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▼2016 錦秋号

SPECIAL REPORT

平昌、そして東京へ−
躍動のリオデジャネイロ

2016年の8月から9月にかけて開催されたリオデジャネイロオリンピック・パラリンピック。早稲田大学から多くの校友・学生が出場しました。リオで躍動した「Waseda」の足跡を振り返りつつ平昌と東京、未来のオリンピック・パラリンピックを見据えた取り組みを紹介します。

担当理事メッセージ

東京オリンピック・パラリンピックと、その先を見据えてレガシーを構築し、次世代に受け継ぐ

早稲田大学とスポーツおよびオリンピック・パラリンピックの関係を振り返りながら、2018年の平昌(ぴょんちゃん)、そして2020年の東京に向けた取り組みについて、担当理事である村岡教授に聞きました。

文武両道の精神から多数のオリンピアンを輩出

村岡 功
早稲田大学 理事(スポーツ振興、オリンピック・パラリンピック事業推進担当)スポーツ科学学術院 教授

—早稲田大学のオリンピック・パラリンピックに対する考え方について教えてください。

 本学は、日本人・アジア人初の金メダリストとなった織田幹雄をはじめ、多数のオリンピック選手を輩出してきました。その原点をたどると大隈重信に行き着きます。「(運動は)人間には必要欠く可からざるもの」と述べるなど、スポーツに非常に理解のあった大隈は、本学の創設以来、一貫して「文武両道」を説いてきました。

 創設翌年の1883年からは毎年、教員・学生が一体となった運動会がスタートし、97年には体育部が発足するなど、古くから本格的なスポーツ活動に取り組んできたことは、本学の特色のひとつとなっています。こうした早稲田スポーツの歴史と伝統が磁力となって、多くの優秀なアスリートを引き寄せ、さらに育成・サポートに励むことで、競技大会の頂点ともいえるオリンピックでの輝かしい実績につなげてきました。

 世界の有力大学に目を向けても、スポーツやオリンピックを重視する姿勢が見て取れます。代表的なのは米・ハーバード大学でしょう。2000年に調査した際には、本学の1.5倍となる52名のオリンピックメダリストを輩出していることが分かっています。

 本学もグローバルな競争力を高めるには、教育・研究の両分野で日本のスポーツ界をけん引する使命を引き続き担い、さらにスポーツを通して世界的なプレゼンスを発揮することが欠かせません。また、母校愛の醸成や学生・校友の一体感醸成など、学内においてもスポーツが果たす役割は大きく、オリンピック・パラリンピックはその象徴としてこれからも重視する姿勢です。

スポーツの役割を明確化し大学を挙げて強化に取り組む

—1920年のアントワープ大会から今年のリオ大会まで、夏季オリンピックに途切れることなく選手を送り込んでいます。その理由はどこにあるのでしょうか。

 もともと早稲田スポーツの強さは、体育各部や指導者など個別の努力に支えられてきたものです。しかし2000年以降もその強さを継承できたのは、大学として戦略的に競技スポーツを強化してきたからにほかなりません。

 本学が競技スポーツに対する方針を強化したのは、1990年代後半、早稲田スポーツが不振に陥ったことがきっかけでした。他大学の成長もあってインカレ等の競技会で成績が振るわず、また、オリンピックについても2000年シドニー大会や04年アテネ大会では出場選手が一桁台に落ち込んでいったのです。

 それに対する危機感から、1999年にスポーツ振興協議会という総長の諮問機関を発足させました。同協議会は答申書の中で、私が先ほど述べた「スポーツ教育・研究の重要性」や「学内の一体感」といった観点から競技スポーツ強化に取り組む意義を明確化し、以来、大学を挙げての制度・体制づくりが活発化しました。

 まず2000年にスポーツ振興担当理事を設置し、2003年には体育各部を統括する競技スポーツセンターを発足させました。また優秀なアスリートを集めるため、2006年からスポーツ科学部でトップアスリート入試をスタートさせるなど制度を充実させました。オリンピック出場を狙える有望な学生に対しては、奨学金を支給するといった措置も採っています。これらが功を奏し、競技会やオリンピックにおける実績が回復しました。早稲田スポーツは強さを取り戻したのです。

—競技スポーツの強化に取り組む上で、早稲田大学として大切にしていることはありますか。

 早稲田スポーツの精神は「文武両道」です。競技力だけでなく、人間形成も大切にすることこそ、あるべき姿だと考えています。こうした考えから、2008年に行動規範となる「早稲田アスリート宣言」を定め、2014年には、体育各部の全部員を対象とした育成プログラム「早稲田アスリートプログラム(WAP)」を始動させました。

