診”を自動化するセンシングシステムです。ロボットが診断から治療までをサポートすることで、乳がん検査の促進と治療技術の向上に貢献できると期待しています。

 私は早稲田で“医療福祉ロボット”の研究と出会い、世界が拓けました。医師であった祖父の影響で医療福祉が身近なテーマであったこと、中学校で重力の反作用を学び力学に魅了されたこと、絵を描くことや手芸などの物づくりが好きだったことなど、私を構築するさまざまな要素を生かせる分野だと思います。

 将来は医療機器関連の企業など実用化に近いところで乳がん手術支援ロボットの研究・開発に従事するなど、人の役に立つ研究に打ち込みたいです。

“Waseda Rikoh-girls”の活躍はこちら

INTERVIEW 

卒業生に聞く
人に役立つロボットへの期待に応えたい

トヨタ自動車株式会社パートナーロボット部
近藤 秀樹さん

2010年早稲田大学大学院先進理工学研究科生命理工学専攻博士後期課程修了。博士(工学)。2009年同大学総合機械工学科助手。2011年よりトヨタ自動車株式会社パートナーロボット部にて電気ユニット開発に従事。

 講義で見た2足歩行ロボットの動画がきっかけで高西研究室に入りました。高西研では2足歩行ヒューマノイド・ロボットの研究をする一方で、愛知万博などさまざまなイベントで一般の方にロボットを見ていただく機会が多くあり、人々のロボットに対する期待感を肌で感じていました。

現在開発中のパートナーロボット

 大学での研究を通じて感じたロボットへの期待に応えるためには、ロボットを“プロダクト”として仕上げることが必要です。私が入社したトヨタ自動車は、自動車の生産技術を応用することですべての人と社会のサポートに貢献しようと、パーソナル・モビリティや介護・医療・生活支援ロボットといった“頼りになる”パートナーロボットの実用化に取り組んでいます。その中で私は現在、ロボット用電子制御ユニットの開発を担当しています。早稲田での研究を通じて得た、メカ、電気、制御、ソフトについて幅広く学び、全体をシステムという視点で捉える能力や、研究チームのリーダーとしてのマネジメントの経験が社会で働く上でとても役立っていると感じます。

 ロボットがどのようなサービスを提供し、人々の生活がどのように豊かになるのかを考えながら、実用化へ向けて着実に開発を進めていくことで、1日も早く多くの方に使っていただけるように頑張りたいと思います。