早稲田大学の教育・研究・文化を発信 WASEDA ONLINE

RSS

YOMIURI ONLINE

ホーム > 教育 > こんな授業! どんなゼミ?

教育

▼こんな授業! どんなゼミ?

医工学特論
―「医学×工学」で心臓をまるごと再生できる未来!? ―

木村 綾華/先進理工学研究科 修士課程2年

講義では、細胞シートを使った治療例をわかりやすく紹介してくれる

 「医工学特論」とは、医学と工学の融合から生まれる先端医療を学ぶ授業です。ところで、皆さんは「医学と工学の融合」と聞いて何を思い浮かべますか?

 おそらく、超小型胃カメラや、遠隔操作手術ロボットなど、「医学」と「機械工学」の融合を想像されると思います。でも実は、「生物学」や「化学」といった工学的知識によって、近年の医療が目覚ましい発展を遂げていることをご存じでしょうか。

 中でも特に注目を集めているのが、再生医療です。授業には、再生医療に挑む「東京女子医科大学 先端生命研究所」の研究者の方々が登場し、研究内容を紹介します。ここでは、医師、化学者、生物学者、機械工学者などがチームを組んで、「細胞シート」というものを作っています。細胞を育てる培養皿に化学的な仕掛けをしておくと、細胞が集まったシートを作ることができます。例えば、けがなどで濁ってしまった角膜を切り取って細胞シートを貼ると、新しい角膜が再生します。また、心不全の患者さんの心臓に細胞シートを貼ると、心臓の機能が回復します。将来は、細胞シートを積層することで、心臓や肝臓を丸ごと作れる未来が来るかもしれません。

 こうした医療技術には、あらゆる工学的知識が盛り込まれています。「培養皿には、どんな化学的仕掛けをするか?」という化学的知識や、「幹細胞をどう育てれば心臓の細胞になるのか?」という生物学的知識など、まさに、医学と工学の融合により新しい医療技術が誕生している現場です。

 今期の受講者は、主に生命医科学専攻の大学院生です。日頃の研究生活では、目先の実験にとらわれやすく、「医療に挑む」という目標を見失いがちです。この講義では、医工学が臨床で応用されている例を紹介してくれるので、「医工連携」という本来の目標を思い出させてくれ、私たちの研究の立ち位置を再認識させてくれます。現在この講義は大学院生しか受講できませんが、私としてはぜひ学部1年生に受講していただき、未来の可能性の大きさを感じてほしい講義です。

(提供:早稲田ウィークリー