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大学院で学ぶということ(第1部)
―独立研究科・専門職大学院 学生座談会―

 早稲田大学の独立研究科・専門職大学院は、学生が高度な専門知識を習得し、職業能力を高めるとともに、そこで得た知識や技術を現場に効率的に還元していくことを目指しています。今回、その大学院へ社会人入学を果たし、現在、それぞれの専門分野を追求している4名の学生に、大学院で学ぶことの意義や現状をお話しいただきました。

司会進行
 

大島 愼子(おおしま・ちかこ)さん

筑波学院大学情報コミュニケーション学部教授。東京都出身。1972年早稲田大学第一文学部卒、2003年大学院アジア太平洋研究科修了。ルフトハンザドイツ航空の客室乗務員、採用担当、広報室長を経てスイス系PR会社に勤務。2006年4月より現職。

参加学生
 

大山 勉(おおやま・つとむ)さん

早稲田大学院公共経営研究科

 

宇津木 晶(うつき・あきら)さん

早稲田大学院日本語教育研究科

 

塩田 真吾(しおた・しんご)さん

早稲田大学院環境・エネルギー研究科

 

野崎 麗(のざき・あきら)さん

早稲田大学院会計研究科

社会で感じた疑問点を解決
大島

本日は、社会人で早稲田の大学院で学んでいる方々にお集まりいただきましたが、皆さん、どのような理由で大学院へ進学したのか、その理由をお聞かせください。宇津木さんはお勤めをしながらの通学ですよね。

宇津木

はい。私は今、都内の日本語学校へ教師として時間を縮めて勤めながら、大学院の日本語教育研究科に在籍しています。大学卒業後、一度企業へ勤め、11年働いてから日本語教師になるために会社を辞めました。日本語教師として教壇に立つようになってから抱いた疑問点を解決するため、また、もっと学びたいという気持ちが強くなったことから、大学院へ進学しました。

大山

私は弁護士をしておりますが、日弁連(日本弁護士連合会)の企画で、地方の弁護士過疎地に法律サービスを提供する「ひまわり基金法律事務所(公設事務所)」というものがあり、4年間程、鹿児島に赴任しました。この活動で、衰退する地方経済や少子高齢化などの現況を見て、司法の領域だけでは住民の救済は図れないのではないかと感じ、新しい政策的な部分を勉強してみたいなと思い、公共経営研究科に飛び込んで来たというのがきっかけです。

大島

塩田さんは、環境・エネルギー研究科ですね。

塩田

はい。修士課程まで教育学部で環境教育を研究し、文系の知識は身につけましたが、もっと理系の専門知識を含めた研究がしたいと思い進学しました。環境・エネルギー研究科は、私が入学したときが1年目、文理融合で募集をしていたのでここを選びました。

野崎

私は会計研究科です。もともと経営コンサルティング会社に勤めていたんですが、周囲にMBAホルダーが多く、彼らの影響を受けたのと、実務でやっていることの理論的・制度的な背景を学びたくて会社を辞めて大学院へ入りました。

主体的に深い研究をする
大島

大学院の位置づけはキャリアアップのためのものですか?

野崎

それもありますし、これまでやってきた実務経験の知識をもっと深めたいとの思いもあります。

大島

私も社会人で大学院のアジア・太平洋研究科に行きましたが、私などは本当に生々しい理由で(笑)。当時はドイツ企業に勤めていました。ドイツの大企業は役員以上のほとんどが博士号を持っています。ヨーロッパ系企業に勤める限りは、大学院で今までの実務経験を広い視野に立って理論構築することが必要なので、職業人生の一コマとして学位を取ろうと思ったのがきっかけです。  大学院の勉強は、学部の頃とはかなり違うと思いますが、学部にいらした時と学ぶ姿勢に違いがありますか?

