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文化

写真が伝える世界
—フォトジャーナリズム・フェスティバル開催

山本 さぎり/文化推進部 文化企画課

《銃口を向けるイスラエル兵士》(広河隆一)

 早稲田大学南門商店街の通りで、街路灯に翻るフラッグを見かけた方もいらっしゃると思いますが、この秋、早稲田大学はDAYS JAPANとの共催イベントをコア期間とした「フォトジャーナリズム・フェスティバル」を開催いたします。
「ジャーナリズム」といっても広範囲におよぶため、今回は「フォトジャーナリズム」の視点から「現場のジャーナリストの仕事にふれて再認識する。」「ジャーナリズムに信頼を取り戻す道を模索する。」「激変するメディア界の将来について考える。」などジャーナリズムの全般について問いかけます。

 例えば、ジャーナリストの仕事、とくに人権や生命を守るための役割を理解するという点では、ビジュアル・ジャーナリズムも活字ジャーナリズムも、基本的には共通の基盤を持っています。しかし、このジャーナリズムの基盤が理解されないまま、器であるメディアの種類だけが語られる傾向があります。

2009年DAYS大賞1位《ケニア・選挙後の混乱》(ワルテル・アストラーダ)

 経営の視点から語られる「メディアの危機」ではなく、「ジャーナリズムの危機」を考え、人々は何を知る必要があるのか、ジャーナリストは何を伝え何を守るべきか、この問題に絶えず立ち返り、現場のジャーナリストたちの仕事にふれながら、メディアの状況、未来についても考える機会をもちます。

 本フェスティバルは展示・講演会などイベントを行うとともに、早稲田大学が長いジャーナリズムの歴史をもつ大学であるため、本学でのジャーナリズム教育の活動を紹介します。また、各イベントも学生をはじめとしたボランティアの協力を得て、インタラクティブな活動を行っていきます。

 会期は、コア期間を約2週間とし、前後を含めると約5か月間におよびます。内容も展覧会・コンサート・上映会・シンポジウムなどバラエティに富んでいます。学生はもちろんのこと、幅広い層に参加いただけるような趣向を凝らしていますので、みなさまにはぜひともご参加いただき、ジャーナリズムへの意識をさらに高めていただければ、主催者としてこれにまさる喜びはありません。

実施までの経緯

G.M.B.アカシュ(バングラデシュ)《Take me home》清里フォトアートミュージアム所蔵

 当初、DAYS JAPANの写真展を行うという企画を契機に、本学も長いジャーナリズム教育の歴史があることから、学内外からイベント参加やさまざまな協力を得られる大規模なイベントへと広がっていきました。例えば、実施数が少ないユース対象の写真コンテストを開催することができました。大学としては、大学生はもちろんのこと、小学生から高校生もドキュメンタリー写真を撮影し応募することを通じてジャーナリズムへの興味に繋がることを希望します。

 また、このフェスティバルを支えている貴重な存在としてボランティアによる各種活動について、特に記しておきます。実際にフェスティバルの広報、各イベントの企画・運営に参加していただいているほか、ボランティア活動そのものを映像で紹介するなどしています。特設サイトもボランティアによるものです。

竹内花子(日本)《THE DAY》清里フォトアートミュージアム所蔵

 このように、各方面の参加・協力のもとにこのイベントは成り立っています。みなさまのご来場をこころよりお待ちするとともに、熱気を感じていただきたいと強く望んでいます。

フォトジャーナリズム・フェスティバル(早稲田大学・DAYS JAPAN共催)

URL:http://www.daysjapan.net/waseda/
開催期間:2009年9月28日(月)~2010年2月27日(土)
コア期間:2009年11月23日(月・祝)~12月5日(土)
会場:早稲田大学

【詳細スケジュールはこちら】
http://www.daysjapan.net/waseda/schedule/schedule.html

11月23日(月・祝) オープニングイベント開催
「生命のコンサート」音楽と写真のコラボレーション

 「知る」「伝える」「生命をまもる」日本で最大のフォトジャーナリズム・フェスティバルの幕開けとして、歌と写真と語りによるコンサートを開催します。

会期:2009年11月23日(日) 14時40分
会場:早稲田大学 大隈記念講堂 大講堂

加藤登紀子(歌手)

 人間と地球の命のメッセージを謳い上げる加藤登紀子。隠れた名曲「Rising」は、地球と人間の営みと尊厳の曲。広河隆一の写真を背景に歌います。「Revolution」「百万本のバラ」に加えて新曲「1968」を歌います。 世界の若者が未来を信じた、この時代の想いを共有したいと思います。

●プロフィール
東京大学在学中に、第2回日本アマチュア・シャンソンコンクール優勝。1966年「赤い風船」でレコード大賞新人賞受賞。69年「ひとり寝の子守唄」でレコード大賞歌唱賞受賞。71年「知床旅情」で、2度目のレコード大賞歌唱賞受賞。92年スタジオジブリ『紅の豚』(監督:宮崎駿)に声優として出演、担当。毎年末には恒例の「ほろ酔いコンサート」を各地で実施。東京は12月26日~28日有楽町よみうりホールで開催。

