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▼こんな授業! どんなゼミ?

「医事刑法」甲斐克則ゼミ~懐の深い学問~

野上 小夜子/2009年3月法学部卒

 「イジケイホウ」。音で聞いてぴんとくる人はまずいない。法学部内でも大抵の人には「つまり、どんなことをやっているの?」と聞かれる。だが、実際に学んでいるのはとても身近な問題だ。「医事刑法」とは、簡単に言うと医療に関わる問題を扱っている法律である。具体的には医療過誤、尊厳死、代理出産などがイメージしやすいだろうか。どれも近年、新聞などでよく目にする話題だと思う。

法務研究科 甲斐克則教授を囲んで(筆者前列右から2番目)

 「医事刑法」の特徴は正解がないということである。例えば、代理出産の問題では「子どもが作れない体だけれどどうしても欲しい」という立場もあるし、「そんなことをしたら母親が二人になって子どもがかわいそうだ」という立場も考えられる。これは、どちらが間違っているとははっきり言えない問題だ。私たちはいつもこうした問題について判例を素材として議論している。多くの場合ゼミ内でも意見が分かれるため、授業終了の時間まで途切れることなく侃々諤々やっているのだ。こういう議論は法律だけに留まらず、倫理の領域となってしまうことも多い。だが、弁が立つ人も、口下手な人も、法律の知識が豊かな人も、感情論に走る人も、皆同じ様に議論できるのがこのゼミの良いところだと思う。

 この医事刑法ゼミを支えているのが甲斐克則教授だ。先生は医事刑法の分野で活躍されていて頻繁に海外の学会などにも参加している。そのため、日本の話だけではなく、各国の最新情報についても話してくれる。また、海外のお土産も密かな楽しみと言えるだろう。私たちのゼミは、10人足らずの少人数ゼミだがその分、先生との距離は近い。また、現在ゼミ生は2年生から5年生までおり、全然性格の違う人ばかりだが不思議と上手くやっている。「医事刑法」とは学問的にも精神的にも懐の深い分野なのかもしれない。

(提供:早稲田ウィークリー