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【Vision 150】早稲田大学の教育力・研究力
第3回 数物系科学

早稲田大学の教育力・研究力

 早稲田大学は総合大学としての特長を生かし、人文科学、社会科学、自然科学など諸学の真の融合を図り、世界に貢献する高度な研究成果の実現に向けた努力を惜しみません。「スーパーグローバル大学創成支援」トップ型※1に採用された「Waseda Ocean 構想」では、日本文化学、数物系科学、ナノ・エネルギー材料、ICT・ロボット工学、健康スポーツ科学、実証政治経済学など、すでに国際的に定評のある6つのモデル拠点へ先行的に集中投資を行うことなどにより、さらなる評価の向上を目指します。

 国内外の大学間競争がますます激しくなっていく中で、早稲田大学が目指すのは、世界の教育、世界の研究をリードする“Waseda”を作り上げることです。Best Education, Best Research, さらにBest Community を旨として、世界スタンダードにおいてあらゆる分野で“the Best”の実現に向けて、全学一丸で前進して行かなければなりません。「進取の精神」を持って、今こそ、早稲田の歴史が育んできた挑戦の志を大きく開花させ、具体的な形に結実させる時であろうと思います。

早稲田大学総長
鎌田薫

数物系科学 (第3回)
数物系科学が文明の原動となることを目指し
海外の応用分野との交流により数学研究を発展させ、国際的レベルで教育・研究を行う

理工学術院 柴田良弘教授

 国際交流の中で、分野横断的な教育・研究を展開することは、教育・研究の開放性、流動性、多様性を保つうえで重要です。日本の数物系学問のレベルは世界的に見ても非常に高く、ノーベル賞学者やフィールズ賞学者も多く輩出しています。一方分野毎に見ると閉鎖的で、分野間交流は盛んでなく、応用分野との関わりが少ないことも現状です。これは職人を重んじる日本の伝統なのでしょうか。例えば微積分学は17世紀にニュートンとライプニッツにより創始され、その後のヨーロッパの機械文明の進展に寄与し、産業革命の原動力となりました。一方、日本でもほぼ同時期、関孝和により和算が創始されましたが、発展には寄与しませんでした。このような(閉鎖的な)状況は現在でも続いている傾向だったので、2009年度より日本学術振興会とドイツ研究振興協会の援助を受け、早稲田大学とドイツのダルムシュタット工科大学の博士後期課程学生の流体数学に関する教育・研究を共同で行うことを始めました。勿論、早稲田大学の流体数学研究は世界に誇るものでしたが、それに加え、ドイツの応用分野との交流により数学研究を発展させる伝統を学ぶ事が主な目的でした。この日独共同プログラムの成果は、国際的なレベルで教育・研究を行うだけでなく、流体機械や流体中の化学反応などの応用分野との共同研究グループを日独で作るまでに発展しました。スーパーグローバル大学創生支援(SGU)によりこの試みをさらに発展させ、数物系が文明の原動力となるような教育・研究を目指します。

人類の幸福に寄与する優秀な研究者、企業家を輩出する

 具体的には、早稲田大学数物系は、量子力学、生物物理、非線形分散型方程式研究、流体数学、精度保証付き計算機数学、流体機械等の分野に強みを持っているので、そこで数学的に厳密な、物理や基礎工学を基盤としたモデリングを行い、数値解析によるシミュレーションにより日本の科学技術に貢献する優れた人材を輩出する博士課程の教育・研究システムを構築することです。その教育・研究システムは早稲田大学で閉じるのではなく、欧米の大学や研究所と連携してカリキュラムを作り、本学の教員に加え更に欧米の協力校の招聘研究者による講義を行います。大学院博士課程にはこれまで単位制の講義はありませんでしたが、これからは全ての講義を単位制とするとともに、数学、モデリング、数値解析を必修とし、それらを全て取得した学生に博士論文を書く資格を与えます。また欧米協力校との単位互換を行い、学生の研究論文の指導も、協力校の教員と共同で行います。この様な教育・研究を行うために、本学の学生を欧米協力校に留学させるだけでなく、協力校の学生や研究者を受け入れ、共同で教育・研究を行う国際的かつ、分野横断的な教育・研究組織を構築します。数学・機械科学・応用化学はドイツのダルムシュタット工科大学と、生物数学・生物流体は米国のピッツバーグ大学と、数学・量子力学・量子化学はイタリアのピサ大学とバーリ大学などとの協力体制を築く予定です。

 長期的には、国際的・横断的な教育・研究体制のもと、数学的に厳密で予測可能性と信頼性の高いモデリングにより、科学技術に貢献し、人類の幸福に寄与する優秀な研究者や企業家を輩出することを目的とします。大隈重信が理学と工学の融合を理想として1908年に創設したわが国初の理工科を前身とする理工学術院は、理学と工学の垣根が低く、理工共同の教育・研究をこれからも成功させていきます。

※1:平成26年度スーパーグローバル大学等事業スーパーグローバル大学創成支援トップ型(タイプA)に「Waseda Ocean 構想~開放性、流動性、多様性を持つ教育研究ネットワークの構築~」が採択されました。