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薬と薬草のお話vol.100 テンダイウヤクと烏薬(うやく)

広告 企画・制作/読売新聞社ビジネス局

vol.100 テンダイウヤクと烏薬(うやく)

薬用基原植物
Lindera strychnifolia Fernandez-Villar
(Lauraceae)

 2026年最初に紹介する生薬は烏薬(テンダイウヤク)です。不老長寿の薬を追い求めた徐福という人が、和歌山県の新宮にたどりつき発見したという伝説で知られています。

 テンダイウヤクは中国原産のクスノキ科の小低木で、日本には江戸時代に渡来しました。今では西日本の温暖な地域で自生しているものもあるそうです。春に枝の先の葉腋(ようえき)に淡黄色の花をつけ、秋に黒い実がなります。冬から初春までに根を掘り出し水洗い後、陽乾したものを薬用として使います。ボルネオール、リンデランなどや、アルカロイドのディセントリン、ラウロリストシンなどが主要成分です。

 現在、薬用として烏薬を配剤しエキス化されているものに、芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん)と芎帰調血飲第一加減があります。芎帰調血飲は14種類の生薬からなり、漢方の古典書「万病回春」の処方にもあります。これに他の薬味を加えたり除いたりの加減をして、20種類以上の生薬を配剤したものが芎帰調血飲第一加減で、産後の薬として使われます。この処方中で烏薬は、漢方の言葉で順気(気を巡らし整える)効果を期待して配剤されています。実際に芎帰調血飲などを煎じ薬として調整する中では、烏薬は木材のように思える硬い根の刻みを手にするのですが、独特の香りがあります。芎帰調血飲第一加減でも、調整時に烏薬や陳皮などのそれぞれの香りを強く感じます。私見ですが、鼻にスウーと入ってくるこれらの香りで効くように思ってしまうことがあります。

 烏薬の資料を整理している時、生薬の解説ではないのですが、「自然界の大法則、生まれたものは必ず死ぬ、たとえ無限の財力と絶大な権力を手にしたものでも不老不死はかなわないもの」という文章を見つけました。

 烏薬は不老不死の仙薬ではありませんが、芳香性のある健胃整腸効果を期待できるかもしれない生薬の一つです。先人が工夫した薬草の組み合わせをうまく取り入れて不老長寿をめざして、健康な毎日を過ごしてほしいと思います。


2026年1月31日
(笹川 悦子/笹川薬局社長/薬剤師)

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