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だから僕は泳ぎ続ける
―パラリンピック5大会連続出場―

 ブラインドスイマー 河合純一さん

「パラリンピック日本選手団の結団式後、オール早稲田で集まり活躍を誓う選手ら。(左から)鈴木孝幸さん(水泳・教育4年)、多川知希さん(陸上短距離・大学院先進理工学研究科)、佐藤真海(陸上走り幅跳び・2004年商学部卒)、河合純一さん、木村潤平さん(水泳・2007年教育卒)」

 1992年に開催されたバルセロナパラリンピック以来、5大会連続のパラリンピック出場となった全盲のスイマー、河合純一さん(’98教育卒、’05教育学研究科修士課程修了)。しかし、16年たった今も、日本の障害者スポーツをめぐる危機的環境はかわらないといいます。早稲田大学卒業後は教員として活躍し、現在は静岡県総合教育センター教育支援部特別支援教育課指導主事として教育界に貢献している河合さん。少しでも、障害者スポーツの魅力を伝え、理解を得るために、河合さんは現役にこだわって泳ぎ続け、北京では4連覇を目指します。

バルセロナから16年、競技を続ける困難

 初めてのパラリンピック出場となったバルセロナからは16年たちました。当時は17歳で、「選ばれちゃった」という感覚。初めての海外に行けてうれしいなという気持ちでした。大学に入って3年生のときにアトランタに出場し50メートル自由形で金メダル。シドニーでもアテネでも金をとり「やりきった」という感覚はありましたが、日本国内での障害者スポーツの認知度はまだまだ低い。そういう状況が33歳となった今でも変わらないなかで、変えていく行動を起こすためには現役の選手として、障害者が競技を続けていく困難さを訴えていかなければならないと思うようになりました。この年までやっているとは思っていませんでした。

 小学生のころには教師になりたいと思っていた僕は、筑波大附属盲学校に入ってから大学として頭にうかんでいたのが早稲田でした。高校の早稲田出身の先生たちから、いい大学だと聞いていました。早稲田で教育について勉強するんだと、自己推薦で教育学部に入学。入学後は一生懸命勉強し、2年のときに大隈奨学金をもらました。アトランタに出場した3年生のときは教職もとっていて、練習と勉強で大変で遊ぶ余裕はありませんでしたが、充実した大学生活でした。現在は人事異動で、学校現場ではなく教員研修に携わる仕事をしています。

制度的支援を得にくいパラリンピック

 先進国では日本はとりわけ、障害者スポーツへの支援を得にくい状況です。欧米では企業などがついているし、たとえば中国では国が支援している。日本にはボランティアや善意による支援・応援はあるのですが、制度的支援はほとんどない。世界選手権に出場するときの費用も自前。パラリンピックでも支援されるのは滞在費と交通運賃とわずかな衣料です。スポンサーのつくオリンピック選手とは待遇がまるで違います。パラリンピック選手の多くは、活動費用の捻出にも苦労しています。

パラリンピック稲門会 障害者スポーツの普及を

 北京パラリンピックの早稲田関係者は選手・役員を合わせて9人。今大会を機にパラリンピック稲門会を立ち上げたいと思っています。稲門会ができればまた違った動きができるし、早稲田の障害者スポーツを世界へ届けたいのです。アメリカのアイビーリーグには車椅子バスケットのリーグもある。日本にもできるとよい。そういう発想で何かをしたいのです。現役に続けるのはやりがいや勝負へのこだわりがあるから。しかし、それ以上に現役として、社会に伝えなければならないことがある。2016年に東京でオリンピック・パラリンピックが行なわれるなら、東京までがんばりたいのです。

 すべてにおいて発想の転換が必要ではないかと思っています。スポーツをとりまく環境だけでなく、スポーツに対するとらえかたが違う。ワークライフバランスのなかにスポーツが組み込まれていない。文化になっていないのです。スポーツや音楽は文化です。言葉を通さずに交流できるよさがある。だからこそ、真剣に取り組める。泳ぎ終わった後の感動もある。言葉が通じるかどうかではない。それを伝えたいのです。早稲田が変われば日本の大学界全体が変わるということがある。障害者スポーツにおいても、早稲田が動けばもっと変わるものがある。社会を啓発していくということも、ワセダマンの宿命なのではないかと僕は感じています。

関連URL

河合純一「KEEPING ALIVE THE DREAMS」
http://www.junswim.to/

河合さんの半生を追った映画「夢追いかけて」DVD好評発売中
http://www.anec.co.jp/012/series.html

北京に届け!「紺碧の空」早稲田から22名が出場
http://www.yomiuri.co.jp/adv/wol/news/news_080730.htm