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「第22回小説すばる新人賞」受賞!
新進気鋭の小説家

朝井 リョウ/文化構想学部3年

 「大学では『セッション』というストリートダンスのサークルに所属しています。『早稲田祭2008・2009』で踊ったこともあります。最近は全然活動に行けてないですけど(笑)」。小説とダンス―一見意外な組み合わせにも思える。しかし幅広い経験に裏付けられた“多量のインプット”は、キャラクターの異なる複数の登場人物の視点を駆使してリアルな小説を書き上げた姿と重なる。「みんなで一つのことに取り組む団体競技が好きなので、高校時代はバレーボール部でした。ほかにも応援団長や生徒会長にもなりました。一方で小説も書いていたんです。周りからは『わーわーしている』と思えたかもしれませんが、ものすごく俯瞰して冷静に周囲を見ている自分もいました。そういう多面性はあったと思います」。

 本学文化構想学部への入学を決めたのは「やりたいと思ったことが何でもできる」イメージがあったことに加え、偶然の出合いが決め手となった。「受験勉強でセンター試験の過去問を解いていたら、出題に使われていた小説がすごく面白くて、入試問題なのを忘れてじっくり読み込んでしまうほど衝撃を受けました。その小説の筆者が堀江敏幸先生だったんです。それからずっと堀江先生のお名前が忘れられませんでした」。入学案内用パンフレットで堀江先生が本学の教鞭を執っていることを知り「絶対に入学したい」と決意。本年度は堀江先生のゼミを受講中だ。

 小説すばる新人賞を受賞する際も、最終選考の結果を待つ山形県の自動車教習合宿所で偶然ならぬ“巡り合わせ”を感じたという。「受賞した小説の登場人物の中で『風助』だけはモデルにした友人がいたんです。選考のことで頭がいっぱいだった時、なんと、同じ教習所にそのタイミングで、唯一モデルにしたその友人も偶然入ってきたんですよ。彼を見た瞬間、賞を取れると直感しました」。

 理想の小説家像について「いろいろな所に行き、いろいろなものを見て聞いて経験して、そこから得たインプットをアウトプットしていけたらいい。自分が読んで面白い話を書きたいし、『これ分かる分かる!』と共感してもらえるような描写を生み出していきたい」と語る。不思議な“巡り合わせ”も、進んでさまざまなことに取り組む過程の中で、実は必然的に起こった出来事なのかもしれない。将来はインプットを増やすため、企業に就職して小説を書き続けるつもり。確かな観察と経験に裏付けられた小説に、一層共感の輪は広がっていくだろう。

(提供:早稲田ウィークリー

朝井 リョウ(あさい・りょう)/文化構想学部3年

1989年岐阜県生まれ。岐阜県立大垣北高校卒業。文化構想学部3年。6、7歳のころから小説を書き始め、2009年『桐島、部活やめるってよ』で「第22回小説すばる新人賞」を受賞。受賞作では、バレー部のキャプテン・桐島が突然部活をやめたのを契機に、同じ高校に通う5人の生活に小さな波紋が広がる様子を描いた。男女5人をそれぞれ一人称視点で活写したオムニバス形式で展開する。趣味はダンス。好きな映画は『ジョゼと虎と魚たち』。俳優・蒼井優さんの大ファン。今年11月ころには書き下ろしの新刊を出す予定。