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大学院で学ぶということ(第2部)
―独立研究科・専門職大学院 学生座談会―

広がり続ける可能性
大島

将来の展望をお話しいただけますか? また、大学院へ進学することは、ひとつの目的があってのことでしょうが、これから先、人生の選択肢が増えてくると思います。私の場合は、職業人生の一コマとして学位を取るつもりでしたが、大学院で学ぶうちに教員の道も開け、選択の幅が広がりました。そのような意味でも、将来の可能性についてお考えのことをお聞かせください。

大山

私の場合はひとつのきっかけをつかみました。最初の目的は、地方経済の活性化や地域再生について学びたくて進学しましたが、大学院で、法律家としての力を、これからの地方分権や行政改革、議会の改革などに政策法務というかたちで繰り込んで行くというニーズがあることを知りました。将来的には、国家組織の変革期に当たって法曹が必要とされている所にサービスを提供していけるような仕事をしたいと思っています。

大島

大学院でいろいろな人達や先生に触れて、そういう意見を持つようになったのですか?

大山

そうですね。大学院で学び、多方面の方々の意見を聞くうちに、問題の改善へ向けた方法がハッキリ自覚でき、新たな法律家としてのニーズが明確になりました。

大島

なるほど。宇津木さんは、日本語教育の将来、ニーズはどこにあると思われますか?

宇津木

大きく分けて日本国内と海外にあります。一般的に注目されているのは国内の教育現場。外国人の方が日本へ家族を連れて来たり、結婚して子どもが生まれる。彼らは生活のために日本語を学びます。その現場における日本語教育はまだまだ未整備です。逆に海外の状況は、海外で日本語を学ぶ理由は、趣味や学問的な興味のため。日本語教育のニーズは全く異なります。

大島

そのような状況の中で、宇津木さんの将来の展望は?

宇津木

以前、3年ほどロシアで教えていた経験があるので、海外の日本語教育の方が、私にとっては比重が大きいですね。海外でどのように日本語を広めて行くか、意義をもたせる教育が出来るかという点を考えています。海外ですと、他言語との競争が激しく、そういう場面で必要なのが、日本が海外における日本語教育の明確な方針です。日本がどのような支援をして、どのような理念をもって教育していくかという確たるものがないといけません。私はそのようなところに携わりたいと考えています。

大島

日本人は国際化というと自分たちが外へ行くことだけを考えています。外へ行って相手の土俵で戦うから相手の言語を学ぶ。それはわかりますが、日本人として発信するものをもっと考えた方がいいのではないかと思いますね。

宇津木

おっしゃる通りです。企業、国として外へ出て行くのであれば、日本をどうアピールしていくのか筋道を立てて施策を作っておかないと流されて終わってしまう。今までの経験からそういった政策面にも携われるようになればいいなと思っています。

大島

塩田さんは、将来はどのようにお考えですか?

塩田

大学で環境教育を学ぶ学生の指導をしたいと思っています。

大島

環境教育というと具体的には?

塩田

環境教育は子どものうちからということで、小・中・高、発達段階にあわせた環境教育のカリキュラムを作るのが私の研究です。子どもへの環境教育としては、大きく自然体験をするという話と、日常生活の中でどのような環境配慮生活をしたらいいのかという都市型のものがあり、私は特に後者の方で、日常生活の環境配慮行動について研究しています。さらにそれだけなく風力発電とか、自然エネルギーなどの仕組みを教えるというのが環境教育の大きなテーマになっています。そういったものを追求しながら、将来環境教育を行う学生を指導して行きたいというのが将来の目標です。

大島

野崎さんはいかがですか?

野崎

会計の専門家として社会に出て活躍・貢献したいという考えがあるので、専門スキルを高めて行きたいです。例えば、経営コンサルティング会社の経験もあるので、M&Aなどの分野で会計の知識を生かして財務分析などで貢献できればと考えています。

大島

実務面での大きなスキルアップを目指しているのですね。

専門分野の繋がりが出来始めた
大島

皆さん、確たる目標をお持ちですね。お話を聞いていると、異なる学科に所属していますが、融合して何かが出来そうですね。これからは多方面の横のつながりもあった方がいいですね。

大山

横のつながりという意味では、これまで専門に特化したつながりだけだったのが、様々な分野のつながりが出来始めているという感はあります。

宇津木

必要性があるんですよね。専門分野を学びに来た海外の留学生もいるんですが、私が指導した留学生は教育と法律、コミュニケーションを学びたいと言っていました。そうすると、彼らが研究計画書などを書くときに、法律や教育のついての知識をある程度私が理解していなくてはならないんです。皆さんのように専門的な知識は極められませんが、留学生と話が出来る程度の知識を持っていなければならない。それを考えると横のつながりは不可欠ですね。

塩田

環境教育で小・中・高校に行き、学校の先生とお話をする機会も多いんですが、学校は割合縦割りなんです。環境教育は、幅広い知識を学ぶことが学校の先生自身にも必要となってきます。その場合に、横のつながり、学校同士はもちろん、学校と企業、学校と大学といったつながりがもっとあってもいいのではないかと思います。そこでより横のつながりを持たせようと、大学院に入ってからNPOを立ち上げ、活動を行っています。

大学院経験は実務でこそ役立つ
大島

企業との横のつながりという意味では、大学院で学ぶこと自体にも関わってきますね。もっと大学が企業に働きかけて、学ぶ体制を整えて行ければいいと思っています。

野崎

そうですね。現在の状況は、会社側にも受け入れる体制がありませんよね。大学院を出てからもっとステップアップができる保証があればいいんですけど。会社がそれを評価する仕組みがまだ整っていないのかなと思います。

大島

アメリカやドイツはもっと自由。ドイツなどは無給休暇を2年程与え、その2年で大学院で学位をとって戻ってくる。日本は企業を辞めて大学院へ行く、または研修として学ぶ、そのいずれかしかない。やり直しがきく社会の仕組みを整備してほしいですね。

大山

社会人も大学院は実務に役立つという意識を持ってほしい。

宇津木

一般的な大学院のイメージ=実務とはかけ離れているというイメージが、現場と大学院で学ぶ人達との壁を作っている。でも本当は大学院=実務に生かすためのものなんですよね。

塩田

大学院で学んだことは現場や実務では生かされないという誤解がある。うちの大学院は現場、現物、現実主義。現場の問題を解決して行く姿勢を重視しているのに、なかなか理解されません。

大山・宇津木

そうなんですよね。

野崎

早稲田には実践的なカリキュラムがあるので、そのイメージを払拭したいですね。

大島

もっと自由に、柔軟に、社会人が大学で学べる状況、または教授が企業へ行って学べる状況を作って行くことが大切ですね。そのためにも今回のような座談会はとても意義のあるものだと思います。皆様、今日はありがとうございました。

参考URL

早稲田大学院公共経営研究科
http://www.waseda.jp/seikei/osp/

早稲田大学院日本語教育研究科
http://www.waseda.jp/gsjal/index.html

早稲田大学院環境・エネルギー研究科
http://www.waseda.jp/weee/

早稲田大学院会計研究科
http://www.waseda.jp/accounting/index.html

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