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▼こんな授業! どんなゼミ?

「臨床バイオエシックス」~いのちの決断~

飯塚 こずえ/人間科学部3年

 もしもあなたにとって大切な人があと半年の余命であると告げられたなら…もしも生まれてくる我が子に障害があると知ったなら…あなたは苦しみの末に何を考え、どのような決断を下すだろうか。我々現代人は普段こういった「いのちの決断」の問題から目をそらしがちである。しかし今挙げたような出来事は、人間であれば誰もが直面する可能性をもっている。またいつかは死を迎える存在である以上、我々は決してこの「決断」を避けては通れない。今回紹介する「臨床バイオエシックス」の授業では、このような生命にまつわるさまざまな倫理的問題について考えていく。

 講義では、まず土田先生が課題の基本的な知識や背景について分かりやすく説明して下さる。その後、先生のお話を踏まえた上である短編物語の映像を見るのだが、この物語にはかなり特徴がある。どのストーリーにも結末が用意されていないのである。非常に重要な問題を残したまま物語が終わってしまうため、我々は物語で最終的にどのような決断が下されたのかを知ることは出来ない。つまり決断は我々自身が下さなければならないのである。物語の内容には毎回非常に深く考えさせられ、見終わった直後は教室内に一瞬しんとした空気が流れる。おそらく皆それぞれに何か深く感じるものがあるのだろう。

 バイオエシックスには正しい答えというものは存在しない。この学問は、正解を求めるのではなく、人々がより良い考えを導き出そうと思いを巡らすことに意味があるのだと土田先生はおっしゃっていた。これがまた、この学問の魅力の一つでもあると思う。

 現在、医療技術がめまぐるしく進歩を遂げる中、人間の「死生観」は非常に曖昧なものとなりつつある。しかし我々は決して「いのちの決断」から逃げてはならない。この講義を受講することで、一度「生命」と正面から向き合うきっかけを作ってみてはどうだろうか。

(提供:早稲田ウィークリー