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アジアで大人気YouTubeチャンネル「日本語の森」発起人の一人

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荻原 健斗/政治経済学部 2016年9月卒業

早稲田だからこそ「日本語の森」は挑戦できた

 動画サイト「YouTube」で海外の日本語学習者に大人気の日本語学習チャンネル「日本語の森」。その発起人の一人である荻原健斗さんに、誕生秘話や感動した瞬間、政治経済学部が提供する英語学位プログラム「EDESSA(※)」での学生生活、そして将来について語ってもらいました。

※English-based Degree Studies September Admission Programの略称で、政治経済学部にて2010年9月にスタートした英語のみで学位を取得できるプログラム

――荻原さんが「日本語の森」を始めたきっかけは何ですか?

 きっかけは政治経済学部の英語学位プログラムであるEDESSAに入学し、日本語をこれまで学習してこなかった留学生に囲まれる中で、彼らに日本語を教えたり、手続きなど生活面のサポートを行っていたことです。彼らよりもっと困っている人がいるのなら、その人たちを助けたいと思い、お金がないことで日本語教育を受けられない途上国の人に無料で何か提供できないかと考え、YouTubeを使って日本語教育動画を配信しました。最初はiPhoneで撮影した動画を、編集も行わずにそのままアップするようなところから始めたんです。でも、そんな完成度の高くない動画に対しても、「先生、ありがとうございます」といったコメントが多く寄せられ、そこにニーズがあることを認識するとともに、コメントが寄せられることがうれしくなり、どんどんバージョンアップしていきました。

――「日本語の森」で工夫した点や苦労した点などを教えてください。

 苦労したのはビジネスとして持続可能なものとすること、正確な日本語を教えること、ユーザーに興味を持ってもらうことの3点です。

 1点目については、仲間と2人でスタートしましたが、持続的な活動とするためには、ボランティアではなくビジネスにすることが必要だと思っていました。ただ途上国で生活に窮する利用者のために無料で提供したいという点は、YouTubeによる広告収入とサポートしてくれるスポンサーを探して実現しました。また、当初はターゲットとする国は特に定めていませんでしたが、インドネシア、タイなど日本企業が多く進出している東南アジア圏のユーザーが多い状況でした。その中で爆発的なヒットとなったのがベトナムですが、ちょうどYouTubeとFacebook利用者の急増、そして日本語学習者が多かったことが要因だと思います。このヒットを受け、現地スタッフとパートナーシップを組み、初級者向けのコンテンツをベトナム語で用意することで、さらなる利用者の拡大を図りました。苦労した点として、このような事業拡大に資金が必要だったのですが、学生主導の取り組みだったので企業から不信感を持たれやすかったということが挙げられます。日本語学校や企業などを訪問し、趣旨を説明し、資金提供のお願いをしましたが、最初はなかなか話を聞いてもらえませんでした。でも諦めずに繰り返し多くの関係者を訪問するうちに次第に理解してもらい、最終的にはたくさんのサポートを得ることができました。

 2点目に、私はこれまで日本語をきちんと教えた経験もなく、日本語教育に関するメソッドも学んだことがなかったので、一大学生が手探り状態で教えるという状況の中で始め、日本語教育について一から勉強していったことです。格助詞の 「は」と「が」の違いなど、日本人であるが故に普段は意識しない部分などについて間違った情報を提供することはできないと思い、日本語教育センターの提供する授業を履修するなどして知識をカバーし、時間をかけてしっかりと正確な情報を集めるようにしました。

 3点目にユーザーにいかに興味を持ってもらうか、飽きられないためにはどうすればいいのかをコンテンツを制作する上で常に考えていたことです。実際に使用するシーンをスキット(寸劇)として、授業動画の合間に導入することで興味を持ってもらい、さらに理解を深めてもらえるのではと考え、これがヒットしました。

試行錯誤しながらコンテンツを制作

――「日本語の森」で達成感を感じた瞬間を教えてください。

 動画をアップする度に寄せられる「ありがとう」などのコメントに勇気をもらい、それがモチベーションにつながりました。またFacebookで告知して、「日本語の森」のイベントをベトナムで行ったのですが、下は3歳、上は60歳までの幅広い年齢層のベトナム人が総勢700人以上も会場に集まってくれたんです。普段、自分たちが制作している動画を見て日本語を勉強している700人から浴びた喝采には本当に感動しました。

ベトナムでのイベントの様子

――EDESSAに入学した理由と4年間に経験したことを教えてください。

 私は中学2年から家族の仕事の関係で中国に住み、インターナショナルスクールに通っていました。大学進学に際して、日本で学びたい、でもこれまで培ってきた英語力は生かしたいと考え、英語で4年間授業を行うEDESSAに入学することに決めました。EDESSAは少人数クラスの授業が多く、クラスの全員と仲良くなれるのが一番の魅力です。特にゼミは特徴的で、2年春学期から4年秋学期にかけて学期ごとに選択し、さまざまな分野の授業を少人数で受けることができるのですが、いろいろな国の学生や先生と、日本のみならず各国について議論を深めることができたのはEDESSAならではだと思います。また、日本語で提供される専門科目も履修したり、BIES(EDESSAの学生と通常の日本人学生との交流活動を行う政治経済学部公認団体)で代表をしていたので、留学生のみならずたくさんの日本人学生ともつながりを持てました。

 1年生の時には、履修した授業の一環で中国の会計事務所でインターンとして働く機会がありました。1年生だったこともありビジネスパーソンとして全く通用しない、太刀打ちできないと痛感しましたが、早いうちからインターンを経験できたことは、その後の学生生活の過ごし方に大きな影響があったと思っています。

ソーシャルビジネスを実践するサークルでは村に農業の拠点施設を作る提案をまとめる

中国の会計事務所でインターン中の1コマ

――これから社会に巣立つに際して、早稲田大学での4年間はどんな4年間でしたか?

 早稲田大学は学生がやろうとすることに対して応援してくれる土壌、環境があると思います。自由で国際的な風土や文化が、挑戦するチャンスを提供してくれる。勉強の面でも、また社会に出ていくための起業支援や校友とのつながり、サークルなどの学生団体の活動などでも自由に活躍できる環境が整っています。忙しい4年間でしたが、1年生から時間の使い方は意識していたのでオンとオフの切り替えができ、旅行にもたくさん行きました。卒業後は外資系のコンサルティングファームに入社しますが、学生時代にやってきたことに磨きをかけ、さらに実践的なビジネスをしていきたいと思っています。業界の決まっていない、いろいろなものが見られるコンサルティングの仕事は今から楽しみです。早稲田だから、EDESSAだから、本当にたくさんのことを学ぶことができ、さまざまな人に出会うことができ、挑戦し続けることができました。だからこそ今の自分があると思っています。

(提供:早稲田ウィークリー

荻原 健斗(おぎはら・けんと)/政治経済学部 2016年9月卒業

【プロフィール】
 愛知県出身。中国蘇州シンガポール国際学校卒業。今秋からは外資系コンサルティングファームに勤務。大学4年秋に米国ボストンで毎年行われている「ボストンキャリアフォーラム」に行き、そこで現職に巡り会う。ボストンキャリアフォーラムは数日で進路を決定することができ、「旅費を負担するだけの価値はあるので、ぜひ後輩たちにも行ってもらいたい」と語る。

【日本語の森】
Webサイト:http://nihongonomori.com/
YouTube:https://www.youtube.com/user/freejapaneselessons3/