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新司法試験 合格者座談会

早稲田の法科大学院で学修する意味(下)

司会進行
 

古谷 修一 教授(国際法担当)

 

秋山 靖浩 准教授(民事法担当)

出演者
 

市村 拓斗さん(26)

早稲田大学法学部卒。新卒で入学。

 

川見 友康さん(30)

早稲田大学政治経済学部卒。証券会社に勤務した後、法務研究科に入学。法律初学者。

 

林 絵理さん(26)

一橋大学法学部卒。新卒で入学。

 

原 優子さん(31)

東京大学法学部卒。保険会社に勤務後、法務研究科に入学。法学既修認定者。法務研究科在学中に交換留学を経験し、ニューヨーク州司法試験に合格。

役に立った仲間同士の勉強会
秋山

早稲田大学大学院法務研究科では基礎的な学修も重視しつつ、多彩な専門科目を設置し、実務教育にも力を入れたカリキュラムとなっています。いままでの皆さんからのお話からもそういった早稲田の特徴が伺えると思います。さて、いままで法務研究科での授業を中心にお聞きしてきましたが、授業以外の活動、学生生活はいかがでしたか?

授業以外には、週1~2回ほど3時間ぐらい、友人たちと共通して皆が不安に思っている科目の勉強会をやっていました。

私も苦手科目については勉強会を開き、仲間で共に勉強することで自分の学修状況をチェックしていました。情報交換もできるし、励まし合えるのがいいですね。

市村

私は3年次春学期までは特別勉強会をすることはしませんでしたが、早稲田にはバックグラウンドが異なるいろいろな人がいて、新たな視点を持つ友人との意見交換は刺激的でした。勉強会は3年次の秋学期から新司法試験の論文対策も兼ねて、法務研究科で過去行われた定期試験の問題等を利用して行っていました。

川見

3年次の春学期までの勉強会は週1~2回。3年の秋学期には毎日行っていました。バックグラウンドに関係なく励まし合い、問題点を指摘し合える、多種多様な友人関係は早稲田の大きな特徴だと思います。

古谷

勉強会や自主ゼミなど、本研究科の学生は本当に熱心に勉強をしています。早稲田大学大学院法務研究科は小野梓記念館という専用棟に設置されているのですが、授業の有無に関らず、構内のいたるところで法律の議論が行われています。24時間開室している自習室も、皆休むことなく活用されているようですね。

秋山

他にも、原さんは本研究科の交換留学制度を利用し、ペンシルバニア大学のLL.M.コースを修了しました。その後、アメリカのニューヨーク州司法試験にも見事に合格された訳ですが、今後、国際的に活躍できる法曹を目指す人達のニーズは更に高まっていくと思います。そこで交換留学に興味のある方へのアドバイスをお願いします。

早稲田は交換留学制度がたいへん充実しています。私は過去に長期間海外にいた訳ではないので、語学力が大きなハードルだと感じ、入学前から語学力向上に取り組んでいました。留学希望者は入学後、早稲田内での審査があり、それに通ると提携先の大学に留学できます。私の場合、留学が決定してからは、英米法など留学に役立つ授業を受けて備えました。留学生活は勉強の面でも、その他の生活面でもとても充実していました。留学の締めくくりとしてニューヨーク州司法試験を受験したのですが、アメリカの司法試験は日本とは異なり、短期勝負。2か月でいかに詰め込むかという感じだったので、その間は必死に勉強しました。

古谷

補足になりますが、早稲田の交換留学制度は、留学先の授業料が免除され、早稲田に納める学費分だけで済ませることができます。本来海外のロースクールの学費は早稲田より数倍かかりますので、留学を希望される方には非常に恵まれたシステムだと思います。留学先で取得した単位を早稲田で必要とする単位に振り替えることで、標準年限の3年間で修了することも可能です。留学に興味のある方は是非チャレンジしていただきたいですね。

学修開始にあたっては、まず憲法、民法、刑法の条文、基本書の通読を
秋山

法務研究科に入学すると、それまでの法律知識の有無に関らず密度の濃い授業が待っています。特に法律初学者に言えることかもしれませんが、入試に合格してから入学するまでの間に、法務研究科でスムーズに学びをスタートさせるには、具体的にどんな準備、勉強が必要でしょうか。

一番最初にできる法律の学修準備としては、まず1年次に学ぶことになる憲法、民法、刑法について、条文、基本書、教科書を通読し、基本知識を確認することをお勧めします。

市村

林さんのおっしゃる通りです。特に憲法は大変です。基本書を丁寧に読んでおくと理解度が全く違います。学部時代に司法試験の勉強をしていたのですが、法科大学院の勉強はそれとは全く違います。心して基礎から準備されることをお勧めします。

基礎をおさえておくのは法学既修認定者も同じです。その上で、自分が深めていきたい分野の発展科目を積極的にとってほしいですね。

秋山

他学部出身の川見さんはいかがですか?

