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▼スタディ・アブロード―世界から早稲田へ―

From Hong-Kong to Waseda
香港から早稲田へ

ラファエル・チャン/第一文学部(2009年3月卒業)

文学には常に未知なる可能性がある!

お世話になったアントニー・マーティン先生(文学学術院教授)と

 香港で高校時代の友人に誘われ、遊び半分のつもりで日本語の勉強を始めたというチャンさん。気づいたときには、東京の日本語学校で本格的に日本語を勉強していた。2005年の春に本学に入学したが、その時、日本語を学び始めてまだ2年半しか経っていなかった。

 父親が小中学校で英語教師を務めていた関係で、チャンさんは小さいころから英語に触れる機会が多かった。その結果、普段から鍛えた英語力を生かし、2006年からは英訳ボランティアとして本紙の活動に参加してくれた。母国語の広東語と合わせ、日本語、英語、北京語を自在に操ることができる、まさに語学の才の持ち主なのだ。

 そんなチャンさんは2003年秋に来日して以来、日本特有の文学のジャンルにずっと注目してきた。彼の目を特に引いたのは、常に斬新なアイデアが盛り込まれたジャンル「ライトノベル」だ。「新しいことにチャレンジしたい性格なので、ネットのようなデジタル媒体でしか表現できない作品を作りたいですね。既存の枠組に縛られず柔軟的な思考回路で考え続けていれば、きっといつか文学世界の未知なる場所にたどり着くと信じているからです」さわやかな笑顔と眼差しには、強い信念がみなぎっていた。

これまでにも「宇宙」や「ファンタジー世界」をテーマにした作品を公開してきたが、これからは「スポ魂」小説にも力を入れたいという。「中国語や英語でできた作品をいろいろと読みましたが、日本のスポ魂小説みたいなものには出会いませんでした。ある意味で、その特異なニュアンスは、日本の先輩後輩文化に直結しているのだろうと思いま す」。次回作が楽しみだ。

WASEDA×自由

 いつも新しいテーマに対して貪欲なチャンさん。文学へのインスピレーションは、日常生活や社会の出来事に敏感になることで得ているとの事。「偉そうに聞こえるかもしれないけれど、一度読んだり、見た作品は絶対に忘れない自信があります!(笑)」。 特に、あさのあつこの大ヒット作『バッテリー』と、宮部みゆきの『ICO-霧の城-』からは、語り口や文章構造などに多くの影響を受けたという。

 日本で文学の新しい風に触れたチャンさんは以前から、香港の文学界が「とても保守的」だと感じていた。そのため、「既存テーマの踏襲や構成に縛られるよりも、新たな表現方法を模索する気持ちが強かった」と語る。「星野智幸先生(元文学学術院客員助教授)や青山南先生(文学学術院教授)の授業では、海外の作品をたくさん読むことで創作スタイルを探り、実践していくことに重きを置いてくれました」と、充実した学園生活を振り返った。新しい文学手法で「缶詰脱退」を目指すチャンさんは、「早稲田の個性を重んじる校風は最高でした」と嬉しそうに話す。

夢=これから

 チャンさんの将来の夢は、「デジタルコンテンツの制作・出版会社を設立して、インターネットを次世代の文字媒体にしたい」と具体的だ。アップル社CEOのスティーブ・ジョブズと、コンピュータ・ジャーナリストのポール・スロットを目標にして現在「頑張り中!」との事。

 チャンさんの熱意を目の当たりにすると、将来、文士と経営者の二足のわらじで、香港と日本をさっそうと行き来する姿が思い浮かぶ。

(提供:早稲田ウィークリー