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▼こんな授業! どんなゼミ?

身体表象論
表象文化で生かされる自分の発見

磯部 まな/法学部3年

 この授業をとったのは、法学部のやや観念的で論理的な授業と並んで、感性を研ぎすませる授業も履修したいという動機からだった。表象とは何かなど分からないまま受けた初回の講義で先生は、私たちが今まで脳内にインストールしてきた情報をこの講義の時間内ではいったん全て取り外すこと、と言われたが、私にはまだピンとこなかった。

 講義は、パワーポイントを使用し先生の講義と並行して多くの画像や動画を見ながら進む。また、入口・出口編の要約で授業の流れを頭にいれ、コースナビでその日の授業内容や感想を簡単にまとめて提出する。先生は講義にあたり、内容を丁寧に説 明し質問に応じてくださるので私のような初心者にも咀嚼しやすい。その過程で私たちがいかに表象文化の中で生かされているか気づかされることとなる。例えば、「美しく」、「すてき」だと素直に感じるファッションも、広い意味で社会的・歴史的要 請によって生み出された造作物に過ぎないことがわかる。また、男性が他者としての女性をどう受け入れ、自己に帰属させていくのかという流れに注目することで、「ピュグマリオン神話」から現在の「オタク文化」までがつながって見えたのは爽快だった。それはまた、単なる芸術作品や映画として受容していた表象文化の潜在的なメッセージに気づかされた瞬間でもあった。

 私たちは授業が終わると、再びこの社会で常識的に生きていくために、ひと時外しておいた表象に関する常識的な情報を脳内に戻すのだが、表象に対する抗体ができてしまう。つまり、自分が無意識に受容する表象について意識的になり、その表象の 他の解釈の可能性を探ろうとしてしまうのだ。それは時がたち、元の世界に私たちがなじむようになれば薄れはするが、たまにひょっこり顔を出し私たちの人生を豊かで 多元的なものにしてくれるのである。

(提供:早稲田ウィークリー