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「プラントオパール」発見、元「リケジョ高校生」の今

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筒井 音羽(右)/政治経済学部 3年
坂本 玲(左)/教育学部 2年

「研究を通して自分のやりたいことを認識し、それに向けて意識的に取り組むようになりました」

 早稲田大学本庄高等学院在学中に、クワの葉から植物の宝石といわれるガラス質の結晶「プラントオパール(※)」を発見し、教員の協力の下、国際的な植物専門誌『Flora』に執筆した英語論文が掲載されるという快挙を成し遂げた元「リケジョ高校生」の2人。顕微鏡を眺め続けた高校時代から今の大学生活、そして未来について語ってもらいました。

※プラントオパール
植物の細胞組織にできるガラス質の結晶で、土などに含まれるケイ素が、根から吸い上げられていく過程の中で酸化し、葉の上で固まったもの。イネ科のものがよく知られており、主に考古学で稲作の起源を探る研究に用いられることが多い。クワの葉から発見されたのは今回が初となる。クワのプラントオパールは蚕の食欲誘因物質の一つといわれており、絹の増産につながる可能性のある発見となった。

――高校在学中にこの研究を始めたきっかけは何ですか?

筒井

高校2年生の時に、先輩の研究のサポートを始めたのがきっかけです。本庄高等学院では全員が卒業論文を書くことになっていて、クワの研究は2010年から有志の学生が卒業論文のテーマとして行ってきたものです。私は3代目として引き継いだのですが、これまで先輩たちが行ってきた統計手法的なアプローチに限界を感じ、顕微鏡で観察するミクロ的アプローチを導入しました。

坂本

私は筒井さんの研究サポートを始めたのがきっかけです。その中で自分の立てた仮説を検証するためにデータを取り、検証を進めることに面白みを見いだし、引き継いで研究を進めようと思うようになりました。

――発見までには大変なことも多かったと思いますが、忘れられないエピソードなどがあれば教えてください。

筒井

観察したクワの葉はトータルで2,000枚以上を数えました。研究時間を確保するために、高校により近い親族の家に下宿して始発電車に揺られて通学し、最終下校時刻ぎりぎりまで毎日研究をしていたのを思い出します。今思うとよくやったと思いますが、そのころは毎日の研究が本当に楽しかったです。

坂本

クワの葉をエタノールに浸して脱色するのでその臭いがきつかったり、暗室でステージを回転させながら偏光顕微鏡を見るので頭がくらくらし、最終的には乗り物酔いの薬を服用しながら研究を行うこととなり、それが大変でした。

クワ観察の様子

プラントオパール

――この研究を通して得たもの、大学生活で生かされていることがあれば教えてください。

筒井

高校入学当初は文系に進むつもりでしたが、研究を通して自分のやりたいことを認識し、それに向けて意識的に取り組むようになりました。その結果、教育学部生物学専修に進むことにしました。

坂本

仮説を立てて検証を行うプロセスの進め方は今でも役に立っていますし、社会に出てからもきっと役立つと思っています。また、論文を書く際に多くの専門家にお話を伺ったのですが、行動力やコミュニケーションスキルなどが養われたと感じます。

――これからしてみたいこと、将来について聞かせてください。

筒井

まずは研究室に入って自分で研究したいです。そのために今は基礎的な知識をしっかりと身に付け、卒業後も大学院で生物学を究めたいと思っています。

坂本

私はクワの葉の研究をきっかけに、環境経済学に興味を持ちました。生物多様性が失われることによって、どれだけの経済的損失が生じるかを考える学問です。将来的には海外の大学院に進学後、国際機関などで仕事をしたいですね。

「早稲田大学混声合唱団」でも活躍中(坂本)

ノックスカレッジ留学中は毎日がハードでした(筒井)

(提供:早稲田ウィークリー

クワに詳しい2人は戸山公園到着後、瞬時にクワを発見

筒井 音羽(つつい・おとは)/政治経済学部 3年

東京都出身。早稲田大学本庄高等学院卒業。2016年6月上旬まで米国イリノイ州ノックスカレッジに留学。復習・予習に多数の文献を読むハードな留学生活から帰国して感じるのは、日本のご飯のおいしさ。

坂本 玲(さかもと・れい)/教育学部 2年

埼玉県出身・早稲田大学本庄高等学院卒業。授業が1限から5、6限までぎっしり埋まっている中で、公認サークル「早稲田大学混声合唱団」でも活動する忙しい日々を送っている。

◆論文掲載に関する早稲田大学プレスリリース
・リケジョ高校生、蚕が食べるクワの葉に植物の宝石「プラントオパール」を発見 本庄高等学院の高校生の論文が国際的植物専門誌に掲載へ http://www.waseda.jp/top/news/35479