東京発オンラインフォーラム 「がんと生きる ~こころとからだ 私らしく~」
Sponsored by 株式会社ツムラ
広告 企画・制作 読売新聞社ビジネス局
東京発オンラインフォーラム 「がんと生きる ~こころとからだ 私らしく~」
「自分らしく」を支える がん患者への緩和ケア
がんの最新情報を全国各地で紹介する「フォーラム がんと生きる」。2月16日には「マギーズ東京」(江東区豊洲)からオンラインで配信され、1244人の視聴者が参加しました。さまざまな痛みを和らげ、がん患者が自分らしく生きることを支える「緩和ケア」をテーマに、医療者や医療関係者が語り合いました。
パネルディスカッション第1部 苦痛を和らげる手立て
痛みを正しく把握するために
町永 抗がん剤治療だけの時より緩和ケアを併用したほうが、生存期間が延びるだけでなく、生活の質も向上するという研究結果を、米国の医療機関が2010年に発表しました。
里見 このデータを知ったとき、緩和ケアはがん医療に必須なものと確信しました。
大橋 がん患者として、ありがたい研究結果です。緩和ケア医の立場からは、今以上にしっかり進めていきたいですね。
町永 痛みは主観的なものなので医師に伝わりにくい。医療現場には0から10までの数値で 痛みのレベルを伝えてもらう方法もありますが、VTR❶では、患者が痛みを自分独自の言葉で医師に表現していました。
大橋 痛みは患者の訴えですが、痛みの種類に患者をあてはめてしまうことがなかったかという反省があります。
里見 医師は診察の上、CTや血液検査で病気について把握しますが、痛みのことはわかりません。患者自身に痛みを評価してもらう患者報告アウトカム(PRO)に取り組んでいます。痛みや心のことなど、さまざまな症状についての質問項目にチェックしてもらうことで状態を包括的に把握しようというものです。痛みは患者それぞれで違い、個別化してケアすることが重要です。
【VTR❶】 痛みを自分の言葉で表現
がんが再発してショックを受ける鈴木さん(65)。眠れないほどのつらさのなかで、痛みのニュアンスを「ボワン」「キュー」など、自分の表現でノートに書き留めるようになる。緩和ケア医は、その言葉から状態を把握し、がんそのものの痛みを抑える医療用麻薬のほか、頓服の痛み止めを処方している。鈴木さんの痛みが消えることはないが、痛みを感じないでいられる瞬間も出てきた。
副作用のつらさに漢方薬で対処
町永 緩和ケアは治療の手立てがなくなった患者のものというイメージがあるかもしれませんが、今では診断と同時に、治療を効果的に進めるために行われていますね。
里見 「完治のため」「完治を目指せなくても治療を進めるため」「治療を卒業した人のため」など、いろいろなフェーズの緩和ケアがあります。
大橋 完治したいという思いが先に立って、緩和ケアといわれても頭に入ってこない方もいるかもしれません。「とってほしい苦痛をとりのぞく」ことが緩和ケアと考えればよいと思います。
町永 痛みに対しては、どういう手立てがあるのでしょう。
里見 医療用麻薬(オピオイド)をはじめ、さまざまな痛みの治療法があります。日常の動きに応じてリハビリすることで生活の質が向上することもあります。
町永 医療用麻薬に依存症の心配はないのでしょうか。
里見 痛みがある人とない人では、作用する受容体が異なるので、その心配はありません。
町永 副作用のつらさにはどう対処していますか。
里見 西洋薬のほかに漢方薬を使うことがあります。
町永 漢方薬は、がん医療で大きな位置を占めていますね。
里見 食欲不振や便秘、おなかが張ったときなどに、多くの医師が漢方薬を処方します。特に対処の難しいだるさには効果的です。だるさに対処することは、体の土台を整えるという意味があります。
パネルディスカッション第2部 生きる力を引きだす
語ることが自分を癒す
町永 がんの診断を受けた衝撃は、それ自体が痛みだといわれます。
秋山 「がん」という響きで頭が真っ白になって、あとの説明を覚えていないこともあると聞きます。
町永 体の不調も出てきますね。
