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病気・障害への差別・偏見をなくせ

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POINT
■感染者とされる名前や写真がネットに書き込まれたり、病院職員の子が幼稚園登園を拒否されたりと、「コロナ差別」が深刻化している。

■これまでも、ハンセン病やエイズ、肝炎などの患者や家族らへの差別が繰り返されてきた。過去の教訓が全く生かされていない。

■差別の背景には、実態が分からない事態に不安や恐れを感じ、脅威を排除しようとする心のメカニズムがある。

■コロナ差別を解消するために自治体が条例を制定する動きがある。正しい知識の普及と、人権を尊重する大切さを学ぶ教育が大切だ。

調査研究本部主任研究員 坂上博

 新型コロナウイルス感染を巡って差別や偏見が深刻化している。感染者やその家族、医療従事者らが誹謗(ひぼう)中傷され、心身ともに追い込まれている。これまでも、ハンセン病やエイズの患者・元患者らへの人権侵害が繰り返されてきた。障害者に対する差別も一向に解消されていない。本来は守られるべき人たちに寄り添わず、彼らを攻撃する「病根」とは何か、差別や偏見をなくす糸口はあるのか、検証する。

感染者が出た大学に「火をつける」

 関西地方の大学には2020年春、学生を中心としたクラスター(感染集団)が発生したことにより、抗議や中傷する電話やメールが相次いで寄せられた。「火をつける」「感染した学生の住所を教えろ」といった内容だった。

 言われなき差別はさらに広がった。同じ大学に通う、クラスターと無関係の学生が大学名を告げただけで、飲食店の入店を断られたり、アルバイトを首になったりしたとの訴えがあったという。

 感染を隠して高速バスに乗って帰省先から東京都内の自宅に戻った女性は、苛烈に批判された。女性に反省すべき点はあるものの、浴びせかけられた罵声は常軌を逸している。「コロナをばらまくテロリスト」「家族も抹殺されて当然」。ネットには、女性とその家族を非難する言葉があふれかえった。「本人」とされる氏名や写真がさらされた。女性とは関係がない飲食店が勤務先とネットに記され、店はホームページに「風評被害には、法的措置も視野に厳正に対処する」との文章を掲載した。

 脅迫罪や名誉毀損(きそん)に該当する悪質な行為が後を絶たない。

病院職員の子が幼稚園登園拒否

 差別の矛先は、感染者の命を守る医師や看護師ら医療スタッフ、物流を担うトラック運転手らにも向けられた。

 関東地方の病院では、入院患者や看護師の感染が明らかになると、この病院の職員というだけで、周囲から不当で差別的な扱いを受けたという。

 幼稚園や保育園に子どもを預けに行こうとしたら、敷地内への立ち入りや今後の登園を拒否された。職員の子どもが学校で、「親が、コロナ感染者が出た病院に勤めている」などと言われて傷ついた。職員の父親が勤務先から自宅待機を命じられ、その間の給与は支給しないと言われた……。心身ともに疲弊した医療スタッフが働く意欲を失えば、医療崩壊につながる危険性さえある。

 一方、ある小学校は、感染拡大地域を行き来する長距離トラック運転手の子どもに自宅待機を求めた。親子ともに体調に問題はなかったが、感染リスクが高いと判断されたという。全日本運輸産業労働組合連合会によると、「ウイルスをまきちらすな、と言われた」「お客さんからスプレーで消毒液をかけられた」などの訴えがトラック運転手らからあった。

自粛警察の横行、感染隠す風潮

 コロナ禍では、屋外での行動、店舗の営業などを巡って一般の人たちが過剰に自粛を迫る「自粛警察」も横行している。

 マスクを着けないで電車に乗ってきた人に辛辣(しんらつ)な言葉をぶつけてケンカになった。夜間営業を続ける飲食店に無言やどなり声の電話がかかってきた。こうした話は枚挙にいとまがない。

