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自転車ロードレースは人生そのもの
負けず嫌いを原動力に走り抜け!

合田 祐美子/スポーツ科学部4年

 起伏に富んだ9kmのコースを11周と少し──。100kmもの距離を約3時間で走り抜ける「全日本学生選手権個人ロードレース大会」は、実に劇的な幕切れだった。雨の中、最後の上り坂で前回優勝者との競り合いを制した合田さんは、もつれるようにゴールラインを通過する。後続との差はわずか数十cm。大学自転車界に新女王が誕生した瞬間だ。

全日本学生選手権個人ロードレース大会で優勝し、表彰される合田さん。160cm弱のきゃしゃな体格に驚かされる

 合田さんが自転車競技を始めたのは高校2年生。元々“走ること”が好きで、中学では陸上をかじっていた。そのときのコーチでもある父の勧めがきっかけだ。「勉強漬けの日々を送っていたので、それだけで高校生活が終わるのが嫌だったんです。父から『競技人口も少ないし、頑張れば全国大会で入賞できるかも』と言われたのも大きかったですね」と当時を振り返る。

 高校時代、勉強ばかりしていたのには理由がある。物心ついたころから、京都大学の姉、東京大学の兄と同じ道を歩まなければと無意識に思い込んでいたからだ。当然、姉兄と同じ国立中学に入学するものだと思っていたが、何と受験に失敗。その失敗を取り戻そうと、中高一貫の進学校に進み、受験勉強に励んでいたのである。けれど、何かが物足りない…。自転車競技と出合ったのはそんな矢先だった。

 新たに夢中になれるものを手に入れた合田さんは、人生で初めて誰のまねでもない“自分の道”と巡り合う。ぐんぐんと実力を付けると、高校最後の全国大会で3位に。目標だった全国入賞を果たし、自転車はきっぱりやめるつもりだった。「そもそも自転車競技を始める際、高校3年になったら受験に専念する約束だったんです。でも、ジュニアオリンピックでトップレベルの選手を目の当たりにしたら、そこでやめるのが悔しくて」。揺らぐ胸の内を父に明かし、相談の末、学生自転車界のトップチームである早稲田大学への進学を決意した。

 無事に早稲田に入学したものの、当時の自転車部の女子選手は、合田さんただ一人。練習に付いていくだけで精いっぱいだった。「男子よりたくさん練習しても簡単に負けてしまう。それがとにかく悔しかった」。しかし、男子部員の中で地道な鍛錬を繰り返した合田さんは、知らず知らずのうちに揺るぎない実力を手にしていた。

「正直、全日本学生選手権での優勝は予想外でした。途中、何度も離されて心が折れそうになりましたが、ラスト1周で気が付いたら3位だったんです。こうなったらもう前に行くしかないなと。がむしゃらにこいだら最後の最後で追い付いて。ラストのゴール勝負になれば負けません。いつも男子に鍛えられてますから(笑)」。

 そして最終学年を迎えた今年。大学卒業と同時に自転車競技を終えようと考えていた合田さんだが、再び負けず嫌いの虫がうずき始めた。「先日、初めて海外レースを経験したんですが、ほとんど何もできませんでした。でも、まだまだ成長できるなって。今の夢は2020年の東京オリンピックに出ることです」。6年後のゴールを高らかに宣言した合田さんは、これからも“自分の道”を相棒と共に走り続ける。

ベトナムで行われた国際大会にて。8日間にわたるステージレースも経験した

お互いを尊重し合える自転車部の仲間たちと。ロード練習では、奥多摩まで行くことも

厳しい練習や勝利の喜びを共にする相棒の“コルナゴ号”

(提供:早稲田ウィークリー

合田 祐美子(ごうだ・ゆみこ)/スポーツ科学部4年

岡山県出身。朝日塾中等教育学校卒業。高校時代に自転車競技を始める。早稲田大学自転車部において、二十数年ぶりの女子選手に。「第29回全日本学生選手権個人ロードレース大会」優勝。和菓子(あんこ)が大好物。