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【Vision 150】早稲田大学の教育力・研究力
第5回 ナノ・エネルギー材料

早稲田大学の教育力・研究力

 早稲田大学は総合大学としての特長を生かし、人文科学、社会科学、自然科学など諸学の真の融合を図り、世界に貢献する高度な研究成果の実現に向けた努力を惜しみません。「スーパーグローバル大学創成支援」トップ型※1に採用された「Waseda Ocean 構想」では、日本文化学、数物系科学、ナノ・エネルギー材料、ICT・ロボット工学、健康スポーツ科学、実証政治経済学など、すでに国際的に定評のある6つのモデル拠点へ先行的に集中投資を行うことなどにより、さらなる評価の向上を目指します。

 国内外の大学間競争がますます激しくなっていく中で、早稲田大学が目指すのは、世界の教育、世界の研究をリードする“Waseda”を作り上げることです。Best Education, Best Research, さらにBest Community を旨として、世界スタンダードにおいてあらゆる分野で“the Best”の実現に向けて、全学一丸で前進して行かなければなりません。「進取の精神」を持って、今こそ、早稲田の歴史が育んできた挑戦の志を大きく開花させ、具体的な形に結実させる時であろうと思います。

早稲田大学総長
鎌田薫

ナノ・エネルギー材料 (第5回)
新たな概念「エネルギー・ネクスト」を担う人材を育てる
あらゆる課題に挑戦できる、マテリアル教育研究拠点

 「学問の活用」を早稲田大学は教旨に謳い、「学理を学理として研究すると共に、之を実際に応用するの道を講し、以て時世の進運に資せん事を期す」としています。理学(基礎)と工学(実用)とが融合した「理工科」を明治41年に創設して、先陣を切って新材料研究・モノづくりを展開し、現在はナノレベルで自在に扱うことができるようになってきました。

 他方、最近の産業においては新しい価値を創造する重要性が指摘されています。まだ形になっていない潜在的なニーズ・モノを想像し、その価値を顕在化させる際に見えてくる不可欠な技術を生み出す基盤として、材料の研究と推進する人材が必要と考え、2000年以降、ナノテクノロジー研究教育拠点を形成し、実践的な高度産業人材の教育に注力してきました。

 ナノメートル寸法で空間が規則正しく設計された多孔体とその空間を利用したモノづくり、あるいはその設計をシミュレーションにより導き出して資源のロスを少なく合成する手法の開発、電気を蓄えて瞬時に大電力として供給できる有機プラスチックとそれを利用したどこにでも簡単に切り貼りできる柔らか電池など、ユニークな成果を生み出してきました。ナノ・エネルギー材料拠点では、これらの実績からさらに一歩踏み込み、要因が複雑に絡み合う世界的課題に対峙してサスティナブル・スマートライフの実現に挑戦します。

エネルギー・ネクストを切り拓く

 私たちが直面する地球規模の課題の中でも、特にエネルギーは喫緊の解決すべき課題です。これまでにないエネルギーの生成・輸送・貯蔵・放出の概念「エネルギー・ネクスト」を提唱し、その研究展開と応用を支えるグローバルリーダーを育てる試みとして、文部科学省の博士課程教育リーディングプログラムに採択された「早稲田大学リーディング理工学博士プログラム」をスタートさせ、3年目を迎えています。また、修士と博士とに区分しない5年一貫制博士課程である先進理工学専攻(定員15名)を2014年4月に新設しました。エネルギーの理工学に関する専門講義・対話型や実地型の演習・科学技術英語などの充実した科目群やインターンシップなど、これまでの大学院教育にはない一貫制ならではの充実したカリキュラムを用意しています。

 エネルギー・ネクストが指向するのは改善・改質によるシステムの規模拡大や高効率化だけではなく、まったく新しいエネルギー源の模索、忌避されてきたエネルギープロセスの組み合わせや生体エネルギーのセンシング活用まで広がる学術領域であり、ボトムアップだけではなくバックキャスティング的に物事を考える課題解決・設定能力を磨くことが大切です。この実現には、ボーダーレスに世界の一流大学や研究機関と手を組み、最適な教育環境・カリキュラムを常にブラッシュアップしていくことも必要です。既に、国内他大学と共に教育カリキュラムを構成し、連名で学位記を出す共同大学院や、海外大学と単位互換なども活用しながら双方の大学からそれぞれの学位を取得できるダブルディグリー制度などを実施してきました。ドイツのボン大学やオーストラリアのモナシュ大学などと共同で博士号を出すジョイントディグリー制度の整備に現在着手しており、先行して学生を送り出す試みも始めています。

 私たちと志を共にする、研究・教育ともに優れた海外大学の教員から直接、講義や演習、研究指導を受けられる機会も大幅に増やします。本取り組みには国内外のリーディングカンパニーからも多く賛同を得ており、それらの企業とも協働しながら、近い将来求められるであろうエネルギー・ネクストを担う人材を育てる教育を実践していきます。日本ならではの教育制度の良さを残しながら、世界中から優秀な人材が集い学ぶ場を提供していきたいと考えています。

※1:平成26年度スーパーグローバル大学等事業スーパーグローバル大学創成支援トップ型(タイプA)に「Waseda Ocean 構想~開放性、流動性、多様性を持つ教育研究ネットワークの構築~」が採択されました。