薬と薬草のお話vol.98 トウガンと冬瓜子(とうがし)
Sponsored by 笹川薬局
広告 企画・制作/読売新聞社ビジネス局
vol.98 トウガンと冬瓜子(とうがし)
薬用基原植物
Benincasa cerifera Savi
または
Benincasa cerifera Savi forma emarginata
K.Kimura et Sugiyama(Cucurbitaceae)
数年前からサステナブルという言葉や、無駄をなくす社会を目指す機運が高まり、食べ物についても無駄をなくす工夫が求められています。
ところが漢方の世界では、古来、そんな小さな種子までが無駄なく薬用に利用されていたのかと驚くことがあります。その一つが今回の生薬「冬瓜子」です。
冬瓜子の基原植物は、食べ物として親しまれ、東南アジア原産とされるウリ科のつる性一年草・トウガンです。楕円(だえん)形で長さ10~13ミリ、幅6~7ミリの種子を生薬・冬瓜子として薬用に用います。
花期は初夏で、黄色の雄花と雌花を同株に咲かせます。ウリ状の大きな果実をつけたものが野菜としてのトウガンで、完熟した種子を水で洗い、乾燥させたものが冬瓜子です。主な生薬成分としてはサポニン、脂肪油、たんばく質の他、アルカロイドのトリゴネリンなどが含まれています。
現在日本でエキス化され冬瓜子を配剤している漢方処方は、大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)と腸癰湯(ちょうようとう)の2処方のみです。なかでも腸癰湯と異なり大黄を加味している大黄牡丹皮湯は比較的体力がある方で、下腹部痛があり、便秘になりがちな患者さんに対して、月経不順や便秘、痔疾(じしつ)の治療に使用されることがあります。
窓をあけるとまだまだ「猛署」という言葉を運んでくる風に触れます。食べ物としての果実、冬瓜は体の熱を下げて、むくみを和らげ、利尿効果が期待できる食材だそうです。漢方薬のなかには清暑という言葉がついているものもあります。「猛暑」の次は「清暑」が出番を待っていると期待したいです。
2025年8月31日
(笹川 悦子/笹川薬局社長/薬剤師)