野崎

社会人経験があると、投資をしたらリターンをとらなければという使命感が強くなるので、授業に積極的に参加するようになります。学費も自己負担ですので。それに授業で学んでいることも、実務だったらどう生かせるか、理論的にはこうでも、実務ではこんなに簡単にいかないなどといろいろ考えるようになります。

宇津木

学部の時は、正直、これといった目的意識もなく、勉強もやらされているという感じでした。ところが大学院は、社会人としての経験を積んだ上で、明確な目的意識を持って来ているので、精神的に勉強が苦痛になるということがありません。

大山

私も精神的な苦痛は全くなく、楽しいですね。というのも、野崎さんと同じく、現場を知った上で大学院へ来ますと、授業を聞いていても、常にこの知識をどうやって現場で活かせるのかということを考えながらやっているので、そういう意味ではどん欲に学んでいます。初めて勉強が楽しいと思っているかもしれない(笑)

大島

塩田さんの場合は学部からの流れですと、学ぶ姿勢は大山さんたちとは違いますか?

塩田

特に変わりません。私のところは、博士課程はゼロ単位なんです。論文を書いて、研究指導を受けて……となると、興味のある分野を深く研究でき、自分から主体的にやっていくようになります。そこが学部と違うなという気がします。実際に小学校・中学校の教育現場に出向いて自ら授業を行い、それが研究対象となります。

仲間と団結して学ぶ充実感
大島

それでは、特に充実を感じていることはありますか? 学友の年齢はどれ程の方が多いのでしょうか。

大山

公共経営研究科は幅が大きく、大学を終わってすぐの学生さんが半分位。上は50~60代の方もいます。各界のトップクラスで働いている方が大勢いらっしゃいますので、異分野のプロフェッショナルの声を学生同士から聞けるメリットがあり、それは教授から学ぶのと同じぐらい勉強になっています。

宇津木

日本語教育研究科は、一度教師になってから来る方がほとんどで、多いのは30代。同じ教師という立場の方が多いのですが、各々追求していることが違うので、ディスカッションすると、自分が考えてもみなかった視点で物事を考えている人がいるとわかる。異なる意見を取り入れ、自分も新しい視点で見ることが出来るようになる、それが今大学院へ来て一番に充実している点です。

野崎

会計研究科は学部卒の方が半分以上。社会人を経験していると実務知識がある分、力があるのですが、学部生には試験のコツなどを教えてもらったりして助け合っています。知識はもちろん、仲間と一致団結して学んで行くところに充実感を感じています。

塩田

私の場合、これまで理系の方から環境に関する話をなかなか聞く機会がなかったのですが、文理融合で、隣の席では燃料電池を研究していたり、車のエンジンを研究していたりと、異なる分野、特に理系の話を聞いているときはとても充実していると感じます。

大島

理系の話は塩田さんの研究にどのように役立つのですか?

塩田

例えば、小・中学校へ出向いて環境教育に関する授業を行なうとき、燃料電池やハイブリッドカーの話をすることが多いんですが、そういう場合、自分の研究室の学生から仕組みを教えてもらったり、実際に見せてもらったりしておくと説明に説得力が生まれ、とても役立ちます。

大島

学生同士で刺激しあい、知識を交換しあうのは素晴らしいことです。では逆に今の教育環境において困っていることなどはありますか? 私の場合、別の大学での経験ですが、日本の大学は徒弟制度のような部分があり、社会人の受け入れに慣れていなくて、実務経験のある社会人学生と真っ向からの議論ができない方もいらっしゃいました。早稲田はその点はかなりオープンですね。

大山

私のところは専門性の高い分野でトップで働いていた方が多いので、実務的な話が聞けてプラス面が多い。学生から反論を受けても、きちんと受け止めて議論できる教授が多いです。環境が整っているので、ストレスを感じたことはありません。

宇津木

私も特に改善してほしい点は今のところありません。先生に関しては、指導教授以外の一般の授業で接する先生は、授業が終わるとなかなか触れ合う機会が少ないのが寂しいですね。

塩田

私の研究科にはいろいろな先生がいらっしゃって、横のつながりもあり、多彩なご指導をいただくことも多いです。苦労している点と言えば、強いてあげれば、キャンパスが遠いということですか(笑)。埼玉の本庄なんですよ。私は千葉なので……。

野崎

実務経験が豊富で指導熱心な先生が多く、授業の内容だけでなく現場での課題や業界動向についてのお話も常にお伺いできる環境なので大変感謝しています。

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