早稲田大学の教育・研究・文化を発信 WASEDA ONLINE

RSS

YOMIURI ONLINE

ホーム > 教育 > ぴーぷる

教育

▼ぴーぷる

略歴はこちらから

エラスムス・ムンドゥス奨学生(哲学部門)に選出
後生(こうせい)を思う教育者として、高校教師を目指す

村上 奈緒子/政治学研究科修士課程2年

 高等教育の質を高めることを目的にEUにより設立された奨学金制度「エラスムス・ムンドゥス」。この哲学部門の修士プログラム「ユーロ・フィロソフィー」の奨学生に、政治学研究科の村上奈緒子さんが選出された。

感情豊かな表情や仕草が印象的な村上さん

 哲学に対して、特殊な学問というイメージを持つ人は少なくないだろう。村上さんもまた、その一人だった。イメージが一変したのは高校時代、学校の図書室でカントの『人間学』を手に取ったことがきっかけだった。難しいと思いながらも根気よく読み進めているとあることに気が付く。「哲学者や思想家なんて聞くと、さぞかし高尚な人物なのかと想像してしまいます。でも、カントだって一人ぼっちだと寂しいし、物やお金が欲しいとも思います。私たちと変わらない、ごく普通の人間なんですよね。同じように、哲学もごく普通の人たちによって営まれるごく普通の学問だということに気付きました」。

 高校を卒業した村上さんは法政大学の文学部哲学科へ進学、講義を通じて多くの哲学者たちの心に触れてきた。「偉大な哲学者たちの共通点は、後進の発展を願っていたということです。私は哲学者ではありませんが、その精神だけは受け継ぎたいと思いました」。やがて村上さんは、後生を思う教育者として、高校教師になることを志す。

ドイツ留学中のひとこま。前列向かって左端が村上さん

 「普通の学問である哲学を学んできた私もいたって普通の学生なんですよね」と笑顔で語る村上さん。ただ、そんな普通な人間にも、何かに挑戦できることを将来受け持つ生徒たちに示したいと思った。法政大学在学中にドイツ留学を経験。卒業後は早稲田大学大学院政治学研究科を受験した。数々の挑戦を重ねてきた村上さんだったが、どうしても自分に自信が持てなかった。「大学院の面接のとき、自分がやりたいことについて用意した以上の言葉が出ずにうつむいてしまいました。正直、『落ちた…』と思いましたね。でも、いつか絶対にここで勉強したいと思えたのです。それぐらい温かい面接でした」。半ば諦めかけていた村上さんだったが、結果は合格。早稲田大学大学院生として飯島昇藏教授の下で政治思想を学ぶ日々が始まった。

 授業はついていくだけで必死。ゼミでは飯島教授に論破されてばかり。ますます自信をなくしていく村上さん。「それでも毎週のように先生と問答を繰り返していくうちに、私の解釈を『おもしろい!』と言って笑ってくださるようになったのです。飯島先生の笑顔を見るたび、自信を取り戻していくことができました」。

 そして村上さんは次なる挑戦に踏み出す。「エラスムス・ムンドゥス」への応募を決意したのだ。「私が今こうして早稲田大学で勉強していることも偶然の結果です。だから先のことは考えず挑戦してみようと思いました。でも、先生の笑顔が見たかったのが本当の動機だったかもしれません(笑)」。ヨーロッパの3つの大学で2年にわたる留学を通し、世界的な視野を身に付けるための修士プログラム「ユーロ・フィロソフィー」。語学に長けていなければ願書の提出自体も困難なはずだが、村上さんは欧州圏外の応募者の中で2番目の評価を受けた。推薦状を書いた飯島教授は今まで見たことのない表情で喜んでくれたそうだ。

 現在、エラスムス・ムンドゥス奨学生としてヨーロッパ留学を控えている村上さん。最後に哲学が与えてくれたものとは?「哲学は私に、夢や出会い、そして自分を肯定する材料を与えてくれました。これから先の人生、どんなことが待っていようと、今の自分になら乗り越えていけそうです」。

 自分自身をごく普通の人間だと話す村上さん。そんな彼女の挑戦は、人は生まれながらに無限の可能性を秘めていることを教えてくれているようだった。

エラスムス・ムンドゥス奨学生は複数の派遣先の大学から学位を同時取得できる
写真提供:欧州委員会

世界各国から集まった奨学生たち
写真提供:欧州委員会

エラスムス・ムンドゥスに興味のある学生は以下Webページを参照してください。
駐日欧州連合代表部 http://www.euinjapan.jp/programme/erasmus/

(提供:早稲田ウィークリー

村上 奈緒子(むらかみ・なおこ)/政治学研究科修士課程2年

愛媛県出身。政治学研究科修士課程2年。愛媛県立松山東高等学校卒業。AKB48の“みおりん”こと、市川美織さんのファン。好物はジャガイモ、「ジャガイモさえあれば、いつもごきげんです(笑)」。