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オバマ大統領らに政策提言 G20ユース日本代表 葉マリレーナ

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葉・シュミッヒ・マリレーナ・利花/国際教養学部 2016年9月卒業

「SILSでの国際政治学との出合いが、人生を変えました」

 各国首脳が国際問題について討議する「G20サミット」。葉マリレーナさんは2015年、国際教養学部(SILS)3年生のときに「G20ユースサミット」(Y20)の日本代表団としてトルコで行われた会議に出席し、英語やドイツ語を駆使して各国代表と意見を交えました。そして今年は、学生団体「G8 & G20 YOUTH SUMMITS JAPAN」の育成担当者として後輩の指導を行い、早稲田大学で開催されたY7の運営にあたりました。語学力はもとより、世界的課題について高レベルの知識や理解が求められるY7・Y20への参加は、3カ国語を操る葉さんにとっても「最初は怖かった」とか。ドイツと日本、2つのバックグラウンドを持つ葉さんがなぜ早稲田大学に入学し、Y20日本代表となったのか。モデル、NHKワールド(海外向け放送)のリポーターなどとしても活躍した4年間について聞きました。

通称「伊勢志摩サミット」に伴い早稲田大学で開催されたY7

  • G20…金融世界経済に関する首脳会合。計20カ国・地域からなる。
  • G8(G7)…主要国首脳会議。フランス、米国、英国、ドイツ、日本、イタリア、カナダ、ロシアの8カ国の政府の長および欧州連合の欧州理事会議長と欧州委員会委員長が年1回集まり、国際的な経済、政治課題について討議する会議。2014年以降ロシアが参加停止となり、G7となっている。
  • G7・G20ユースサミット(Y7・Y20)…G7・G20の公式付属会議で、参加国の30歳以下の若者(学生や研究者など)で構成される代表団が集まり、国際問題に関する政策提言をコミュニケ(共同声明文)としてまとめ、本会議に提出する。G7、G20に先立ち、開催国で行われる。日本では「G8 & G20 YOUTH SUMMITS JAPAN」として学生主体による委員会が組織され、前年度日本代表メンバーが現代表団に育成・教育を行っている。

――Y20では、どんな活動をしていたのでしょうか。

日本代表団で駐日トルコ大使館を訪問

 まず開催国が決めた議題について、それぞれの国の代表団で調査や有識者訪問などを行いながら、半年ほどかけて政策の草案を作成します。サミットの前には各国代表団がその草案をプレゼンし合い、投票によりY20で協議するものを選びます。

 1週間行われるサミットでは、選ばれた政策案についてさらに精査して3ページほどの意見書にまとめ、G20本会議に提出します。私たちは若者の失業や教育などについての政策提案を行いました。自分たちの意見が、安倍晋三首相やオバマ大統領に直接届くものなので、とてもやりがいがありましたね。

 そして今年は、「G8 & G20 YOUTH SUMMITS JAPAN」の育成担当者として、後輩の指導や会場運営に携わりました。日本がG7の主催国だったので、早稲田大学に交渉して、Y7の会場として国際会議場をお借りすることができました。

トルコ・イスタンブールで行われたY20でカナダ代表と

 Y7・Y20に関わったのは、3年生のときの授業で先輩に誘われたことがきっかけです。最初は応募するのも迷っていました。何度も面接を受ける必要があって怖かったですし、国際政治に関する知識が不十分なんじゃないかとか、私はドイツ語・英語・日本語を話しますが、自分の母国語ではない日本語で大丈夫かなという不安もあって…。でも、勇気を出して応募して本当に良かったです。国籍や専攻、経験が違う素晴らしい方々と出会い、たくさんの刺激をもらえたことは、大きな収穫でした。

 そこであらためて感じたのは、新しいことに挑戦するのは怖いけれど、一歩踏み出せば世界がぐっと広がるということ。私は昔からチャレンジが好きで、16歳のときには家族がいるドイツを離れてアメリカに留学したり、高校を卒業してから日本に引っ越したのも、新たな世界を知りたかったから。日本代表団を経験して、これからももっとチャレンジしていきたいという気持ちが強くなりました。

――小学校から高校まではドイツで過ごしたそうですが、なぜ早稲田大学へ?