問合せtel:03−3352−3875
公式サイト: http://www.tokiko.com/

ナターシャ・グジー(チェルノブイリの歌手)

 チェルノブイリ事故で被曝したウクライナ人歌手。悲劇を乗り越えていく希望を、民族楽器バンドゥーラを奏でながら、「水晶」にたとえられる澄み切った声で歌います。「防人の詩」「いつも何度でも」「白い翼」「遥かに遠い空」をお届けします。

●プロフィール
ウクライナ生まれ。1986年4月26日、6歳のときチェルノブイリ原発で爆発事故が発生し、原発からわずか3.5キロの所で被曝した。8歳の頃より音楽学校で専門課程に学ぶ。「チェルノブイリこども基金」の招きで、民族音楽団のメンバーとして2度来日し、全国で救援公演を行う。NHK『ねがい~世界に広がる平和の歌~』、テレビ朝日『徹子の部屋』、日本テレビ『誰も知らない泣ける歌』など出演番組多数。

公式サイト: http://www.office-zirka.com/

MINA(アイヌ歌手)

 日本の先住民族アイヌとしてのアイデンティティ、アイヌ語や文化を音楽と映像で表現します。

●プロフィール
アイヌの父、日本人の母の間に生まれる。幼少よりアイヌ古式舞踊を習う。2006年首都圏在住のアイヌの若者とともにAINU REBELSを立ち上げ、伝統舞踊・歌と現代文化を融合させる。全国各地でライブ活動を行い、テレビ、新聞、雑誌など各種メディアにも取り上げられる。09年よりソロ・アーティストとしての楽曲制作・ライブ活動を開始。

公式サイト: http://www.ainupride.com/ap/

青柳拓次(アーティスト)

 今回のフェスティバルによせて、広河隆一の写真のために新たに作曲した「チェルノブイリの子どもたち」「パレスチナ」「消えた村々」「いのち」など5曲をスライド上映とともに演奏・発表します。

●プロフィール
Little Creatures、ソロユニット・KAMA AINA、青柳拓次名義で、活動。テキスト、サウンド、ビジュアルを用いて表現するアーティスト。1999年、主演と音楽を担当した映画「タイムレスメロディ」が、釜山国際映画祭でグランプリを受賞。2004年、KAMA AINAのベスト盤(Dominoより)が、イギリスのClassic FMでAlbum of monthに選ばれる。09年、舞台「トリツカレ男」、映画「ホノカアボーイ」、「eatrip」の音楽を担当。詩画集「ラジオ塔」や絵本「つきのなみだ」を上梓。

公式サイト: http://www.tone.jp/artists/aoyagitakuji/index.html

立松和平(作家)

 早大卒の作家で日本ペンクラブ平和委員長。レバノン戦火の経験のある立松和平が、「ジャーナリストと世界」について話します。

●プロフィール
1980年 『遠雷』(映画化)で、野間文芸新人賞。パリ・ダカールラリーにナビゲーターとして出場。『パリ・ダカ 砂の水平線』を執筆。1993年 『卵洗い』で、第8回坪田譲治文学賞。1997年『毒 - 風聞・田中正造』で毎日出版文化賞受賞。行動派作家として知られ、自然環境保護問題にも積極的に取り組む。純文学作家としては異例なほど著書(200冊以上)が多い。近年は仏教への関心を深めておりエッセイも多数ある。

公式サイト: http://www.tatematsu-wahei.co.jp/

広河隆一(DAYS JAPAN編集長、フォトジャーナリスト)

 早大卒のフォトジャーナリストが戦場の生と死について語ります。爆撃のなかで生死をさまよった時に聞いた加藤登紀子の「Rising」のエピソードなども紹介。今を生きる若者たちにメッセージをおくります。

●プロフィール
1967年に早大学卒業後、イスラエルに渡り、1970年に帰国後、中東問題と核問題を中心に取材を重ねる。1982年のレバノン戦争とパレスチナ人難民キャンプの虐殺事件の記録で、IOJ世界報道写真コンテスト 大賞・金賞受賞。そのほか1989年 チェルノブイリとスリーマイル島原発事故の報告で、講談社出版文化大賞受賞、2002年 「パレスチナ 新版」(岩波新書)で早稲田ジャーナリズム大賞、2003年「写真記録パレスチナ」(日本図書センター)で土門拳賞受賞。 日本テレビ、NHKを中心にチェルノブイリ、中東などの報道番組を多数制作発表。編集長を務める月刊誌DAYS JAPANは、2009年度日本写真家協会賞を受賞。

公式サイト: http://www.daysjapan.net/

その他のイベント

●写真展
http://www.daysjapan.net/waseda/exhibition/exhibition.html

●世界を視るスライドショー
http://www.daysjapan.net/waseda/slide/slide.html

●上映会・シンポジウム・講演会など
http://www.daysjapan.net/waseda/symposium/symposium.html

●ワークショップ等
http://www.daysjapan.net/waseda/workshop/workshop.html

山本 さぎり/文化推進部 文化企画課

学生時の専攻は文化財科学。美術館・博物館勤務を経て2008年4月から現職。