早稲田大学の教育・研究・文化を発信 WASEDA ONLINE

RSS

YOMIURI ONLINE

ホーム > 教育 > こんな授業! どんなゼミ?

教育

▼こんな授業! どんなゼミ?

総合基礎演習β
Comparative Philology: The Indo-European Language Family

新倉 恒和/政治経済学部1年

 人間が他の動物と違うのは、言語を操る能力を有しているということである。動物は鳴き声などで限られた意思の伝達はできても、人間のように表現豊かに自らの意思を巧みに相手に伝えることはできない。言語による知識の蓄積が人類の進化を可能にした、といっても過言ではないだろう。

 現在世界には数千種類の言語が存在し、「語族」という単位に分類されている。この授業ではその一つ「インド・ヨーロッパ語族」の諸言語を比較し、共通点を見出す授業である。インド・ヨーロッパ語族のさらに細かい分類(ゲルマン系、ロマンス系等)を、毎回の授業で検証する。また、世界の言語で使用されている音の種類とその識別法も学ぶ。これは比較言語学の分析手法において、極めて重要な位置を占めている。さらに英語の歴史やヨーロッパの名著の探究など、授業内容は実に多岐にわたっている。

 このように幅広い内容を網羅するこの授業だが、一番の醍醐味は授業名にあるように「言語を比較する」という点にある。インド・ヨーロッパ語族の言語は共通の「祖先」を持っているため、比較は容易である。比較のクライテリアはたくさん存在するが、その代表例は「発音」である。経年とともに表記(綴り等)は大きく変化しても、発音は変化の幅が小さい場合が多いからだ。例えばオランダ語で「父親」を意味する単語は“vader”である。一見他言語とは何の関係もなさそうだが、オランダ語では“V”を英語の“F”の様に発音する。これが分かると、英語の“father”との関連が明らかになる。また、同じ様に“V”を“F”の様に発音する言語にドイツ語があげられるが、この場合「父親」は“vater”となり、言語間の相関関係を明確に表している。この様に知的好奇心をくすぐる新しい発見が、授業の度に複数あるのだ。

 普段意識せずに使用している言葉。しかしその世界の奥の深さは留まることなく、私を魅了してやまない。明日はどの様な発見があるのか、毎回の授業が楽しみである。

(提供:早稲田ウィークリー