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教育

▼こんな授業! どんなゼミ?

「ジェンダーを考える」
(グローバルエデュケーションセンター提供科目)

これからの時代を生きるために ジェンダーという視座

横山 優斗(よこやま・ゆうと)/法学部 2年

 2015年12月16日、最高裁判所大法廷において、ある判決が下されました。最高裁は、民法750条に定められている夫婦同姓原則規定は、憲法に違反しないと判断したのです。9割以上の夫婦が夫の姓を選ぶ状況の中で、本件における最高裁の理由付けは、実質的に女性の意思決定を抑圧するものとして、批判が集まっています。

Herman Melville , Moby Dick,(初版は1851年刊行)

 このように、「憲法の番人」としての役割を担う最高裁判所の判断ですら、その正当性に疑問を覚えることがあります。グローバルエデュケーションセンター提供科目「ジェンダーを考える」では、弓削尚子先生(法学部教授)他11人の教授、ゲストスピーカーの方々と共に、まさにこのような社会の事象を批判的に見ていきます。その領域は、法学、歴史学、教育学、文学、宗教と実にさまざまな分野にまたがります。例えば、第2回の和氣一成先生(教育学部准教授)の授業では、“American Adam”(アメリカにおいて理想とされていた、汚れなき大地・自然に挑んでいく男性像。1851年に出版された H.メルヴィルの『白鯨』はその代表例です)とアメリカ文学との結び付き、さらには冷戦リベラリズムとの結び付きについて学びました。通常、私たちの想像が及ぶのはせいぜい文学から読み取る男性像くらいで、冷戦リベラリズムという問題にまで射程を広げて、それとの関係を読み解くことができるのは、さまざまな分野の専門家に講義をしていただけるオムニバス形式ならではの利点であると思います。また、この授業では通常の講義だけでなく、グループディスカッションの時間も設けられています。ここでは、例えば、おのおのの身の回りに存在するジェンダー・ステレオタイプなどを話し合います。これは普段、授業を受けているだけでは分からない、周りの学生のジェンダー意識の高さ(あるいは低さ)を知る良い機会となっています。

 この講義によって得られる視座が、私たちが日常生活で何気なく使っている言葉や概念に疑問を投げ掛けることは少なくありません。例えば、「女子力」、「母性」などがその筆頭と言えるでしょう。異性愛を当然だと思う意識も、その対象になります。マイノリティーに対する対応の変革が急務となっている今、これからの時代を生きていくためにジェンダーという視座を持つことはますます重要になっていくと思われます。

「ジェンダーを考える」講義風景

(提供:早稲田ウィークリー