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進化を遂げたやり投げ界の新星
リオに向け勝利の放物線を描く

ディーン 元気/スポーツ科学部4年

 やりを力いっぱい、遠くへ投げる──。

 一般の人から見れば、やり投げはとてもシンプルなスポーツに見えるかもしれない。しかし、長さ2.6~2.7m、重さ800gのやりを1cmでも遠くへ飛ばすためには、筋力や走力はもちろん、全身の動作を連動させる技術や、地面からの反発力をやりまで伝える技術、競技場の空気に飲まれない精神力などが必要になってくる。シンプルに見えて複雑。一瞬のミスで結果が大きく変わってしまう。

 そんな日本のやり投げ界を牽引するのが、競走部に所属するディーンさん。昨年のロンドン五輪に出場し、日本人として28年ぶりに決勝戦へ進出。総合10位の結果を残した。日本で歴代2位の84.28mという自己ベスト記録を持つトップアスリートであり、2016年のリオデジャネイロ五輪に向け、期待を集める選手の一人だ。

第96回日本選手権で大会新記録をマークして初優勝。この大会でロンドン五輪出場が決定した
©早稲田スポーツ新聞会

 「なかなか伝わりづらいかもしれませんが、やりは本当に細かいさまざまなポイントがかみ合わないと遠くへ飛ばすことができません。しかも、全てが完璧にかみ合うことはほとんどなく、いい投擲(とうてき)ができたと思っても必ずどこかにミスがある。それを修正し、次に生かす。ひたすらその繰り返しです」。

 ディーンさんは高校時代、やり投げでインターハイと国体で2冠を達成している。早くから将来を嘱望されたエリートだったわけだが、本人いわく「当時は力任せに投げていただけの素人」。さらなる進化を目指したディーンさんは、やり投げの指導者として有名な田内健二コーチ(現・中京大)が在籍する早稲田大学への進学を決意。入学後は競走部に入部し、力を伸ばしていった。

 「入部以来、田内コーチには、助走や下半身の使い方を徹底的に教えていただきました。その結果、2年間で約14mも飛距離を伸ばすことができました。ロンドンは父の故郷であり、そこで開催されるロンドン五輪は高校時代から目標にしていた大会でした。競走部で技術を磨けたことや、同じ部に所属する他競技の選手たちから刺激をもらったことが、五輪への切符をつかめた大きな理由だと思っています」。

 そんなディーンさんも今年で4年生。進路については、「よりよい競技環境を求め、さまざまな企業の方とお話ししています。卒業後は海外でのトレーニングや大会参加も増やしていきたいので、国際的なパイプを持っている企業とパートナーシップを組めたらと思っています」と力強く語る。すでにリオ五輪への戦いは始まっているのだ。「とはいえ、早稲田での最後の1年でもあるので、楽しみたいという気持ちも強いです。部活動と学業の拠点である所沢キャンパスは恵まれた環境の中にあるので、普段はあまり遠出することはないのですが、今年は早稲田キャンパスの方にも行きたいと思います。ロンドン五輪の壮行会などで、まだ2、3回くらいしか行ったことがないんですよ(笑)」。

 好きな音楽はアンダーグラウンドのHIP HOPで、ときどき都内のライブハウスまで足を運ぶという。競技を一歩離れたディーンさんは大学生らしい笑顔をのぞかせていた。

昨夏、早稲田キャンパスで行われたロンドン五輪壮行会の様子。多くの早大生、報道陣が駆け付けた

渾身の力を込めてやりを投げる
©早稲田スポーツ新聞会

練習の合間を縫ってインタビューを受けてくれたディーン選手

(提供:早稲田ウィークリー

ディーン 元気(でぃーん・げんき)/スポーツ科学部4年

兵庫県出身。市立尼崎高校卒業。182cm、88kg。高校時代にやり投を始め、大学進学後は世界大会などで入賞を連発。2012年6月の日本選手権で優勝し、ロンドン五輪出場を果たす。