川見

私は入学前に何の準備もしていなかったので後悔しました。皆さんおっしゃっているように、基礎を学んでおくことが大切。定評のある初学者向けの本を読んでおくとスタートが大きく変わります。法律の本を読むのに慣れ、カラダを法律に馴染ませておくだけでも全然違ってくるのではないでしょうか。

新司法試験と早稲田大学法務研究科での学修の関係
秋山

さて、いままで皆さんに語っていただいた不断の努力が功を奏し、このたび見事新司法試験に合格されたわけですが、試験の感想、法科大学院での勉強と試験の関係や準備などについて教えてください。

新司法試験は中1日の休みを入れて5日間、座りっぱなしのタフな試験です。その中で、早稲田出身者は人数が多く、会場内でよく仲間を見かけるので安心します。大規模な法科大学院のメリットですね。また、新司法試験で問われる内容と法務研究科で学ぶ内容の関係性はとても深いと思います。新司法試験は学生生活全体の成果を問われる試験。法務研究科でしっかりと学んでいれば、思考回路がおのずと新司法試験に順応します。

私もふだんの授業との関係は深いと思います。新司法試験は何かを覚えれば済む試験ではありません。理論を用いて自ら考える力を鍛えるレッスンを3年間していってほしい。そのトレーニングの場として、一流の教授陣や豊富なカリキュラムが揃っている早稲田は大変恵まれた環境だと思います。

市村

私も同感です。ただ、その為には、積極的に授業に関与することが大切だと思います。それが、考える力を鍛えることに繋がると思います。1年次から司法試験の勉強をする必要はなく、まずは授業を理解し、基本をしっかり固めましょう。もっとも、法科大学院では1年次から日々気を緩めずに学修に向かう必要があると思います。のんびりと勉強するには3年は短かすぎます。1年目から目的意識を持ち主体的に勉強すると、自然と試験にのぞむ態勢になるはずです。

川見

試験の感想は、3年間の総括にも繋がりますが、勉強会の仲間、先生、クラスメートなど周囲の人に常に助けられたということです。入学時からの心がけはふたつあり、ひとつは恥を恐れないこと。わからないことは聞く。悪い成績を取った時こそ、先生や友人に教わりましょう。ふたつめは、自分の位置をなるべく早く知ること。新司法試験は全法科大学院の修了生が一同に競う試験ですので、ある程度勉強が進んだら、他の法科大学院の学生と比べて、自分の位置を知っておくことも大切です。

基礎からしっかり取り組む事が新司法試験合格への早道
秋山

新司法試験受験にあたっては、法務研究科での学修以外にも個々の取り組みがあったかと思います。その中で重点的に取り組んだことはありましたか?

試験の構成はマークシート方式の択一試験と、筆記による論文試験からなります。択一試験の対策は、条文、判例集、教科書の素読が中心でした。論文試験の対策は勉強会を活用しました。過去の問題や自分の取っていない科目の問題を入手し、論文を書き、批評し合う。人との対話を重視しました。

知識面では判例、六法、条文の素読が大切です。条文の朗読をMDで聞いたりもしましたね。基本書を読み、答案構成を自分でチェックしていました。3年次には模擬試験を受けました。 

市村

最初から続けていたのは条文・判例の素読です。択一試験で必要とされる細かい知識の習得は、試験の直前に取り組みました。細かな知識は事前にやっていても結局忘れてしまいますので、それまでに基礎・基本をしっかりと固めていることが大切です。そうすれば、直前に細かい知識を効率よく詰め込むことができます。また、論文試験の対策は勉強会などを利用し3年の年明けから始めました。それまでは法務研究科の授業にしっかりと取り組む事がやはり大切だと思います。それが最大の試験対策だと思います。

川見

私は法律初学者で、法律的な文章を書く機会がなかったので、「書く」ことに重点を置いて練習をしました。3年次の10月から毎日、何らかの答案を書き、勉強会で仲間と答案を見せ合い、お互いに気づいた点を指摘しながら仲間の良い点を盗んだりしていました。他に、エクスターンシップでできた他大学の友人とも勉強会をやっていました。学校ごとに教え方が異なる点があるようで、全く違った視点があり、刺激を受けました。

古谷

新司法試験に合格するためには、目先の知識や小手先の技術にとらわれず、大きな視点から、地道に取り組む事が重要のようですね。条文・判例の素読や、文章をひたすら書くことは確かに骨が折れますが、法律家にとって必要不可欠な基礎力といえるでしょう。

入学時のモチベーションを持ち続け、勉強することが大事
秋山

皆さん長時間にわたりお話いただき、誠にありがとうございました。それでは最後になりますが、これから法務研究科を目指す方へメッセージをお願いします。

ぜひ、あきらめることなく学修を積み重ねて試験に挑んでください。最初は苦労しますが、反復して勉強していれば、最後にはとても大きな充実感を得られます。

入学時のモチベーションを維持してください。早稲田に用意されている多彩なカリキュラムを利用して有意義に過ごしてください。

市村

3年間という期間は、長いようで短いです。法務研究科に入学されるにあたっては、3年間のスパンの中でどの段階でどこまでやるか、確たるイメージを持って下さい。焦らず、しかし危機感を持って勉強してほしいですね。

川見

法律初学者が法学既修者に追いつくのは、正直なところ1年では難しいと思います。でも、3年間がむしゃらにやれば不可能ではありません。必死にやれば結果が出ます。頑張ってください。

古谷

新司法試験は法曹を目指す人達にとっての最初のハードルです。4人の方のお話を聞いてお分かりの通り、法務研究科では基礎から着実に学修を重ねることで知識を蓄積・確認し、さらにどのような法律家になりたいのかという動機を維持することが大変重要です。高い志と熱い思いを持った多くの皆さんに早稲田大学大学院法務研究科を目指していただきたいと思います。

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