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20年後の自分が見える鏡?
“Moira Mirror”の実用化へ向けて挑戦中!

張 伊ウェン(雨冠に文)/早稲田大学大学院国際情報通信研究科2年
徐 子雁/早稲田大学大学院国際情報通信研究科2年
張 棋翔/早稲田大学大学院国際情報通信研究科2年

 20年後の社会はどう変わっているのか?20年後の自分の未来はどうなっているのか?

 業界最大手の広告代理店が主催する「MIRAI DESIGN AWARD 2030」は、2030年の社会を想定し、社会をよくするためのアイデアを、大学生や大学院生たちから募るコンテストだ。今回多数の応募のなかから、本学大学院で情報デザインの研究をしている3人の留学生たちのアイデアが、見事受賞した。

 3人のアイデアとは、一人ひとりの脈拍、心電図、体温、呼吸、運動量、食事などの情報を、自動的に収集・分析し、その結果として“Moira Mirror”という鏡に「未来の自分」の姿を映し出すというものだ。健康診断のために病院に行くのではなく、日常生活を送る中でIT技術を活用し自動的に情報収集・分析を行う。そして、単に分析結果を数値で提示するのではなく、現在の生活を続けた結果、20年後の自分がどうなっているかを、Moira Mirrorを通して提示することで人々の健康意識を高めるところが、このアイデアの独創的なところだ。

張棋翔さん。現在は台湾に帰国中

「MIRAI DESIGN AWARD 2030」プレゼンテーションの日。スーツ姿でビシッと決めている

 今回のコンテストには、徐さん、張さんのほかに今は台湾に帰国中の張棋翔さんが一緒に取り組んだ。

 「3人はもともと仲が良くて、『MIRAI DESIGN AWARD 2030』の募集告知を見たとき、ぜひ一緒にやろうということになったんです」と張さん。「現在、不規則な生活を送る若い人たちが多く、生活習慣病の発症年齢が低年齢化しています。また、ヨーロッパでは発売禁止になっているような眠気を抑えるドリンクが、日本ではコンビニで誰でも買える状態にあることもすごく心配で。それで、このアイデアを考えたんです」と徐さんも続ける。

 非常に高い問題意識を持って、今回、応募したんですね。「実は最初はそうでもなくて(笑)。みんな映像やデザインなどのビジュアル関係が好きだったこともあり、楽しい映像でも作ろうかという感じで盛り上がっていました。でも、冷静になったとき、それじゃ提案にならないことに気付いて(笑)」と、徐さん。そこで、「健康に関する情報デザイン」というテーマを軸に据えることになった。

張 伊ウェン(雨冠に文)さん(左)/徐 子雁さん(右)

 アイデアを考えるにあたって、3人には“役割分担”があったという。「張棋翔さんはアイデアが豊富だし、いつも面白いことを言ってみんなを盛り上げてくれるから“役者”。私は修士論文でも同じテーマで取り組んでいたので“監督”的なポジションに。ただ、私と張棋翔さんは意見がぶつかって、激しく言い合うことも多くて(笑)。それを冷静になだめてくれるのが“仲裁役”の張さんなんです」と、徐さんはニコニコと張伊さんと笑い合う。なんだかんだ、息が合った3人である。

 提案をまとめるにあたって、若者の生活実態のサンプルを集める必要があったが、これは友人たちに協力してもらった。また、提案書をまとめるにあたっては、徐さんと張さんが分担した。「日本語は母語ではないので、改まった文章を書くのはすごく大変でした」と、張さんは語る。徐さんは提出の前日は徹夜で取り組んだようだ。「健康的な生活を送ることの大切さを書いているのに、自分自身は全然違う行動をとってしまいました(笑)」。

 今後は、このアイデアの実用化に向けて、「MIRAI DESIGN AWARD 2030」の主催者やメーカーの方々とワークショップを行っていく。「実用化に向けてのポイントは、どのように生体データの情報収集を行うかと、その分析結果をいかに面白く見せて行動を促すか、というところです。前者はメーカーの方々に担っていただき、私たちは後者について考えていきます」と張さん。「人と人、人と機械を温かくつなぐコミュニケーションのデザインを、これからも考えていきたいと思っています」と徐さん。2030年、彼女らのアイデアが新しい未来を作っているに違いない。

Moira Mirrorのイメージ

自動でさまざまな情報を読み取るシステムのイメージ。単純な体調の変化だけでなく、食事・生活スタイルも分析する

鏡を見ると20年後の自分が現れる。鏡からアドバイスを受けられるのも面白いアイデア

(提供:早稲田ウィークリー

張 伊ウェン(雨冠に文)(ちょう・いうぇん)/早稲田大学大学院国際情報通信研究科2年

1981年、台湾の彰化市出身。台湾政治大学卒業。本学大学院国際情報通信研究科2年。Webデザイナーの実務経験がある。趣味は映画観賞と旅行。「映画は、岩井俊二監督の『花とアリス』が一番好き。旅行は、京都、大阪、神戸、奈良、沖縄など、いろんなところに行きました」。卒業後は、学んだことを活かして、再びWebデザイナーとして活動する予定。

徐 子雁(じょ・しがん)/早稲田大学大学院国際情報通信研究科2年

1986年、中国の西安市出身。中国西安交通大学卒業。本学大学院国際情報通信研究科2年。趣味は同人誌の制作、デザインイベントに参加すること。また、ニコニコ動画で歌手をやるなど、多彩。2012年4月より日本企業へ就職予定。「就職するまでに、プログラミングなどもしっかり学んでいきたいです。そして、日本一周旅行をしたいです♪」。

張 棋翔(ちょう・きしょう)/早稲田大学大学院国際情報通信研究科2年

1982年、台湾の台中市出身。台湾東海大学卒業。本学大学院国際情報通信研究科2年。広告営業の実務経験がある。クリエイティブなものが好きで、好奇心旺盛な性格。「いつか自分のアイデアで、素敵な未来を創りたい!」。