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2013年度 学部卒業式、芸術学校卒業式ならびに大学院学位授与式
鎌田総長による式辞

鎌田薫総長

 皆さん、ご卒業おめでとうございます。早稲田大学を代表して、心よりお祝い申し上げます。

 また、これまで長い間、さまざまな面で卒業生の皆さんを支えてこられたご家族、ご友人の皆様に対し、深甚なる敬意を表させていただきます。

 早稲田大学の歴史は、ご存じのように、明治14年の政変で下野した大隈重信が、小野梓らの手を借りて、明治15年(1882年)に、ここ早稲田の地に東京専門学校を創立したことに始まります。その年に入学した80名の学生のうち2年次編入を認められた学生が、1884年7月に、栄えある第1回卒業生として学苑を巣立ってゆきました。このときの卒業式は、福沢諭吉、穂積陳重、前島密、尾崎行雄など各界の名士数十名が出席する大変盛大なものであったといわれています。しかし、この第1回卒業式における卒業生の数は、政治経済学科4名、法律学科8名の12名に過ぎませんでした。

 それから130年を経た本日の学部卒業式・大学院学位授与式を迎えられたのは、学部卒業者9,128名、芸術学校卒業者57名、大学院修士課程修了者2,090名、大学院専門職学位課程修了者719名、博士学位受領者211名、合計12,205名の多数にのぼります。

 そのうち、学士254名、修士347名、専門職学位31名、博士59名、合計691名の方が海外からの留学生でいらっしゃいます。

 このほか、昨年9月の卒業式では、留学生489名を含む1,291名の方々が本学を巣立たれていますので、2013年度卒業生の総数は13,496名、うち留学生は1,180名(留学生比率8.74%)ということになります。

 本学が、このように世界中から多くの学生が集まる巨大な大学へと発展することができた背景の1つとして、60万人近い卒業生(校友)の皆さまが、学界、政界、財界、マスコミ、芸術、スポーツなど極めて幅広い分野で、また、世界中の至る所で、大いに活躍をされ、高い社会的評価を得てきたことがあると考えられます。

 本日より校友となられた卒業生の皆さまも、先輩校友と同様に、それぞれの目指す途で大いに活躍し、高い評価を得てゆかれるものと確信しています。

 皆さんが飛び込んでいこうとしている社会の状況を見ますと、我が国では、急速な少子高齢化の進行と新興諸国の台頭の中で永く低迷が続いてきた国内経済も、ようやく企業の業績を中心に回復の兆しを見せつつありますが、なお先行きに不透明感をぬぐえませんし、拡大する経済格差、領土問題や歴史認識をめぐる近隣諸国との緊張関係などの不安要因も存在しています。また、世界に目を転ずれば、相次ぐ地域紛争やテロリズム、ますます深刻化する環境汚染や地球温暖化、今なお広範に存在している飢餓と貧困など、地球規模で取り組まなければならない課題が山積しています。

 このような厳しい時代であるからこそ、私は、早稲田大学で学んだ皆さんの今後の活躍に強い期待を寄せています。どのような難問に直面しても、進取の精神をもって果敢にこれに挑戦し、自らの信念に基づいて、人類の幸福のためにできる限りの力を尽くす人格の養成、これこそが本学の建学の理念であり、多くの先輩校友たちがその理念を体現してまいりましたが、皆さまもその伝統をしっかりと受け継いでいると考えるからであります。

 「早稲田大学教旨」は、皆さまよくご存じのように、建学の理念として、第1に、学問の自由(自由で独創的な研究に努めて世界の学問に裨益すること)を、第2に、学問の活用(学理を学理として究めるとともに、その応用の道を講ずることで社会の発展に寄与すること)を、第3に、模範国民の造就(個性を尊重し、心身を発達させるとともに、学問の成果を私利私欲や一党一派の利益のためにではなく、世のため人のために用い、広く世界に活動する人格を涵養すべきこと)を謳っており、大隈重信は、この利他的な人格の涵養という理念を実現するために終生努力し続けなければならないと強調しています。