秋山 気持ちが落ち込む、眠れない、食べられないといった状態に陥ることがあります。緩和ケアのほか、精神腫瘍科でも診察を受けられます。マギーズ東京にもそうした方が来られます。マギーズ東京はイギリス発祥の、がんとともに歩む人のための相談支援の場です。当事者だけでなく家族や同僚など、さまざまな立場の方の相談を受けていて、看護師や心理士がゆっくり話をうかがいます。心の揺れやもやもや、自分の嫌なところなど、ありのままを出せる空間を用意しています。話すうちに相談者がだんだん落ちつかれるのがわかります。自分について語ることに癒す力があるのではないでしょうか。
里見 患者が自分の力で一歩一歩歩む、セルフケアが日常を取り戻すきっかけになります。
町永 VTR❷では、番組制作者の山元さんが社会的孤立が一番の痛みと語っていました。
大橋 「つながり」は力になります。抗がん剤以上に病気を抑え込んでいるという実感があります。
町永 がん医療は身体的な痛み以外にも向き合えるのでしょうか。
秋山 身体的、社会的、心理的、スピリチュアルな痛みによって示されるトータルペインという考え方があります。痛みに着目するより、その人全体をとらえて、生きる力を引き出すことが大切です。
【VTR❷】 思いを話して気持ちが軽く
NHKで長年番組制作に携わってきた山元さんは2年前にステージ3のすい臓がんに。手術は難しく抗がん剤治療を受けるなかでマギーズ東京と出会う。心理士の栗原さんに、趣味を諦めても仕事を続けたいことなど、思いを語ることで気持ちが軽くなった。さりげない妻の言葉に救われる一方、仕事の場面で「仕事より療養に専念して」といわれると、疎外感をおぼえて寂しくなる。
今に目を向けて生きやすく
町永 VTR❸では、大橋さんが「足し算命」について語っていました。
大橋 しんどい時期もありましたが、今は落ち着いています。ただ、この先のことはわかりません。ならば今のことに目を向けて生きられたらという思いがあります。余命を重視したいという人もいますが、それはそれでいいと思います。
町永 百人百様で、自分らしさを取り戻すのに、こうあるべきというものはないんですね。
里見 大橋さんは動画配信を通じて思いや生きざまを伝えています。つらい経験を経て、いろいろな思いをかみ砕いて、迷いながら生きる姿に、多くの患者は力をもらえると思います。
町永 患者だけでなく家族も苦しみを抱えています。また、その思いを患者本人には気兼ねして話すことができません。
大橋 入院している1か月間、毎日見舞いに来てくれた妻が苦しんでいることに気づきませんでした。毎晩泣いていたと、退院後に息子から聞かされて初めて知りました。
里見 家族は第二の患者といわれます。家族にも緩和ケアが提供されるべきです。家族は患者の病気を治したい思いが先に立ちますが、医療者は患者が、がん治療をしながらあたり前の日々をどう確保するかという視点で情報提供することが必要です。
町永 最後に一言ずつお願いします。
大橋 これを機に対面や動画配信などで、みなさんと出会うことができたらと思います。
町永 つながることが大橋さんの生きる力ですね。
里見 緩和ケアにはまだ誤解があります。ひきつづき患者や家族への緩和ケアに取り組むとともに、多くの方に緩和ケアを知ってもらいたいと思います。
秋山 緩和ケアを受けながら自分の望む生活を送ることが大事です。日常のなかの輝ける瞬間を整えるのも緩和ケアだと思います。
【VTR❸】 1日1日命を足し算する
緩和ケア医の大橋さんは7年前、希少がんのジストに罹患した。手術後1年もたたないうちに肝臓への転移がわかり、生き方そのものを見つめ直す。そのなかで考えたのが「足し算命」。「余命」は死に向けて1日1日減っていく感覚になるが、1日生きたごとに足し算するという考え方だ。できないことは諦め、できることをがんばる。病のなかでどう自分らしく生きるかを問い続けている。
主催:読売新聞社 社会福祉法人NHK厚生文化事業団 株式会社NHKエンタープライズ
後援:厚生労働省 NHK
協力:NPO法人わたしのがんnet
協賛:株式会社ツムラ







