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CMコンテストに懸けた震災への思い
「須田和博賞」「残念賞」(?)を受賞!

加藤 慶吾/文化構想学部5年
小向 英孝/文学部5年

 国、企業、学生が一丸となって日本の未来を考えるCMコンテスト「my Japan Award 2011」。この大会で放送研究会所属の加藤慶吾さんと小向英孝さんはそれぞれ「須田和博賞」「残念賞」を受賞した。

 二人の作品づくりの出発点は東日本大震災の発生に起因する。「震災の記憶が、僕や日本中の人々の中で薄らいでいくことに少し恐ろしさを感じていました」と話す加藤さんは、震災を風化させてはいけないという思いを、映像作品『10年後の授業』に込めた。一方、小向さんは「岩手の実家に帰省していた時、原発の是非が問われている世論に対し、まずはエネルギーの無駄を問うべきだという思いに駆られました。その時、某人気少年アニメの映像が頭に浮かび、締め切りの1週間前に、急きょ『未来の闘い』の制作を始めました」と語ってくれた。

放送研究会の仲間たちと撮影中の一コマ

 迎えた審査発表当日、CMプランナーの須田和博氏は、加藤さんの作品を、「皮肉が効いていて、素晴らしい問題提起だ!」と称えた。「募集要項には希望が持てる作品とあったので受賞は無理だと思っていました。須田さんが共感してくれてよかったです」と受賞の喜びを語る加藤さん。では、小向さんが受賞した「残念賞」とは?「僕の作品は、相応の評価はいただいたのですが、パロディ作品だったため著作権問題に関わるという理由から『残念賞』となったそうです。それでも会場にいた人たちが爆笑していたのはうれしかったですね」と満足そうに話してくれた。

 作品づくりはどのように行われたのだろうか。「監督・脚本は僕がやりましたが、編集はいつも通りヒデに手伝ってもらいました」と加藤さん。小向さんは、加藤さんの作品制作を手伝うことが多いのですか?「そうですね。カトケイさんは同級生ですが、放送研究会では先輩なので(笑)」「編集中は基本的にヒデの後ろで僕がギャーギャー言って(笑)」「僕は言われるがまま、黙々とパソコンを…。でも、カトケイさんの『10年後の授業』を手伝った時は、結構自分なりのアレンジを加えちゃいました」。

 今では名(迷)コンビの二人。お互いの第一印象を尋ねると、「カトケイさんは、いつも笑っていて楽しそう。小さなことは気にせず、思うままに生きていて、こんな自由な人いるんだって思いました」と小向さん。一方、加藤さんは「ヒデは変人です(笑)。脚本を読んでも、普通の人が発想しない独特な世界観を持っています。この男、どんな人生を歩んできたのかと思いましたね(笑)」。小向さんはよく変わっていると言われるのですか?「心外ですよ(笑)。ただ、1年生の冬に大病を患い生死の境をさまよったことがあり、眠ったら二度と目を覚ませない気がしてベッドの上でずっと目を開けていました。そんな経験もあって、生への執着は人より強いかもしれませんね。それがカトケイさんに“独特”だと思われる部分なのかな」。対象的な性格の二人。作品づくりおいて、お互いの存在は良い刺激となり、欠かせないパートナーとなったようだ。

 「my Japan Award 2011」を終え、今、二人が思うこと。「入院中のベッドの上でずっと何かしたいと思っていました。僕の作品で会場の人たちを笑わせた時、その何かができた気がしました。これからも人を楽しませるような人生を送りたいです」と小向さん。「自分の作品が、自分の知らない多くの人の目にとまり、議論される経験は初めてでした。何だかすごくうれしくて、クセになりそうです。ずっとこういう生き方ができれば幸せですね」と加藤さん。放送研究会で出会った仲間たちと「my Japan Award 2011」という同じ目標を目指して作品づくりに励んできた経験は、これから長い人生を歩んでいく二人にとって大切な財産となったようだ。

二人で「W」ピース

小向さん監督作品『未来の闘い』より

加藤さん監督作品『10年後の授業』より

(提供:早稲田ウィークリー

加藤 慶吾(かとう・けいご)(右)/文化構想学部5年

神奈川県出身。柏陽高等学校卒業。文化構想学部5年。コメディ映画が好き。山下敦弘監督の作品に感銘を受け、映画にはまる。「泣かせる映画って泣けないんです。逆に、全然泣かせようとしていない映画に泣けてしまうんです(笑)」。監督作品『限界のその先へ』は、2011年TOHOシネマズ学生映画祭にて東日本予選進出作品に、2012年第2回伊勢崎映画祭にてノミネート作品に選ばれた。

小向 英孝(こむかい・ひでたか)(左)/文学部5年

岩手県出身。久慈高等学校卒業。文学部5年。ハッピーな映画が苦手。「映画のいいところは、安全な場所から暴力や悲しみを疑似体験できるところなので、ハッピーな映画は必要がないと思うんです。ハッピーは現実世界にあるべきです」。そんな小向さんの目標は「優しくなること」。2012年東京学生映画祭にて監督作品『異邦人』が、ノミネートされた。