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初作品『あさつゆ』がゆうばり国際映画祭で入選 映画監督・女優 小川紗良

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小川 紗良/文化構想学部 2年

2作目では、世界がさらに広がりました。

 監督・脚本・主演を手掛け、サークル内で自主制作した初作品『あさつゆ』が「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016」インターナショナル・ショートフィルム・コンペティションで入選、コラムニストの中森明夫氏に絶賛されるなど、鮮烈な監督デビューを果たし、現在は2作目『BEATOPIA』の公開が待たれる小川紗良さん。NHK朝の連続テレビ小説『まれ』に出演するなど、女優としても活躍中の小川さんが、いかに映像の世界に魅(み)せられていったのか。作品の制作秘話とともに聞きました。

――初監督作品『あさつゆ』は大学1年生の6月に撮影したそうですが、映像制作には以前から興味を持っていたのですか?

 高校では体育祭などの行事のたびにドキュメンタリービデオを作っていて、そこで撮影や編集に触れたことで面白さに目覚めました。同じころ、スナップ雑誌に載ったことをきっかけに、ミュージシャンのPV(プロモーションビデオ)やテレビドラマに出演するようになり、役者としての活動を始めました。高校3年のときに初主演した映画『イノセント15』で脚本の書き方や撮影の進め方などを知って、大学に入学してから「自分で物語を書いてみよう」と作ってみたのが『あさつゆ』です。

映画『あさつゆ』(2015年)

――自分で一から企画して制作したものだったんですね。

 映画サークル「稲門シナリオ研究会」に入ったばかりで、サークルの先輩に手伝ってもらいつつ、“まずは一作”のつもりで撮ったものだったので、人に見せることになるとは思っていなかったです。「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016」に応募してみたら入選して、そこからさまざまなつながりが生まれました。

――入選をきっかけに、“音楽×映画”をテーマにした映画祭「MOOSIC LAB 2016」(むーじっく・らぼ)のオープニング作品の監督に抜てきされ、第2作『BEATOPIA』が来年夏に公開とのことですが、どんな作品ですか?

『BEATOPIA』撮影中の一コマ

『BEATOPIA』は鹿児島阿久根市という田舎町を舞台に、2人の男子高校生と都会から来た女の子が、ヒップホップを通して交流していくストーリーです。私も主人公の一人で、『あさつゆ』と同じく、監督・脚本・主演を務めました。ほとんどお金をかけずにサークル内で制作した1作目とは違い、撮影チームも出演者も声を掛けて集めたり、プロのミュージシャンに主題歌を作っていただいたり、阿久根市の方々にサポートいただいたりと、たくさんの方と協働したので、世界がすごく広がりましたね。

――映画撮影というと、スポンサー集めからロケハン(撮影場所探し)など、多くの調整が必要かと思いますが、そういうのも自分で?

 まず阿久根市の自治体の方たちと現地で説明会を開催して、スポンサーを募るところから始めたんです。ロケ地も、観光課の方たちとロケハンをしながら、1カ所ずつ許可を取っていきました。また、『BEATOPIA』には現地産業に取材したドキュメンタリー要素も盛り込んであるのですが、それも自ら足を運んでカメラを回しました。阿久根市には母の実家があるので、小さいころから毎年遊びに行っていたのですが、こんな関わり方をするとは思ってもみなかったですね。私自身がびっくりしています(笑)。

――『BEATOPIA』の制作を終えて、手応えは?

 監督と役者って、考えなければならないことが全然違うんです。監督は、作品やスタッフ、現場を含めた全体像を捉える仕事なのですが、役者は役のことが第一なので、視点が全く異なります。『あさつゆ』のときはうまく切り替えができず、現場はカオスでした(笑)。その反省を踏まえて、今回の撮影では、私は監督、または役者として集中できる環境を作ったので、前作より少しは成長できたかもしれませんが、監督と役者を同時にこなすには、まだまだ勉強が必要ですね。

―――小川さんにとって、映画作りの魅力は何ですか?

 監督としても、役者としても、「人」を知ることができる点です。登場人物の内面を探っていったり、自分との共通点を見つけたりと、自分のことも他人のことも深く知ることができるような気がして、それが面白いところです。また、映画は総合芸術なので、何でも役立つんですよ。今は制作が一段落したので、あんな本を読みたい、こんな映画が見たいとか、インプット欲がすごく湧いてきています。そうして自分の中に取り入れたものが、次の作品に反映されていく。映画を作っていたら、何でも楽しめる気がしますね。

――高校生のときから映画を作りたかったとのことですが、なぜ早稲田大学へ?

 映画を作るなら、撮影や編集などの技術的なことだけを学ぶのではなく、より多くの人と会って、幅広い知識を身に付けた方が、作品の中身が濃いものになるんじゃないかと思ったからです。早稲田大学にはバラエティー豊かな方々がいて、授業もあらゆる分野から選べます。

現地の方への説明会の様子

自作について説明する小川さん

撮影スタッフと

 学生生活は充実していてとても楽しいです。高校が国際科で、異文化理解の授業が多かったり、同級生も多国籍だったりした中で日本文化にすごく興味を持つようになり、今は伝統文化や東洋思想の授業を中心に履修しています。是枝裕和先生(映画監督・理工学術院教授)に『BEATOPIA』の脚本を見ていただいたりもしたのですが、世界的に評価されている先生方と話ができたり、演劇や映像制作が盛んな校風であったり、映画作りのための環境はとても恵まれていますね。

――最後に、これからの目標を教えてください。

趣味の散歩や一人旅も、大切なインプットの時間

『BEATOPIA』を、よりたくさんの方に届けることです。「MOOSIC LAB 2017」で上映の他、さまざまな映画祭にも応募するつもりなので、そこからまた広がっていけばうれしいです。近日では、初主演作『イノセント15』がテアトル新宿でリバイバル上映されるので、そちらもぜひ見ていただきたいですね。

(提供:早稲田ウィークリー

小川 紗良(おがわ・さら)/文化構想学部 2年

【プロフィール】
 東京都出身。東京都立国際高等学校卒業。女優としては、NHK朝の連続テレビ小説『まれ』(2015)、NTV系土曜ドラマ『地獄先生ぬ~べ~』(2014)などに出演。その他、CM出演多数。名前の「小川紗良」は、母が妊娠中に小笠原諸島のテレビドキュメンタリーを見て感激し、その響きから思いついた。授業後の空き時間には名画座「早稲田松竹」などにも通い、最近見た作品で面白かったのは『冬冬(トントン)の夏休み』。尊敬する映画監督は是枝裕和氏、キム・ギドク氏。趣味はピアノ、散歩、一人旅。