 感染したことが知られると非難されるので、市民は口をつぐむようになる。

 国立成育医療研究センター(東京)が2020年6~7月、新型コロナに関してインターネットで意識調査(複数回答)を行った。7~17歳の子どもと保護者延べ約6800人から回答を得た。

 「もし自分や家族がコロナになったら、そのことは秘密にしたい」と回答したのは、子どもの32%、保護者の29%だった。「コロナになった人とは、コロナが治っても付き合うのをためらう(あまり一緒には遊びたくない)」と回答したのは、子どもの22%、保護者の7%だった。

 差別やいじめなどを恐れ、感染の有無を調べるPCR検査を拒否する人も現れた。感染者を正確に把握できないと、感染拡大が進んでしまう。感染対策の視点からも、差別・偏見は百害あって一利なしだ。

ペストの流行でユダヤ人の迫害も

 世界そして日本の歴史を振り返ると、病気による差別の繰り返しだった。

 皮膚が黒くなる特徴的な症状から「黒死病」と恐れられたペストは、ネズミに取り付いたノミが持つペスト菌が原因となる。14世紀にヨーロッパで大流行し、人口の4分の1~3分の1にあたる2500万人が亡くなったとも言われる。死の恐怖に覆われる中、ユダヤ人への激しい迫害が行われたとされる。

 1918年に発生し、世界で4000万~5000万人、日本で約40万人の死者を出した「スペイン風邪」は、新型インフルエンザウイルスが原因だった。日本では「流行性感冒」と呼ばれ、政府は国民に人の集まる場所に行かず、電車や汽車内では呼吸保護器(マスク)をかけるように求めた。患者隔離や接触者の行動制限などの対策を取った国もあった。

エイズ、肝炎 就職などで差別も

 肝炎ウイルス感染者への差別・偏見は今も続く。輸血や血液製剤の投与、注射針の使い回しなどにより感染するC型肝炎ウイルスと、主に血液や体液を介して感染するB型肝炎ウイルスは、感染が持続して慢性肝炎になる危険性がある。

 感染者と握手したり、食器を共用したり、一緒に入浴したりしても感染しない。日常生活で周囲の人に感染させる可能性は、ほぼ「ゼロ」だ。それなのに理解は広がっていない。

 「HIV(ヒト免疫不全ウイルス)」感染症も、いまだに差別から逃れられない。免疫が低下する病気で、感染して発症していない人を「HIV感染者」、ニューモシスチス肺炎など特徴的な症状が表れた人を「エイズ患者」と呼ぶ。

 感染経路には、(1)性行為による感染(2)輸血や血液製剤を介した感染(3)母子感染の三つがある。

 感染力は弱く、肝炎ウイルスと同様、日常生活で周囲に感染を広げることはほとんどない。にもかかわらず、日本で初めてエイズ患者が認定された1985年以降、様々な差別的な事態が起こった。

 感染者や患者であることを理由に、就職を断られたり、職場で嫌がらせを受けて退職を余儀なくされたりした。今でも感染者が集う場所を作ろうとして、家主に断られるケースもある。

 薬害エイズの患者らを支援する「はばたき福祉事業団」(東京)の柿沼章子・事務局長によると、自身もHIV感染者で理事長だった大平勝美さんは「薬害エイズの教訓が、コロナ対策にまったく生かされていない」と嘆き、2020年6月に亡くなった。71歳だった。柿沼事務局長は「正しい情報を分かりやすく国民に伝えることができていないので、不安から差別・偏見が生まれている」と指摘する。

ハンセン病、官民挙げて隔離政策

 「人間として扱われなかった。土足で踏みつけられるような体験を何度もしてきた」。ハンセン病元患者(回復者)の石山春平さん(84)は、そう振り返る。ハンセン病患者やその家族らへの差別は、国・自治体・市民が一体となって行われた非人間的な「仕打ち」であった。

 ハンセン病は、らい菌という細菌が原因である。感染力は極めて弱く、たとえ感染しても自然に治り、発症することはまれだ。ただし、衛生環境や栄養状態が悪い状況では発症することがある。皮膚や末梢(まっしょう)神経に症状が表れ、顔や手足に外観を損なう障害が残ることがある。