 住んでみないと分からない社会や文化を知りたくて、高校を卒業して2カ月ほどドイツの放送局の日本支社でインターンをしていたのですが、もっと長くいたくなり、日本の大学へ進学することにしました。いろいろな大学を見ましたが、早稲田を選んだのはSILSが決め手でしたね。インターナショナルな環境が良かったのと、入学時に専攻を決める必要がなく、あらゆるジャンルの履修科目が選べるのがすごく魅力的で。私はもともと勉強が好きで、学ぶことを一つに決めるのは難しい! 全部やってみたい! と欲張りなところもあり、入学後は生物や歴史なども履修する中、デイヴィッド・ホリー先生(国際教養学部非常勤講師)の授業で国際政治の面白さを知り、すっかりはまっちゃいました(笑)。気付いたら、時間割が政治学の授業ばかりになっていたんです。

休暇は海外で過ごすことが多い

 実は高校時代は政治科目が苦手だったんです。自分の政治に対する興味に対して、学校の政治の授業は人間味がないように感じてギャップがあったからです。なので、大学で国際政治学を専攻するとは思ってもいなかったし、もし入学してすぐに専攻を決める必要があったら絶対に選んでいなかった。SILSでの国際政治学との出合いが、人生を変えました。この9月からは、所属ゼミのティモシー・スール教授に勧めていただいた、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(London School of Economics and Political Science。通称LSE)で国際政治学を学んでいます。世界中の政治のエキスパートが集まっている所なので、とても楽しいです。

――早稲田大学の学生生活はいかがでしたか?

モデルの仕事もチャレンジの一つ

 欧米では他のことをする時間がないほど勉強に追い込まれますが、日本の大学では、勉強しつつもサークルなどの課外活動にも積極的で、それが新鮮に感じましたね。そのおかげで、Y7・Y20の他、モデルや駐日英国大使館でのインターン、テレビ番組「TOKYO EYE」(NHKワールド)のリポーターなど、さまざまな活動ができました。忙しかったですが、やっぱり私を動かすモチベーションは「チャレンジ精神」。大学の授業ではできない経験や出会えない人との交流を通して、学べたことがたくさんありました。

――日本、ドイツ、米国、そして現在は英国と多くの国に在住経験がある葉さんから見て、日本の大学生についてはどう思いますか?

 先日、都内のある大学の前を通りがかったときに「グローバルになろう」というポスターを見掛けました。今、日本の大学はどこもグローバル化に力を入れているようで、それはとても素晴らしいことだと思いますが、私は大学生からグローバルを目指しても遅いのではないかと思います。私にとっての“グローバル”とは、多様性を理解し、尊敬すること。違いがあるからこそ新しいことが生まれるんです。しかし日本では、特に教育面で皆を同じにしようとする傾向があります。今後文部科学省がアクティブ・ラーニング(※)を通してディスカッションやディベートに力を入れていくようですが、それとともに、多様性の大切さを学ぶことも初等教育から取り入れてはどうかと思います。ある程度自分の軸が出来上がっている18、19歳で急にグローバルになれといっても、その意識を変えるのはなかなか難しいのではないでしょうか。

アクティブ・ラーニング…教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。

――今後の目標は?

 SILSに入ったときもやりたいことが一つに絞れなかったのですが、これからもしてみたいことがたくさんあって、もし可能なら1年ごとに職業を変えたいくらい(笑)。大学院でも視野がさらに広がると思うので、今後もあらゆることにチャレンジしていきたいですね。

(提供:早稲田ウィークリー

葉・シュミッヒ・マリレーナ・利花(よう・しゅみっひ・まりれーな・りか)/国際教養学部 2016年9月卒業

 ドイツ・ハイデルベルク出身。Elisabeth Von Thadden Schule卒業。3カ国語を話すトリリンガルで、SILSではスペイン語・中国語も学んだ。3年次の段階でほぼ全ての卒業所定単位を取得していたので、4年生では卒業論文執筆の他、さまざまなインターンシップにトライ。駐日英国大使館では、Brexit(英国のEU離脱問題)前にEU諸国との交渉事のリサーチ・アシスタントを担当。卒業直前の2016年8月には、シンガポールのコンサルタント企業でインターンに従事。趣味はハイキング、スノーボード、ボルダリング。