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陸上同好会からメダリストを目指す
悔し涙を糧に、パラリンピックの夢舞台へ

芦田 創/政治経済学部3年

 生まれつきの病気で右腕を自由に動かすことができないが、それをハンディキャップと感じたことはなかった。子どものころから運動が大好きで、中学では卓球部に所属。利き腕ではない左腕でプレーして活躍した。引退後、体力維持のために参加した陸上部の練習で、誰よりも早く走れることに気付く。これをきっかけに高校では陸上部に入り、大阪府大会で準決勝まで残る実力者となった。障がい者が参加する大会があることを知ったのもこのころ。高校3年生で初めて出場すると、400mを51秒30の日本新記録でいきなり優勝。周囲に勧められ、ロンドンパラリンピックの選考レースに参加するが、思うような結果が出せずに落選。「もうタイムを競うのは限界かな」。そんな考えが頭をよぎり、競技者としての道を諦めてしまう。早稲田大学に入学してからは勉強に励み、陸上同好会で趣味として陸上を楽しんでいた。

2013年のジャパンパラ競技大会では、4×400mリレーに第2走として出場。3分48秒のタイムで見事優勝を果たす

 しかし、半年後の2012年、夏。ロンドンパラリンピックをテレビで見ていた芦田さんの心に、ある思いがふつふつと涌き上がっていた。「この舞台に立ち、誰よりも速く走りたい」。

 情熱に突き動かされるまま、ランナーとして再スタートを切った。慣れ親しんだ仲間がいる同好会に所属したまま世界を目指すことにした。コーチがいないため、練習内容は全て自分で作成。講義後や週末、予定が合う仲間とグラウンドに行き、メニューをこなす。毎日欠かさず練習日誌を書き、食生活や生活リズムにも細心の注意を払う日々に、「どんな状況でも結果を出すのが一流の選手ですから」と芦田さん。アスリートは1日休むと、取り戻すのに3日かかるといわれているが、半年ものブランクによる衰えは、芦田さんの想像をはるかに超えていた。ベストタイムから3秒も遅くなり、イメージしているフォームに体が追い付かず、けがをすることも。「これから新しい自分になる」と言い聞かせ、厳しいトレーニングに打ち込み努力が実ってタイムを取り戻すと、日本代表の強化合宿にも呼ばれるようになった。

 そして昨年、フランス・リヨンで行われたIPC陸上競技世界選手権大会(国際パラリンピック委員会主催)に初出場。しかし、日本選手団としてレースに臨む緊張感から、得意の400mでは惨敗を喫する。「あんなにガチガチになったのは生まれて初めて。日の丸を背負うプレッシャーを感じましたね」。4×100mリレーでは、最も重要といわれる第3走を任され、3位のロシアに0.1秒ほどの僅差で4位。メダルまではあと一歩だったが、1位のアメリカとは5秒以上の差。世界との厚い壁に、悔し涙が止まらなかった。

 10月に開催されるアジア大会では、100m、200m、400m、4×100mリレー、走り幅跳びの5種目でメダルを目指す。「世界で活躍するための通過点ですよ」と芦田さん。「アジア大会で結果を残し、まずはリオのパラリンピックで決勝に残りたい。そして、2020年の東京では絶対にメダルを取ります」。あの日の涙を糧に、世界へのリベンジを果たすために、芦田さんは6年後の夢舞台をはっきり見据えている。

フランス・リヨンでのIPC陸上競技世界選手権大会にて、公式マスコットと記念撮影

陸上同好会は自己ベストの近いランナーが多く、お互いに奮闘し合える仲間だ

同好会は300名以上が在籍している大規模なサークル

(提供:早稲田ウィークリー

芦田 創(あしだ・はじむ)/政治経済学部3年

大阪府出身。早稲田摂陵高等学校卒業。週2日のオフは、自宅でDVD鑑賞や漫画を読んで過ごす。好きな映画はディズニー作品、漫画なら『テラフォーマーズ』。将来は陸上競技に関わる仕事に就きたいとも考えている。