 外見から差別され、感染症なのに、特定の家族で発生する「遺伝病」と誤解されることも多かった。仕事につけず、自宅の離れでひっそりと暮らしたり、家族に迷惑をかけないように放浪の旅に出たりした。

 日本政府は1907年、患者が放浪していると感染を広げ、世界の国から批判される可能性があるなどとして「(らい)予防に関する件」という法律を成立させた。放浪する患者を療養所に入所させ、一般社会から隔離することにした。

 各県が競ってハンセン病患者を見つけ出し、強制的に入所させる「無らい県運動」が全国で展開された。31年には「らい予防法」が成立し、強制隔離・患者撲滅という政策が強力に推進された。

16年間強制隔離、帰る場所なく

ハンセン病元患者の石山春平さん
ハンセン病元患者の石山春平さん

 石山さんは47年、小学6年の夏休みにハンセン病にかかっていることが判明した。夏休み明けに診断書を持って学校に行くと、担任教諭から「おまえはもう帰れ。明日から来るな。汚い病気だ」と言われ、教室から追い出された。理由が分からず、帰宅して父親に聞くと「人には言えない病気なんだ」と言われた。

 父親は「長くは生きられない。自宅で死なせてやりたい」と、療養所への収容ではなく、自宅の納屋に閉じ込める選択をした。石山さんは4年間、一人きりで過ごした。たまに、こっそり家を抜けだし、近所の人に見つかると、石を投げられ、「家に帰れ」と言われた。

 農薬を飲んで死のうと思い、山に入ったが、怖くて死ぬことができない。逆に、「僕が長生きすることが、差別をした人たちへの復讐(ふくしゅう)になる」と開き直り、療養所に入る決心をした。

 16歳の時から16年間、静岡県の療養所に収容された。病気の影響で手の感覚がなく、傷口から細菌が入って化膿し、何本かの指を切断した。その手で、農作業や草刈りなどを行った。

 既にらい菌を殺す治療薬が開発されており、薬を飲んで完治した。喜んで父親に「治ったので家に帰りたい」と手紙を書いた。父親から「治ったのはおめでとう。しかし、おまえが今帰ってきてもいる場所がない。今の場所にいた方がお互いの幸せにつながると思う」などと書かれた手紙が返ってきた。この病気になると故郷はなくなるのだと思った。

 幸い、身元引受人が見つかり、68年に療養所を出た。病気を隠し、東京都内の工場で働いた後、障害者を自動車に乗せて移動をサポートするガイドヘルパーとなった。75年、父親が亡くなり、妻と一緒に故郷に戻ったら、親戚から「葬式に出席しないでくれ。親戚以外の人も出席するから。みんなが帰ったら呼びに来る」と言われ、近くの旅館で待たされた。妻から「最も悲しい出来事だった」と言われた。

恐怖や不安が差別を生む

日本初のハンセン病療養施設である神山復生病院を復元し、一般に公開されている復生記念館(静岡県御殿場市)
日本初のハンセン病療養施設である神山復生病院を復元し、一般に公開されている復生記念館(静岡県御殿場市)

 「らい予防法」が96年に廃止され、約90年に及ぶ強制隔離・患者撲滅政策に終止符が打たれた。元患者らが人権を侵害されたとして国に損害賠償を求めて提訴。熊本地裁で言い渡された2001年の判決では、「隔離規定の違憲性は明白」として、国の責任を認め、賠償金を支払うことを命じた。

 石山さんは、この判決をきっかけに、病気を告白し、東京で起こされた裁判に参加して勝訴した。国は控訴を断念し、小泉純一郎首相(当時)が患者・元患者らに謝罪した。

 「差別・偏見と闘わないとだめだ。自分から言わないとだめだ」。今は、学校や自治体研修などで自分の体験を語っている。

 現在の「コロナ差別」について、「必要以上に怖がってしまっている雰囲気が、ハンセン病の時と似ている気がする。恐怖や不安が差別を生む」と指摘。「無意識に差別している人がいる。それを正すのは本当に難しい。正確な知識を持つことが大切だ」と話す。

