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そろばん「フラッシュ暗算」で世界記録 3桁の数字15個の和を1.60秒で計算

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高倉 佑一朗/社会科学部 4年

「頭の中で、全ての数字がそろばんに置き換わるんです」

 日本では500年以上の歴史があり、今でも小学校で必修項目となっている「そろばん」。高倉佑一朗さんは幼少期に始めたそろばんを極め、2015年12月26日、埼玉県さいたま市で開かれた「全国珠算(※)競技大会そろばんクリスマスカップ2015」(日本珠算協会主催)で、「フラッシュ暗算」1.60秒という前人未到の記録を打ち立てました。これは、前年の大会で自身が出した世界記録、1.64秒を0.04秒短縮しての快挙でした。高倉さんに、知られざるそろばんの世界やその魅力について聞きました。

※珠算(しゅざん)…そろばんのこと。

――フラッシュ暗算とは何ですか?

 画面に連続して映し出される3桁の数字15個の和を計算してその速さと正確さを競う、そろばん競技の一つです。数字の表示時間が短ければ短い方が勝つというもので、私は1.60秒で世界記録となりました。この計算は、珠算式暗算で行います。そろばんを学んでいる人たちは、数字を見ると、頭の中にぱっとそろばんの盤面が現れるんですね。計算の際は、イメージ上のそろばんの玉を動かしていくので、答えが一瞬で出るんです。最後の数字が映し出されたときには、すでに計算は完了しています。町中で見るさまざまな数字、例えばレストランのメニューの金額を見ても、反射的にそろばんの玉に置き換えて認識していますね。

目にも止まらぬ速さでそろばんをはじき、計算問題を次々に解いていく

――なぜそろばんに興味を持ったのでしょうか。そのきっかけは?

 自宅の近くにそろばん塾があり、幼稚園年長のころに通い始めました。日本珠算連盟珠算10段(最高位)を持つ先生が熱心に指導してくださり、計算するのがただ面白くて、すぐにはまりました。小学1年生のときには日本珠算連盟暗算1級(3桁×2桁の計算を、1問約8秒で解くレベル)に合格し、それからは大会に出ることも多くなりました。そろばんのおかげで、整数の足し算・引き算・掛け算・割り算は得意です。電卓より早いので、友人と割り勘する際などにも重宝されますね(笑)。

――そろばんの魅力はどんなところですか?

 練習すればするほど上達するところです。練習ではプリントの計算問題(10段レベルの問題をさらに難しくしたもの)を解いていくのですが、練習の成果が点数という形で一目瞭然に表れるんですね。それが負けず嫌いの心に火を付けるんです。また、年に10回ほどさまざまな珠算大会に参加しているのですが、そこでもやはり、努力が結果に結びつくことがうれしいです。下は小学生から上は40代の方まで、世代を超えた多種多様な参加者と競えるのも、そろばんの面白さの一つです。

 去年、ある大会で準優勝に終わったのですが、優勝者が所属サークルである珠算部の後輩だったんです。それがとても悔しかったですね。実は早稲田大学はそろばんの強豪校で、珠算部で出場している全日本通信珠算選手権大会(一般の部)では3連覇中なんですよ。

――一日にどれくらい練習しているのですか?

アルバイトとして、自身も通っているそろばん教室の講師を行っている

 特に予定がなければ、平日は18時から20時の2時間、休日は9時から17時まで、ずっと練習しています。子どものころから通っている教室で、時間を計りながらひたすら計算問題を解いていきます。それに加えて、珠算部でも週に1回程度練習しています。

 私は毎日こつこつというのが苦手なのですが、2、3日でも練習を休むと、如実に感覚が鈍って、休まなければよかったなと後悔するので、サボれないですね(笑)。そろばん競技に最も大切なのは、集中力です。集中力を高めるためにも練習は欠かせないのですが、計算中に手を大きく振るのが癖になっています。というのも、普通の計算(筆算)は左脳でするらしいのですが、そろばんは視覚的なイメージを基に計算をするためか、右脳を使っているそうなんです(※)。脳と手の神経はつながっていると聞くので、そのためかもしれません。

※参考:
脳波から見た”そろばん”有段者のイメージ思考」
右脳開発における珠算教育のあり方について

――これからの目標は?

 毎年8月8日のそろばんの日(「パチパチ」という音から)に開催される、「全日本珠算選手権大会」で優勝することです。「ギネス世界記録」として登録されるためにはこの大会での記録が必要なので、ぜひ実現させたいですね。また、今年の11月に開催される「珠算名人位決定戦」では、昨年の優勝者の方が8連覇中なので、それも阻止したいと思っています。卒業後は、証券会社や銀行に就職して、そろばんで磨いた計算力を生かしたいですね。

(提供:早稲田ウィークリー

キャリアセンターは、学生会館3階にあります!

高倉 佑一朗(たかくら・ゆういちろう)/社会科学部 4年

千葉県出身。早稲田実業学校高等部出身。公認サークル「珠算部」所属。高校時代も珠算部に所属し、そろばんの腕を磨いた。「フラッシュ暗算世界記録保持者」として、新聞やテレビなど、メディアに取り上げられること多数。「算数は得意でしたが、数学は普通。珠算部のメンバーも、ほとんど文系です(笑)」とのこと。そろばんの他に好きなことはラーメン店巡りで、大学近辺では「渡なべ」がお気に入り。