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ルワンダでファッションブランド立ち上げ 「アフリカの貧困を解決したい」

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根津 朋子/社会科学部 4年

「関わる人全てがヒマワリのように輝けるように」

 ビジネスの舞台として、今にわかに注目を集めるアフリカ。根津朋子さんは4年生になる前に休学して単身で現地に乗り込み、ルワンダでアフリカファッションのブランド「Alizeti(アリゼティ)」を立ち上げました。ルワンダの市場で仕入れたアフリカ柄の布からスカートやワンピースなどをオーダーメードで作り、Webサイトで販売しています。長崎出身で幼少から平和教育を受けてきた根津さんが、Alizetiを通して伝えたいこととは?

――根津さんは、なぜアフリカに興味を持ったのですか?

 大学受験のときに、「平和とは、戦争も含めたさまざまな問題がない状態」だと知り、衝撃を受けたんです。子供のときから「戦争」がだめだと思っていたけれど、世界には貧困や差別が存在している。そこから「貧困を解決したい」と思うようになりました。

 所属している平和学の多賀秀敏先生(社会科学総合学術院教授)のゼミで、貧困はよく取り上げるテーマ。でも私は貧困を感じたことがなく、実態を知るために、せっかくだから遠いアフリカに行ってみることにしました。それが大学2年生のときです。

鮮烈な色柄の服を身にまとった人々

 最初はボランティア団体のプログラムで、2カ月ケニアへ行きました。現地に行ってみると、それまで漠然と抱いていたアフリカのイメージが覆されたんです。明るくて自由な人々が普通に生活していて、カラフルな装いも印象的で。ただもちろん貧困は存在していて、教育を受けられない子供や仕事がない人たちがいました。

 帰国して、アフリカで貧困解決のために何かできないかという思いに駆られました。国際機関が行っている“支援”ではなく、対等な立場でできること。ビジネスであれば互いの利益を追求するので自然と対等な関係になれると思い、アフリカでのビジネスにチャレンジしてみようと決めました。

――そして4年生になる前に休学、ビジネスを立ち上げるために単身アフリカへ。一大決心だったのでは?

テーラーと根津さん

 実はそこまででもなく、所属していた「AIESEC」(公認サークル)では休学して海外に行く先輩がたくさんいたので、私の中では当たり前という感覚だったんです。 まずはアフリカでのビジネスを学ぶために、日本人が起業したタンザニアの会社にメールで直談判してインターンさせていただくことに。親にも、「とにかくアフリカに行きたいから休学させてほしい」とお願いしたら、「いいですよ」と(笑)。その後、モザンビークでのインターンを経て、ルワンダで花の輸出をしている会社に移り、花の栽培を担当しました。効率的な種まきのやり方を、ルワンダ人と一緒に検証していくんです。そうして現地語や生活文化を学びながら、ビジネスプランを練っていきました。

――根津さんのブランドは、顧客がWebサイト上で布を選び、希望する形とサイズを注文するとそれに合わせて現地のテーラー(仕立屋)が服を作り、日本に送るというオーダーメード方式。ユニークですね。

布屋

仕立屋が並ぶ市場の一角

仕立屋とはルワンダ語で会話

自分で作った商品を手に満面の笑み

 ルワンダにはたくさんの個人の仕立屋がいて、現地の人は皆オーダーメードで服を作っています。ただ、仕立屋の数が多すぎて仕事がない人が多く、技術も高くない。そのような人たちにとって収入となり、技術も上がるような仕組みを考えたのです。日本からオーダーが入ると、現地にいるスタッフ(留学中の日本人女子大学生)が布を仕立屋に渡し、顧客のサイズと服の形を伝えて縫ってもらいます。Alizetiならではのポイントは、日本人女子学生が見て「かわいい」と思う布を選んでいること。また、仕立屋への技術指導も行っています。現地語と英語でコミュニケーションを取るのですが、感覚が違うので「どうしてこんなミスをするんだろう…」ということもしばしば。でも、服が完成したときはとてもうれしいですね。仕立屋と作った服が一緒に写っている写真を商品に同封しているんですけど、写真の中の仕立屋の方の笑顔が自信や誇りに満ちているので、それを見るとやってよかったと思います。

――アフリカから帰国後、自分の中ではどんな変化がありましたか

コートの中に着ても栄える色合い

 以前と比べて、自分の考えや思いに自信を持てるようになりました。それまでは、少しでも批判されると、これは正しい考えではないのだろうかと悩んでいたんです。「Alizeti」とはスワヒリ語でヒマワリのこと。購入していただいたお客様にはファッションを楽しんでいただきたい。洋服を作った仕立屋の方には収入と技術が向上し、さらに仕事を楽しんでほしい。このように、関わる人全てがヒマワリのように輝くことを願って付けた名前です。自分の思いが詰まっているAlizetiに共感してくれる人がいることが、自信につながりました。Alizetiを通して、「貧困を解決したい。そして世界をもっと平和に」という私の思いをもっと多くの人に知ってもらえたらと思っています。

――今後の目標は?

 将来は、私のしていることを見て、「自分もやりたい」とか「がんばっていることを貫こう」と思ってもらえるような、周りに影響を与えられる人になれたらいいですね。10年後くらいにはまたアフリカに行って、貧困解決のために尽力したいです。

(提供:早稲田ウィークリー

根津 朋子(ねづ・ともこ)/社会科学部 4年

【プロフィール】
 長崎県出身。聖和女子学院高等学校卒業。Alizetiは2016年1月4日に立ち上げた。商品開発費を集めるためにクラウドファンディングを利用し、目標金額の300%を達成した。大学卒業後は一般企業に入社予定だが、「ほそぼそとでも、Alizetiは続けていきたい」と語る。
Webサイト:http://alizetiafrica.wixsite.com/alizeti