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▼こんな授業! どんなゼミ?

英米法研究II
~躍動する英米法の世界へ~

原口 佳誠/法学学術院助手・博士後期課程

ゼミの仲間たちと。中村先生は左から3番目。先生の右隣が筆者で本人

 中村民雄先生のゼミは、常に英米法の知的探究と新鮮な発見に満ちている。基本となる歴史的な判例法の分析では、事件の錯綜する事実、当事者の鋭く対立する主張、根底にある法理論をひとつずつ紐解いてゆく。すると古色蒼然とし無味乾燥にみえた判決文が、往時の法と社会を示す色鮮やかな海図へと生まれ変わる。

 現代法理論研究はさらにスリリングだ。最新の英米行政規制理論を学び、世界的に流行するBSE(通称:狂牛病)のリスク規制について報告書を作る。有力な英米自主規制理論に基づいて、江戸時代にまで遡る自主規制の一形態として素麺の「揖保乃糸」を評価し、フィールドワークを行う。このように法を現代社会から透視することで、紙の上の法(law in books) から社会に生きる法(law in action)が立ち現れてくる。

 ゼミは5、6名の少人数であることが多い。最初に英米判例・テキストの精緻な読解とその作法が教授される。基礎を理解した院生に対する先生の鋭い質問をきっかけに、自由闊達な議論が展開される。先生の快活な人柄ゆえに、厳しく真剣な議論の中にユーモアと笑いが常に織り交ぜられる。その雰囲気もすぐれて英米的だ。

ゼミ合宿の一コマ。右列一番手前が筆者。筆者の一つ奥が先生

 先生は2010年に東京大学から本学に着任されたばかりだが、非常勤講師として担当されてきた法学研究科のゼミは10周年を迎える。ゼミOB・OGの大半は全国各地の大学教員となり、あるいは英米留学に雄飛してきた。通常授業だけでなく、ランチ・コンパ・合宿等を通じて育まれたゼミ生の親交は深く、先生を慕って集う機会も少なくない。

 研究者として一流の先生が本学に進んで移られた最大の目的は、「教育のため」だそうだ。ぜひその素晴らしい教育から、英米法の知的冒険に挑む学部生・大学院生が増えてゆくことを願ってやまない。

(提供:早稲田ウィークリー