 WAPは「人格陶冶のための教育プログラム」と「修学支援」の2本の柱から成り立っています。このうち「修学支援」として、各学期で取得すべき基準単位を設定し、オリンピック選手も含めて原則4年で卒業するようサポートしています。

早稲田スポーツの価値を最大化し大きな感動を提供する

—2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた取り組みについて教えてください。

 2020年に向けては、今年10月1日に学内でオリンピック・パラリンピック事業推進委員会を立ち上げました。「東京オリンピックを契機とした早稲田大学の国際的プレゼンスの向上」および「東京オリンピックで構築したレガシーを次世代に生かす」という二大テーマの下、各プロジェクトを展開する予定です(表参照)。

 もちろん選手育成にも取り組み、できるだけ多くの学生・校友を選手として送り込みたいと考えています。その中での課題のひとつが、パラリンピック選手の育成強化です。今はハード面とソフト面ともに十分な環境が整っているとはいいがたい状況にあります。バリアフリー化の推進や指導者の充実を図り、今以上に多くのパラリンピアンが誕生するよう努めていきたいですね。

—最後に、今後の抱負をお願いします。

「Waseda Vision 150」で本学が目指す世界に貢献する志やグローバルリーダーの養成といった面で、東京オリンピック・パラリンピックは意義ある場となるはずです。この貴重な機会を生かして、レガシーの構築だけでなく、それを未来へ継承する視点で取り組みます。

 同じく「Waseda Vision 150」の核心戦略のひとつ「早稲田らしさと誇りの醸成をめざして」において、早稲田スポーツの貢献が求められています。そのミッションを果たすため、オリンピック・パラリンピックという大舞台で早稲田スポーツの価値を最大化させ、学生や校友はもちろん、教職員やご父母の方にも大きな感動を提供したいと思います。

オリンピック・パラリンピック事業推進委員会の活動内容
活動目的
●東京オリンピック・パラリンピックを契機とした早稲田大学の国際的プレゼンスの向上
●東京オリンピック・パラリンピックで構築したレガシーを次世代に生かす
具体的プロジェクト
●学術・文化交流
●学内外のアスリート支援(学内の競技力向上とスポーツ途上国の支援)
●海外等チームに保有体育施設を提供
●各種ボランティア活動の活性
●関連教育の実施
早稲田とオリンピック・パラリンピックの歴史

写真提供:早稲田大学 大学史資料センター

1920年 夏 アントワープ大会
マラソンの三浦弥平が、早稲田大学からオリンピック初出場を果たす。参加49名中24位と健闘。
1928年 冬 サンモリッツ大会
冬季オリンピックとしては日本初出場となった大会。スキー種目の日本代表選手6名のうち、5名が早大関係者。
1928年 夏 アムステルダム大会

アムステルダム大会で金メダルを獲得した織田幹雄

陸上・三段跳びの織田幹雄が日本人およびアジア人として初の金メダルを獲得。また水泳では800mリレーの高石勝男、新井信男、米山弘が銀メダルを、自由形100mの高石勝男が銅メダルを獲得。
1932年 夏 ロサンゼルス大会

銀銅のメダルをつなぎ合わせた「友情の分割メダル」

水泳では、4×200m自由形リレーの横山隆志が金メダルを、背泳ぎ100mの入江稔夫が銀メダルを獲得。陸上・棒高跳びの西田修平、ホッケーの小西健一、今治彦、左右田秋雄も銀メダルを獲得。
1936年 夏 ベルリン大会
陸上・棒高跳びの西田修平が4選手と歴史に残る激闘を繰り広げた。この時、2位・3位を分け合った、慶應義塾大学の大江季雄選手と、お互いの銀銅のメダルをつなぎ合わせた「友情の分割メダル」のエピソードは、小学校の国語教科書に掲載された。
1964年 夏 東京大会
学生と校友合わせて43名の選手が出場。レスリング・フリースタイル・バンタム級の上武洋次郎が金メダル、水泳800mリレーの岩崎邦宏と岡部幸明が銅メダルを獲得。
1992年 冬 アルベールビル大会
ノルディック複合団体の荻原健司、河野孝典が冬季初の金メダルを獲得。
1992年 夏 バルセロナ大会
前回ソウル大会から、「パラリンピック」という名称が使用されIOCも開催に関わるように。早大パラリンピアンの草分け的存在といえる、水泳の河合純一はこのバルセロナ大会を皮切りに6大会連続で出場。金メダル5つを含めた21ものメダルを獲得する。
2006年 冬 トリノ大会
フィギュアスケート・女子シングルの荒川静香がアジア選手初の金メダルを獲得。
2012年 夏 ロンドン大会
水泳の星奈津美が早大史上初となる現役女子学生メダリストに。
2014年 冬 ソチ大会
フィギュアスケート・男子シングルの羽生結弦がこの種目では日本初の金メダルを獲得。