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授業で身に付いた行動力 ビジネスコンテスト世界大会に出場

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葦苅 晟矢/商学部4年

「特別な才能がなくても、練習を繰り返すことでプレゼンに自信」

 水産養殖業における主要な飼料で価格高騰が続く魚粉に代わり、飼育が簡単で安価なコオロギを新たな餌とするビジネスモデル「昆虫飼料活用による食糧循環型システムの確立」。考案した葦苅晟矢さんは、モデルの新規性や成長性などが高く評価され、世界各国から約480校・5,000チーム以上が応募したハーバード大学やスタンフォード大学などが主催する「インターナショナル・ビジネスモデル・コンペティション」の日本大会で優勝しました。「話すことがうまいわけではなく、プレゼンテーションは得意ではなかった」という葦苅さんですが、2016年4月下旬に米国シアトルで行われた世界大会では日本代表として準々決勝に進出。自己鍛錬で磨いた、自らの視線も計算した“プレゼン力”を最大の武器に、現地調査による確かな証拠に基づいた内容で審査員をうならせました。

――日本大会で優勝したビジネスモデルの特徴は?

 ビジネスコンテストというと最近はIT関係の内容が多く、水産業という第1次産業を対象としたものはなかなかありません。「食糧循環型」というのは、人間の廃棄野菜を使ってコオロギを育て、それを餌として魚に与えて、人間が魚を食べるというシステムです。「模擬国連早稲田研究会」という公認サークルに所属していたとき、国連食糧農業機関(FAO)が世界の食糧問題を解決する方法として発表した昆虫食に関する報告書からアイデアを得たもので、そうした新規性も評価いただけたのだと思います。

葦苅さんが考案した食糧循環型システム

――工夫した点はどのようなことですか。

 ビジネスモデルは新規性が大事ですが、仮説検証がきちんとなされているかという信頼性も大事です。水産養殖業を行っている現地に足を運び、タイやブリを育てている関係者15名以上にインタビューして、実際に顧客となる人の声を反映し、内容に説得力を持たせました。また、コンテストは、最後はプレゼンテーションで優劣が決まりますので、いかに審査員を引き込むかがポイントになります。そのため、スライドは一切見ずに審査員を目を合わせて話し続けました。こうしたことは練習しなければできないことだと思います。自分には特別な才能はなく、話すこともうまくはないので、練習あるのみでした。資料を見ないで話して、その様子を録画して繰り返し確認し、さらに大学の先生に頼んで目の前でプレゼンし批評していただきました。コンテスト前はいつも50回以上は練習しています。以前はプレゼンで散々な結果になったことがありましたが、今は「誰にも負けない」という自信を持っています。

――今回のビジネスモデルは今後、どのように展開されるのですか。

 このビジネスモデルはまだ仮説検証が終わっていません。先日、コオロギの養殖を研究しているタイの大学教授に連絡を取り、タイでは伝統的に食用としてコオロギの養殖をしている地域があることを知りました。日本でコオロギを養殖する場合は人件費が高くなるという問題があります。タイでの養殖がうまくいくのか、自分の目で確かめたいので、この夏には旅行を兼ねて現地を調査する予定です。

葦苅さんが訪れた愛媛県宇和島市内の水産養殖場。現地に足を運んで、生の声を聞くことを大切にしている

――その行動力はどのようにして身に付けたのでしょうか。

 もともと行動力があったとは思っていませんが、3年生の春学期に受講していた商学部の授業「起業家養成講座」が、きっかけかもしれません。大人数の授業ではなく、グループワークによるビジネスプランの作成演習を通じて起業家精神や経営哲学を学び、企画構想力やディベート力、プレゼンテーション力を身に付ける授業でした。実際に行動が求められる授業で、先生からは「とにかく顧客の声を聞きなさい」ということを言われ、その通りにしていたら行動力がついてきた、ということだと思います。この授業は今までの学生生活で一番楽しい授業でした。また、早稲田大学は個性的な学生が多く、サークルではニューヨークで行われた「模擬国連会議全米大会」に出場するような国際貢献を本気で考えている学生とも出会うことができ、大学生活全般にわたって大きな刺激を受けました。将来は社会貢献する分野で活躍できる人材になりたいですね。

――シアトルで行われた世界大会に出場した感想を聞かせてください。

 徹夜の英語プレゼン準備で臨みましたが、準々決勝で敗退して悔しい思いをしました。米コンサルティング企業ボストンコンサルティンググループ出身のハーバード・ビジネス・スクールの学生やインド、ブラジルなど世界各国の強豪チームの学生による問題の見つけ方や仮説検証の巧みさには圧倒されました。この経験を基に、残りの学生生活も頑張りたいと思っています。

(提供:早稲田ウィークリー

マイクロソフト本社で行われた世界大会。葦苅さんは新たな経験を糧にさらなる成長を誓った

葦苅 晟矢(あしかり・せいや)/商学部4年

大分県出身。ラ・サール高等学校卒業。入学後、公認サークル「模擬国連 早稲田研究会」に所属し、副幹事長を務めた。同サークルに所属できるのは2年次までのため、その後、新たに情熱を注ぐ課外活動としてビジネスコンテストに興味を持ったという。2016年2月、10チームがファイナリストとなったジャパン・ビジネスモデル・コンペティションで優勝した。2016年4月下旬には日本代表として米国シアトルのマイクロソフト本社で行われた世界大会に出場し、準々決勝進出を果たした。