 この理念を体現した校友は数多く存在しています。

 例えば、偉大なジャーナリストであり、本学校友として最初の内閣総理大臣にもなった石橋湛山は、戦前には一貫して軍国主義・植民地主義に反対する論を張り、敗戦後には、直ちに、「今は勿論茫然自失し、手を拱いておるべき折ではなく、またいたずらに悲憤慷慨時を費やす場合でない。もしそれ我が日本の前途を悲観する如きは、従来国民に与えられた教養の不足のいたす所で、一面無理もない次第ながら、その無知ははなはだ憐むべしといわなければならぬ」「今後の日本は世界平和の戦士としてその全力を尽くさねばならぬ。ここにこそ更生日本の使命はあり、またかくてこそ偉大なる再生日本は建設されるであろう」「更生日本の前途は洋々たるものあること必然だ。記して以て更生日本の門出を祝す辞となす次第である」と喝破して、どのような情況の下でも断固として信念を曲げず、進取の精神をもって前進し続ける姿勢を示し続けました。

 人道的な観点からは、本国からの指令に反して、命のヴィザを発給し続け、6千名にも及ぶユダヤ系難民の命を救った杉原千畝が良く知られています。

 経済活動に関しては、新しい科学技術とその応用を通じて戦後日本の急成長を牽引したSONYの創業者井深大、ユニクロを一大グローバル・ブランドへと育て上げた柳井正などが思い浮かびます。

 国際化関連では、既に古く、先ほど紹介した第1回卒業生12名のうち2名が卒業と同時に欧米に留学し、博士号を取得して帰国した後に実務界で活躍しつつ本学で教鞭をとりましたし、1895年に東京専門学校を首席で卒業した後にアメリカに留学し、日本人として初のイェール大学教授となった朝河貫一や、コロンビア大学に日本文化研究所を創設し、ドナルド・キーンなどを育てた1896年卒業生・角田柳作らの先駆者が知られています。逆に、海外から本学に留学してきた方の中には、本学で学んだ後に中国共産党の創設者となった北京大学文科学長・陳独秀と北京大学図書館長・李大釗などがいます。こうした長い伝統を踏まえて、現在では、留学生の受け入れ、送り出しともに日本一の数を誇る大学となるに至っております。

 若い世代の校友としては、本学商学部在学中に病のために右足を失いながら、不屈の精神でスポーツに挑戦して、パラリンピアンとして大成し、世界選手権のメダリストになるとともに、東京オリンピック・パラリンピック招致委員会の素晴らしいプレゼンンテーションで世界に感動を与えた佐藤真海さんが、本学大学院社会人コースで修士学位も取得され、文武両道の理念を見事に体現されていることは、皆さまにもなじみが深いと思います。

 卒業生の皆さんもまた、これらの先輩たちに勝るとも劣らない活躍をしてくださるものと大変楽しみにしています。

 皆さんの学生生活は本日をもって一区切りとなりますが、皆さんの「学び」は、今日で終わるわけではありません。今日の社会は、新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増している高度な知識基盤社会となっていますので、進学する方だけでなく、就職する方にとっても、不断の学びが必要とされています。

 これからも、日々、新しい課題に正面から向き合って、問題の本質を把握し、最新の情報に基づいて必要な調査・分析を綿密に行い、自分の頭で考え、さまざまな価値観をもった人たちとの議論を通じて、望ましい解決策を練り上げ、強い使命感をもってそれを実行していくことが、皆さんのすべてに求められているのです。

 そして、必要のあるときは、いつでもまた本学の門をたたいて下さい。早稲田大学は、一昨年11月に策定した将来計画 “Waseda Vision 150” でも謳っているように、生涯いつでも必要なときに必要なことを学べる大学になることを目指しています。

 繰り返しになりますが、皆さんがこれまで早稲田大学の授業や課外活動を通じて身につけた幅広い教養と高度の専門的知見、そして豊かな人間性を基礎として、真の「学び」を続け、世界の平和と人類の幸福の実現のため、社会の至るところで、またありとあらゆる分野で、真のグローバルリーダーとして大いに活躍してくださることを心から期待しています。

 最後になりますが、早稲田大学といたしましては、大学を取り巻く近時のさまざまな状況、厳しい状況をも踏まえて、校友の皆さまに本学の卒業生であることを今以上に誇らしく思っていただけるよう、また、社会全体から寄せられた高い信頼に十二分に応えることができるよう、教職員一丸となって、教育・研究の質の更なる向上と、ガバナンスの確立、コンプライアンスの徹底のために、能う限り最大限の努力を重ねていくことをお約束申し上げて、私からの卒業生の皆さまに対するお祝いと歓送の挨拶とさせて頂きます。

卒業生の皆さん、ご卒業、おめでとうございます。
ますますのご活躍を期待しています。頑張ってください。

早稲田大学 総長 鎌田 薫