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文化

「響きで紡ぐ アジア伝統弦楽器展」に寄せて

石井 理/早稲田大学坪内博士記念演劇博物館助手

 坪内博士記念演劇博物館では、2014年10月29日(水)より2015年2月4日(水)まで「響きで紡ぐ アジア伝統弦楽器展」を開催しています。

展示概要

 アジアの諸地域で用いられる弦楽器は多種多様です。楽箏や和琴のように神事や国家制度の一部として整備されたもの、三味線や二胡のように大衆文化の中で芸術様式を開花させたもの、古琴のように文人としての精神性に依拠しながら熟成されたものなどと、いずれもそれぞれの地域において独特な文化を醸成してきました。

 一方、各地域の伝統弦楽器は形状が似ているものも多く、またそれらの由来をたどっていくと、何世紀にもわたる地域間の交流関係が紡ぎ出されます。それぞれの楽器の由来については、ある地域で独自に起源を持つという説、周辺諸地域からもたらされたという説、外来の楽器と土着のものとが融合したという説など、その由来は様々であり、いまだ定説を見るに至っていないものも多いです。

 本展では、こうした地域間の文化交流を軸として作成した相関図により、各楽器間の関係性を一望のもとに見渡していただけます。アジア全体に共通してみられる弦楽器を通して、多様性と共通性が交錯するアジア文化について少しでもご興味を持っていただければ幸いです。

展示資料について

 形態を基準とした分類でいえば、ツィター属(共鳴胴に弦を張ったもの)とリュート属(共鳴胴に棹を取り付け、両者に渡るように弦を張ったもの)を中心に展観します。また、演劇博物館には五代目中村歌右衛門使用の箏、初代若松若太夫使用の三味線、1956年に梅蘭芳率いる訪日京劇団よりご寄贈いただいた京劇楽器など、演劇人ゆかりの楽器が多く所蔵されています。古琴やコムンゴ(玄琴)など東アジアのツィターは素朴な味わいながらもそれぞれの個性が端々に見られ、シタールやサラスワティー・ヴィーナーなど独特な装飾がこらされたインド楽器は見るものを圧倒します。展示でご紹介する伝統弦楽器の一部については、タッチパネル式のデバイスで響きや映像をお楽しみいただけます。展示資料と合わせてご鑑賞ください。

関連イベント①:「KiRiKoの二胡ニコLIVE」

 展示オープン10日目にあたる11月7日(金)、若手二胡奏者として注目を集めている中西桐子さん(早稲田大学在学中)をお招きし、演劇博物館前舞台にて「KiRiKoの二胡ニコLIVE」を開催しました。これは、世界で活躍する早大生の姿を、同じ世代の学生さんたちに見ていただきたいという思いから、企画したものです。情感溢れるスロウなフレーズから技巧的な速弾きまで、中国の代表的な伝統楽器である二胡の魅力を存分に楽しむことのできる演奏会になりました。

 桐子さんのレパートリーは古典楽曲からポップスまでと幅広く、この日は特に若い人たちにも親しみやすい楽曲を中心に演奏していただきました。ディズニーソング、アニメソング、そしてVOCALOIDソングなどが二胡の音色で次々と紡ぎ出され、観衆の中には演奏に合わせてサイリウムを振りながら応援するファンの方もいました。とにかく86年の歴史を持つ演劇博物館に新しい風の吹いた一晩でした。

 12月4日(木)には、今度は伝統楽曲の魅力を味わっていただける演奏会を企画しています。入場無料ですが、お席に限りがありますので以下の URLからご予約していただくようお願いいたします。

関連イベント②:「響きをつなぐ 二胡・古琴演奏会」のお知らせ
日  時:
2014年12月4日(木)18:30~20:00(開場18:00)
会  場:
小野記念講堂(定員200名)
観覧無料:
事前申込制
申込方法:
http://web.waseda.jp/enpaku/ex/1935/
主  催:
早稲田大学 演劇博物館・演劇映像学連携研究拠点

 古琴奏者であり、また教育者として伝統音楽の振興に務める高欲生さんと、早稲田大学在学中の二胡奏者・桐子さんをお迎えして中国伝統楽器の演奏会を開催します。演奏会では古琴と二胡の演奏とともに、それぞれの楽器にまつわるお話やご自身の活動についてもお話しいただきます。古今を繋ぎ、また文化を繋ぐ、伝統楽器の音色をお楽しみください。

石井 理(いしい・さとる)/早稲田大学坪内博士記念演劇博物館助手

早稲田大学大学院文学研究科中国語中国文学専攻修士課程修了、早稲田大学大学院文学研究科中国語中国文学コース博士後期課程在籍中、2012年4月より現職。専門は中国清末民初における古琴音楽の保護と振興についての研究。