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全日本学生選手権を制した航空部
勝負のポイントは“上昇気流”!

安達 拓人/先進理工学部4年
平井 紀江/法学部4年

 動力のない飛行機を操り、空を自由に飛びながらタイムを競うグライダー競技。その全国的な強豪が、早稲田大学航空部である。だが、動力がない飛行機とはどのようなものか?レースの面白さもそこにある。2012年全日本学生グライダー新人競技会で、創部初の個人優勝を果たした安達さんはこう語る。

2014年全日本学生グライダー競技選手権大会で、2009年以来となる団体優勝を果たし、トロフィーを受け取る安達さん
写真提供:亀尾正敏

 「幅15mの飛行機にワイヤを付け、それをマシンで急速に巻き取ることで滑走して飛び上がるんです。コックピットも小さいので、鳥のすぐ近くで飛ぶことができるし、動力がないからこそ風の力をダイレクトに感じる。それが楽しい瞬間ですね」。

 機体は上空に飛んだ後、自力では浮上することができない。そこで重要なのが上昇気流。例えば地上に大きな工場があると、その反射熱で空気が暖められ、上空には上昇気流が生まれる。そこに機体を運び、細かく旋回を繰り返しながら高度を2,000m程度に上げ、滑空する力でコースを進んでいく。高度が低くなったらまた上昇気流を探す。これを繰り返し、40kmほどのコースを30分程度でゴールする。

 「トビが飛んでいる場所や、大きな雲の下は上昇気流があるポイント。あとは機体の揺れ方や流され方を感じて、より良い気流を見つけることが大切」。勝負の鍵をそう解説してくれた安達さんだが、実はジェットコースターにも乗れないくらいの怖がりだった。「高校ではラグビー部に所属していましたが、僕は体格も小さかったし、活躍できなかったんです。だから大学では、日本一になれる部活に入りたかった」。その言葉どおり、2014年全日本学生グライダー競技選手権大会では、2009年以来となる団体優勝を果たし見事に夢をかなえたのだった。

 一方、数少ない女性部員である平井さんは、初飛行となった体験フライトをこう振り返る。「あっという間にすごい高さになっていて、とにかく怖かった(笑)。でも子どものころ、飛行機で行った旅行が楽しくて、いつかパイロットになりたいと考えていたことを思い出したんです。私でも空を飛べるなら、挑戦したいと思いました」。機体を運転するには「自家用操縦士技能証明書」のライセンスと無線免許の取得が必要で、文系の平井さんにはハードルが高かったが、授業の合間に勉強を重ねて試験に合格。機材無線主任としてもチームを支える頼れる存在だ。「車のF1レースと同じように、クルーも含めたチームが一体となって戦うのがグライダー競技。みんなの息がぴったり合って、レースで良い成績を残せた瞬間は最高にうれしい」。

 現在は全日本学生選手権での2連覇を目標に、毎週末に合宿を組んで練習中。9月には六大学対抗競技会も控える。同時に、平井さんは就職活動にも精を出す。幅広い業種の説明会に参加しながら、第一志望はやはり航空会社。安達さんは大学院に進み、宇宙関連の研究を行う予定。その後は指導者の資格を取り、航空部で後輩たちを育てるという新たな夢を描いている。「グライダーの楽しさにすっかりはまっちゃったので、次はこの楽しさをもっとたくさんの人に知ってほしいです」。

上空では時速90kmほどでフライト。「もう慣れたから怖さはない」と安達さん

コックピットには計器が並び、動力がないこと以外は普通の飛行機とほとんど変わらない作り

地上で見守る仲間たちも、大切なチームメイトだ

(提供:早稲田ウィークリー

安達 拓人(あだち・たくと)/先進理工学部4年

神奈川県出身。県立湘南高等学校卒業。「趣味は部活」と言い切るほどグライダーが好き。練習がない日でも競技に役立つ勉強を重ね、レースに備えている。

平井 紀江(ひらい・のりえ)/法学部4年

兵庫県出身。県立星陵高等学校卒業。趣味は読書で、中でも伊坂幸太郎が好き。オススメは『陽気なギャングが地球を回す』『オー!ファーザー』など。