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液状の白色有機ELで自在に曲がるディスプレーも? 修士1年で『Nature』関連誌に論文掲載

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小林 直史/大学院基幹理工学研究科 修士課程 2年

「肉眼では見えない世界に心を奪われた」

 薄くて軽くて折り曲げることも可能なディスプレー。そんな夢のような製品の開発にもつながる画期的な「マイクロ流体白色有機ELデバイス」を実現した小林直史さんは、自在に形状を変形できる液体有機半導体を発光材料に用いて、困難とされる白色発光を成功させました。2015年10月、小林さんは当時修士1年生でありながら筆頭著者の1人となり、英科学誌『Nature』を発行するネイチャー・パブリッシング・グループのオンライン科学誌『Scientific Reports』に論文として発表しました。

――この研究はいつから始めたのですか。

 大学3年生のときからデバイスの作製手法は学んでいたものの、有機ELについては研究していませんでした。しかし、4年生のとき、ドクターの先輩から白色発光について提案をいただいたことが研究に取り組むきっかけとなりました。所属する理工学術院・庄子習一研究室は2013年、世界で初めて「マイクロ流体有機EL」を作製しており、その手法に基づけば可視光領域を広くカバーする白色発光が可能だと考えました。白色発光を実現する方法はだいたい予想できましたので、あとはそれを可能にする機器をいかに作るかが問題でした。4年生の9月から機器のデザインを考え始め、基板を作ることから始めて実験を繰り返し、12月には白色発光を実現することができました。大学院に進学した翌年4月に『Scientific Reports』誌に論文を投稿し、10月に掲載されました。

――有機ELに興味を持ったきっかけはなんですか。

マイクロ流体有機EL技術

目イクロ流体白色有機ELのコンセプト図

マイクロ流体白色有機ELデバイス

 学部生のとき、顕微鏡で観察しているうちに「肉眼では見えない世界」に次第に心を奪われていきました。マイクロ(10のマイナス6乗=0.000 001)やナノ(10のマイナス9乗=0.000 000 001)という単位で見える世界です。「電子機器は今後、ナノテクノロジーが発展していく。開発のしがいがある分野だ。ナノテクノロジーを用いた電子機器を作ってみたい」。そう思って勉強を進めるうちに、次世代のディスプレーや照明として期待される「有機EL」にたどり着いたのです。

――学部生のときはどのような学生だったのですか。

ジャグリングの技を披露する学部時代の小林さん

 3年生まで大学公認の「早稲田大学ジャグリングサークル~infinity~」に所属していました。新歓の時期に見て興味を持ったのですが、このサークル活動によって人前で何かをする、ということに慣れていきました。研究に関するプレゼンテーションをするときなど、別にうまいわけではありませんが、緊張するということは少なくなったと思います。

――「マイクロ流体白色有機ELデバイス」は今後、どのように展開されるのですか。

 白色発光はまだ1ミリ四方のサイズでしか実現できていないので、これをもっと大きなサイズ、5インチ程度のスマートフォンサイズで可能にしたいと思っています。しかし、私は修士課程修了後、一般企業のメーカーに就職する予定ですので、「有機EL」の研究からは離れることになります。今後は全く新しい分野に挑戦してみたいですね。庄子研究室には優秀な先輩方がたくさんいらっしゃるので、研究の発展を外から見守りたいと思います。

(提供:早稲田ウィークリー

小林 直史(こばやし・なおふみ)/大学院基幹理工学研究科 修士課程 2年

東京都出身。都立武蔵高等学校卒業。理工学術院・庄子習一研究室に所属。研究で疲れたときは、車を運転して遠出したり、バラエティー番組を見てリフレッシュするそう。

◆小林さんの論文に関する早稲田大学プレスリリース
自在に変形できる液体材料を用い、可視光領域を幅広くカバーする白色発光光源を開発