新しい物への恐怖が攻撃的な行動に

 新しい病気が広がるたびに、同じような差別的行為が繰り返される。つまり、過去の教訓が生かされていない。それでは、なぜ、コロナなどの感染症が、差別や偏見を生み出すのだろうか。

 新潟青陵大学大学院の碓井真史教授(社会心理学)によると、偏見・差別は、地域や職業など特定のグループに所属しているというだけで、その人にマイナスイメージを持つことをいう。

 例えば、日本より人口当たりの犯罪発生率が高いA国があった場合、A国から来日した人に対して「危ない人だ」と思うのは偏見・差別だ。

 コロナ禍で言えば、大学でクラスターが起きたからと言って、その大学に通う、ある特定の学生を感染者として扱うのは、明らかに偏見・差別だろう。

 新しい感染症など実態がよく分からない事態が起きると、人間は不安や恐れを感じ、自分や家族を守ろうとしてその脅威を排除したり、攻撃したりしようとする。これが偏見・差別が起きるメカニズムだ。

 社会心理学には、身の回りで起きた出来事や自分・他人の行動の原因を探る時、人間はどのような心理的な過程をたどるかを説明する「原因帰属理論」がある。それによると、目立つ物、派手な物、新しい物を原因と考えやすい。旅人がやってきて、地域で悪いことが起きると、その原因を旅人だと考えるのが一例だ。コロナ禍では、マスクをしていない身内より、電車でマスクをしていない見知らぬ人への怒りの方が大きくなる。障害者や外国人など「目立ってしまう」人は差別の対象になりやすい。目立ってしまう少数意見者に対して、考え方を変えるように迫る「同調圧力」も生まれる。

 碓井教授は「感染予防活動はそもそも、自分に近づくな、距離を取れ、という政策なのだから、国民の分断や偏見差別を容易に生む。それを認識した上で対策を行う必要がある」と指摘する。

感染を「自業自得」と責める日本人

 コロナ差別が苛烈な一因として、日本人の「気質」があるとの指摘もある。大阪大学の三浦麻子教授(社会心理学)らは昨年3~4月、日本、米国、英国、イタリア、中国の5か国で各約400~500人を対象にインターネット経由でコロナ感染に関する意識調査を行った。「感染する人は自業自得だと思うか」との質問に、「全く思わない」から「非常に思う」まで、賛否の程度を6段階で尋ねた。

 その結果、「どちらかといえばそう思う」「やや~」「非常に~」の三つを答えた人は、米国1%、英国1.49%、イタリア2.51%、中国4.83%だったが、日本は11.5%で最も高かった。

効率性を重視し、寛容さがない社会

 「差別・偏見の意識は突然生まれたのではない。コロナによって顕在化しただけ。根っこはずっとあった」。日本障害者協議会代表で全盲の藤井克徳氏は、今も障害者差別が解消されない現状を踏まえて、そう語る。

 日本社会はコロナ禍以前から、効率性やスピードを重要な価値基準と位置づけてきた。多少の勝ち組や負け組があっても仕方がないという風潮。ギスギスした社会の中で、不満やストレスを立場の弱い人や自分と異なる立場の人にぶつける。反論を許さず、寛容さがない社会がつくられてしまった。

 相模原市の知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」で16年7月、入所者ら45人が殺傷される事件が起きた。犯人は「重度障害者は生産性がなく、公費を無駄に使っている」などと犯行理由を語った。藤井さんは3度、犯人に接見したが、凶行の背景が見えてこなかった。

 死刑が確定したが、ネット上では犯人の意見に賛同する声も聞かれる。藤井さんは「コロナ禍で起きている差別は、人を選別する優生思想と同根だ。これまで起きてきた差別・偏見に日本人が向き合ってこなかったツケだ」と話す。

