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教育

▼スタディ・アブロード―早稲田から世界へ―

ミクロネシアの大自然に囲まれながら自分を見つめ直す

千場 朗(せんば・あきら)/教育学部 3年

西太平洋に浮かぶヤップ島での留学

 早稲田大学に入学したときに、在学中はいろいろな国を旅してみたいと漠然とした希望を持っていました。そんな中、高野孝子先生(留学センター教授)の授業ガイダンスにおいて、ヤップ島の短期留学プログラムの募集がありました。スライドに表示されたヤップの写真は本当に美しく、すぐに行ってみたい!と感じました。ヤップ島のように大学在学中にしか行けないような場所に強く憧れを抱いたのです。

 ヤップ島は美しい青い空と澄み切った海に囲まれ、豊かなサンゴ礁とマングローブ林にあふれる島です。グアムから飛行機で1時間30分の場所に位置し、現在でも使用されることがある石で作られた貨幣(石貨)と、鉄製の部品を一切使用せずに台風にも耐えられる建造技術が集約されて建てられたメンズハウス(集会所)がヤップ島の特徴です。

 このプログラムでは、参加者が別々の家庭で2泊ほどホームステイをさせてもらい、ヤップの伝統的な文化・習慣を学ぶとともに、近年の急速なグローバル化の影響でさまざまな物が輸入され、その廃棄物の処理に困っている現状や海面上昇などの環境の変化による海洋生物の減少の課題に取り組む地元有志の環境保全団体「Tamil Resources Conservation Trust」(以降、TRCT)の活動のサポートを行います。そして、毎晩、TRCTのメンバーを交えて、その日に学んだことや解決するために何ができるかを話し合い、お互いの考えを共有します。彼らは英語とヤップ語を話すため、語学力の向上にもつながります。

 また、第2次世界大戦の終戦まで、日本の委任統治領であった歴史を知り、現在までそのまま残されているゼロ戦や大砲に実際に触れたり、見学するなどして、日本とヤップの過去も学びます。そして滞在期間中に学んだことを帰国後に報告書をまとめ、ヤップへ送ることまでがこのプログラムの一連の流れです。

モニタリング調査を行うためにシュノーケリングを行う場所

環境保護グループTRCTの事務所(右側)と、ヤップの伝統的な建物(左側)

 このプログラムを通じて、ヤップが抱えている問題は、日本も同様に抱えていることが分かりました。例えば、ヤップではごみの焼却システムがなく、そのままダンプサイト(処分場)に埋めていますが、日本でも、焼却後の廃棄物は、最終処分場に埋め立てており、日本もヤップもキャパシティーに限界があります。洗剤などの生活排水は、ヤップではそのまま土に流しており、日本では過去に公害を経験して、管理された下水処理を行っていますが、処理の際に発生する廃棄物や汚水はどこへ行っているのか分かりません。また、飲料水は、ヤップでは地下水を利用できますが、実際残りの量がどのくらい残っているのか分からず、日本でも多くの取水箇所から採水していますが、どちらの消費者も残りの水量を知りません。日本では、私たちのような一般的な人々は、環境問題が暮らしに及ぼす直接的な影響が少ないため、環境問題に対して常に行動しなくても、何とかなってしまいますが、ヤップ島の人々は、島の周囲で自ら漁を行い、畑でタロイモを育てて暮らしているため、ごみや排水などの影響が自らの暮らしに直結します。ヤップに来て、自分の日本での暮らしは「間接的」だと感じました。また、ヤップでの「直接的」な暮らしを通じて、日本での身の回りの暮らしの仕組みを全く知らないことを痛感し、知らないということはとても恐ろしいことだと学びました。

 ヤップ島の最大の魅力は、住民の皆さんの心が本当に温かいということです。道ですれ違えば笑顔であいさつしてくれ、知っている人は名前を呼んでくれます。また、自分たちの文化を大切にしているところも尊敬しています。そしてジョークが大好きで、いつも笑わせてくれます。帰国時は「次はいつ来るの?」「いつでも待っているよ!」と言ってくれます。美しい自然と優しい人たち…ヤップは説明しきれない程の数多くの魅力でいっぱいです。これまでこのプログラムに参加した人は、終了後に「また行きたい!」と言い、そして実際に何人も「里帰り」をしています。筆者も現在、ヤップ島に長期滞在しており、TRCTと共にヤップ島のための環境活動を行っています。

 ヤップ島短期留学プログラムへぜひ参加してみませんか?

雨による土壌流出の防止のための植樹活動(筆者は前列中央)

銛(もり)を手にこれから漁へ出発(筆者は右)

◎ ヤップ島はこんなところ ◎

グアムの南西約800kmに位置するミクロネシア連邦の最も西にあるヤップ島は、周囲をサンゴに囲まれた、独特な伝統や文化を大事にする自然豊かな島です。ヤップ島はダイビングスポットとしても世界的に有名な場所で、世界のダイバーたちが訪れます。日本からの直行便はなく、グアムなどで乗り継ぎ。留学センターでは、ヤップ島滞在プログラムを2014年より短期留学プログラムとして提供しています。2017年春の短期留学プログラムは、11月より募集開始です。

関連リンク

留学センター 短期留学プログラム
※2016年度春(2017年春に渡航)の短期留学プログラムの募集要項説明会は、11月18日(金)に国際会議場で開催します(事前説明会は参加必須)。相談ブースで体験学生に質問ができます。興味がある方は参加ください。

(提供:早稲田ウィークリー