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三軒茶屋映像カーニバルで名誉賞!
いつまでも“映画少年”の心を胸に

内田 清輝/川口芸術学校 映像文化学科4年

 SF、B級ホラー、特撮ヒーロー、カンフーアクション……。早稲田大学川口芸術学校に在籍する内田さんの映画には、さまざまな映画のエッセンスが散りばめられている。2011年には、「三軒茶屋映像カーニバル」で約100作品の中から『MAD☆VOGUE ~恐怖の充電池人間~』が、名誉賞、優秀賞(情熱技術部門)、主演男優賞、主演女優賞を受賞。8ミリフィルムで撮影された、“内田ワールド全開”の意欲作だ。わざとフィルムに傷を付けてレーザービームを合成したり、油性ペンでフィルムを真っ赤に塗って色付けしたりと、アナログな加工が随所に施されたこの作品。どうしてデジタル全盛の時代にもかかわらず、手作業にこだわったのだろう。

地球温暖化対策用サイボーグ「充電池人間」と宇宙人と博士らの戦いが始まる。『MAD☆VOGUE』(略題)の劇中シーンより

 「高校生のころは、技術がないながらも仲間たちとの撮影を心から楽しめていました。でも最近は、作品をつくることが目的になってしまい、映画づくりを義務のように感じていたんです」。そこで、原点に帰ろうと、フィルムの現像から、合成、編集までを全て自分の手作業で行う8ミリフィルムで撮影することを思い立つ。「事前の準備はほとんどせず、現場で感じたことを大事にカメラを回しました」。そうして完成した作品は、内田さんの自由で斬新な作風と、8ミリ映画のアナログ感とが相まって、冒頭のとおり数々の栄誉に輝くこととなった。

 内田さんが映像に興味を持ったのは中学生のころ。カメラ店を営む祖父の影響で幼少期から暗室に出入りしていた。やがて、興味は写真から「動く写真」である映画へ変わり、『スター・ウォーズ』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』などのSF映画に憧れを抱くようになる。高校進学を機に映画部を立ち上げると、仲間と共に自主映画づくりに没頭。当初は、低予算、早撮りが代名詞のヌーベルバーグを参考にしたこともあったが、本格的な映像を目指せば目指すほど、自分たちの撮影技術や演技のあらが出てしまう。そこで、同じ低予算映画でも初期のSFやB級ホラーを手本とすることに。「王道ではなく、こちらの道で勝負しようと決めました」。その結果、「映画甲子園」で2年連続受賞を果たすまでになる。

 現在、内田さんは4年生。川口芸術学校は、内田さんの代の卒業と同時に閉校が決まっている。「学校がなくなってしまうのは残念ですが、少人数の実習を中心とするこの学校で、多くのことを学びました。学生同士の距離がとても近く、気兼ねなく何でも言い合える仲間と出会えたのは大きな財産です」。

 卒業後は、映像業界を志望している内田さん。今後、どのような作品を見せてくれるのだろう。「自主映画って“分かる人にだけ分かればいい”という部分が少なからずありますよね。だから、決して独り善がりにはならずに、映画館に来てくれた誰もが楽しめるようなエンターテインメント作品をつくっていきたいと思います」。夢は大きく、ハリウッドでSF大作を撮ること。映画少年の心を取り戻した内田さんは、今後も自身の夢に向かってたくましくまい進していくことだろう。

『デンジャラス・ニート』の劇中シーンより。内田さん自身が作品に出演することも

80年代のアイドル映画をオマージュした『だが、しかし…! 七色の光線!!』のポスターデザイン

『ムー王国VSマシン帝国』の劇中特撮シーンより

(提供:早稲田ウィークリー

内田 清輝(うちだ・きよき)/川口芸術学校 映像文化学科4年

東京都出身。都立六本木高等学校卒業。高校生のときから独学で自主映画を撮り始め、2011年、『MAD☆VOGUE ~恐怖の充電池人間~』が「三軒茶屋映像カーニバル」で名誉賞をはじめ4賞を受賞。