国の組織が提言 自治体が条例制定

 コロナ差別をなくすために、私たちは何をすべきだろうか。

 国は、新型コロナウイルス感染症対策分科会の下に「偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループ」を作り、20年11月、これまでに議論した内容を公表した。

 学校や職場、インターネット上など様々な現場での差別の実態を調べ、提言をまとめた。差別を防ぐには、国や自治体、企業、労働組合、NPO、マスメディアなどの関係者がそれぞれの立場で対策に取り組む必要があるとした。その上で、「平時」から行うべき8項目と、クラスター発生時など「有事」に取り組むべき4項目を掲げた。

 その中の一つ、「感染症に対する正しい知識の普及」は、あらゆる対策の土台となる。怖がり過ぎて感染者らを攻撃したり、逆に感染症を甘く見て対策を怠ったりしないように、専門家らは分かりやすい言葉で感染症について説明し、一般市民は理解に努める必要がある。

 ワーキンググループの提言にも盛り込まれていたが、東京都や茨城県などの自治体は感染者らへの差別行為の禁止規定などを盛り込んだ条例を制定した。8月に条例を制定した鳥取県は、制定前の4月から、ネット上の情報をチェックし、誤った情報があったら県民に向けて注意喚起を行っている。

 罰則規定のない条例の実効性を疑問視する声もある。しかし、前出の日本障害者協議会代表である藤井克徳氏は「『政策が先。意識は後』という言葉がある。行政が正しい発信をすれば、国民の理解は広がると思う」と話す。

 マスメディアも差別・偏見を防ぐために動いている。日本新聞協会と日本民間放送連盟(民放連)は20年5月、「ウイルスの特性を分かりやすく伝え、センセーショナルな報道にならないよう節度を持った取材と報道に努める」との共同声明を発表した。読売新聞社は同年6月、感染症に強い社会を築くための緊急提言をまとめたが、その中で、コロナ差別を許さない風潮をつくり、啓発活動や救済制度の充実を図るよう訴えた。

恐れるべきは、誰もが持つ差別・偏見

 重要性を強調したいのは、人権を尊重し、思いやりの大切さを学ぶ教育だ。ありきたりの提言だが、これに勝る対策はない。それを証明するような、ハンセン病元患者である石山春平さんのエピソードを紹介したい。

 小学校4年の息子が「授業参観にお母さんが来てほしい。お父さんが来ると僕はつらいんだ。クラスの友だちが、口を曲げたり、手を曲げたりしてお父さんのまねをするから」と妻に打ち明けた。授業参観には妻が出席した。PTAの役員をやっていた石山さんは翌日、学校に行き、担任教諭に「僕が何を言われても慣れているが、子どもが親のことで言われるのは非常につらい。学校に行かないようにするので、PTA役員を降ろさせてほしい」と相談した。

 担任教諭は翌日、子どもたちを集めて、「石山君のお父さんは体が不自由だけど、そのことを石山君に言ったりするのは人間として恥ずかしいことだ。私の教え子が、そういう人に育ってほしくない」などと話しかけたという。後日、担任教諭に呼ばれて学校に行くと、子どもたちが石山さんを待っており、「もういじめないよ」「(石山さんは手が不自由なので)言ってくれたら何でも手伝います」などと言いながら、抱きついてきたという。

 恐れるべき相手は人間ではない。人々の心の中に巣くい、突然増殖・拡大する差別・偏見だ。ただ、私たちが学ぶことを忘れなければ、この事態を乗り越えられるはずだ。

  • 参考文献
  • 石山春平(2018年)『ボンちゃんは82歳、元気だよ!』(社会評論社)

※この論考は調査研究本部が発行する「読売クオータリー」掲載されたものです。読売クオータリーにはほかにも関連記事や注目の論考を多数収載しています。最新号の内容やこれまでに掲載された記事・論考の一覧は こちら にまとめています。
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2022243 0 医療・社会保障 2021/04/30 01:00:00 2021/04/30 01:00:00 2021/04/30 01:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/04/20210427-OYT8I50061-T.jpg?type=thumbnail

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