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宇宙のロマンに魅せられ、
無重力実験に挑む!

橋 祐哉/基幹理工研修士2年
芦葉 健太郎/基幹理工研修士1年
前園 拓紀/基幹理工学部4年

 人々の夢を乗せ宇宙へと旅立った小惑星探査機「はやぶさ」が、2010年、およそ7年にわたる旅を終え、地球へと帰還した。日本中に大きな感動をもたらした「はやぶさ」、その最大のミッションは小惑星からの試料(サンプル)採集だった。サンプルリターンと呼ばれる試料採集のための技術は、太陽系の星々が誕生した経緯を解き明かすための重要な鍵になるといわれている。現在、このサンプルリターンの技術革新に、基幹理工学部機械科学・航空学科の川本広行研究室に所属する橋さん、芦葉さん、前園さんが挑んでいる。三人が提案した「静電力を利用した粒子採集システム」は、独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 JAXA主催の「第10回航空機による学生無重力実験コンテスト」で高い評価を得て、今年12月に行われる無重力実験への参加が決まった。成功すれば「はやぶさ」の何倍ものサンプルが採集できると想定され、実用化に至れば日本の宇宙開発の進展に大きく貢献することになる。

 元々、宇宙とはかけ離れたレーザープリンタの研究から出発した川本研究室。三人もまた、始めは宇宙に特別な思い入れはなかったが、トナー粒子を高精度に制御するプリンタ技術を宇宙開発に応用しようという川本教授の熱意に触れ、次第に宇宙に惹かれていく。「宇宙開発は実利に結びつきづらく、国の予算も縮小傾向にあります。それでも、自分たちで考えた技術が宇宙に飛び立つ日が来るのかと思うとやっぱりワクワクしますね」、そう話すのは最上級生として二人の後輩を見守るコンピュータシミュレーション担当の橋さん。「宇宙ってロマンがありますよね。未知の可能性に胸を踊らせながら挑戦を続ける姿勢は、理系の分野に身を置く者の本来あるべき姿なのかもしれません」、二人の先輩に対して積極的に意見を述べる前園さんは実験・装置製作担当だ。「ロマンには人を元気にさせる力があると思うんです。僕たちの試みで、日本中に希望を与えられたら素晴らしいですね」と目を輝かせるのは、リーダーを務める芦葉さん。三人は現在、無重力実験に向けた最終調整を急ピッチで進めている。

 実験用の航空機が1回のフライトで無重力状態をつくり出せる時間はわずか20秒足らず。限られたスペース、限られた時間の中でも、確実に自分たちの粒子採集システムが動作することを証明するため、三人はあらゆる事態を想定した予備実験を繰り返し行っている。三人の代表として航空機に搭乗し、無重力下での実験に臨む芦葉さんは「多分、無重力を味わう余裕なんてないでしょうね」と苦笑い。「ぶっつけ本番なんで、しっかり頼む!」と橋さん。「無重力状態に至るまでに体にかかってくる強い重力に負けないよう、体力づくりもお願いします!」と前園さん。「宇宙開発という分野を通し、日本の技術力の高さを世界中に示していけたら、日本中が再び元気と活気を取り戻せるのだと信じています。僕たち三人の努力を無駄にしないためにも、必ず実験を成功させてきます」、二人の思いに応えるように芦葉さんの目はまっすぐ前を向いていた。

 宇宙、無重力という未知への挑戦を続ける三人。彼らの挑戦が実を結んだとき、私たちもまた未知との出会いを果たし、宇宙のロマンに胸をときめかせるのだろう。

終始和やかにインタビューに答えてくれた三人。研究以外でも一緒に過ごすことが多いそう

はやぶさのサンプル採集装置。芦葉さんたちが提案したシステムが採用される日も近い!? ©JAXA

実験の様子。粉体を扱う際にはマスクの装着が必要となる。左が芦葉さん、右が前園さん

(提供:早稲田ウィークリー

橋 祐哉(はし・ゆうや)(左)/基幹理工研修士2年

東京都出身。基幹理工学研究科修士課程2年。早稲田大学高等学院卒業。趣味はゴルフ。「シミュレーション通りにいかないところが面白いですね(笑)」。

芦葉 健太郎(あしば・けんたろう)(中央)/基幹理工研修士1年

埼玉県出身。基幹理工学研究科修士課程1年。芝高等学校卒業。国際協力や音楽フェス企画などの活動に積極的に取り組んでいる。「みんなが笑顔になる場所が好きです」。

前園 拓紀(まえぞの・ひろき)(右)/基幹理工学部4年

福岡県出身。基幹理工学部4年。福岡県立筑紫丘高等学校卒業。趣味は酒蔵巡り。「石川県の地酒と魚は、最高においしかったです!」。