瀬戸際の中小企業 円滑な事業承継への処方箋

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POINT
■後継者不足にコロナショックが追い打ちをかけ、存続が危ぶまれる中小企業が急増。廃業を食い止めるためにも中小企業の円滑な事業承継が喫緊の課題となる。

■人工知能(AI)などを駆使した事業承継型M&Aなども活用し、次世代を見据えたイノベーションを生み出す企業再編を進めるべきだ。

■親族外の承継を円滑に進めるため、地域金融機関や税理士などの専門家の連携が重要。サポート態勢の整備が急務。

■政府はコロナ対応と同時に効果的な事業承継支援策を実行すべきだ。都道府県など地方との連携も欠かせない。

主任研究員 高橋徹 

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、日本経済を支える中小企業の休業や廃業が増えている。もともと団塊の世代を中心とした経営者の「大量引退」の時期が迫る中、後継者不在という構造的問題を抱え、年間4万超の企業が休廃業や解散を余儀なくされてきた。そこへコロナ禍による先行き不透明感が加わったことが、事業継続を断念する大きな要因となっているようだ。

 日本のものづくりを牽引(けんいん)し、身近な生活を支えてきた中小企業が消失すれば、地域の産業や雇用などに深刻な影響を及ぼしかねない。疲弊する地域の中小企業を支え、事業承継を円滑に進めるにはどうすればいいか。新たな支援の取り組みなどを紹介しつつ、将来にわたり持続可能な中小企業を育成するための課題と処方箋を考察した。

駅前のホテルを直撃

 家屋やひさしの一部を延ばした雪よけの雁木(がんぎ)が連なる豪雪地帯の新潟県上越市高田地区。雪国文化が色濃く残る「雁木通り」に近く、JR高田駅前から徒歩約1分の好立地で営業していた「タカダキャッスルホテル」が4月21日付で事業を停止し、清算手続きに入った。

 タカダキャッスルホテルは、1948年に吉田旅館として創業、94年に建物をリニューアルした。駅近ながら低廉な宿泊料で、出張客や観光客に人気があった。

 港町の直江津と城下町の高田という二つの市が76年に合併し、新潟、長岡に次ぐ県内第三の都市として誕生した上越市だが、人口減少に歯止めがかからない。周辺町村の合併で2005年に20万8000人に達した人口は、10月1日現在で約18万9572人に減った。60年には11万6000人まで減ると推計される。特に10代後半から20代前半の若年層の流出が激しい。

 人口減少で街の活力が失われる中、タカダキャッスルホテルにはリニューアル時の借り入れ負担が重くのしかかるとともに、周辺の同業他社との競争が激化。ピーク時の11~13年に約7000万円あった売上高は、ここ数年で4000万円に減ったという。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、毎年4月に開催する「高田城址公園観桜会」のイベントが中止となり、利用客が著しく減少したことが決定打となり、事業の継続を断念した模様だ。

 ホテルや旅館業などの経営を指導している経営コンサルタントの桐明(きりあけ)幸弘・インテグリティサポート代表取締役は「旅館業は恒常的に過剰債務を抱え、手元資金が脆弱(ぜいじゃく)な企業が多い。3か月も営業を停止したら経営が持たない」と話す。

 東京商工リサーチ新潟支店によると、負債総額は約2億5000万円で、従業員5人が解雇された。同支店の伊藤(おさむ)情報部チームリーダーは「新型コロナウイルスが体力の弱い中小企業の経営を直撃している。影響が長引くにつれ、事業継続の意欲を失う経営者がさらに増えるかもしれない」と指摘する。

相次ぐコロナ倒産

 出口の見えないコロナ禍の余波は、全国の中小企業に広がっている。

 帝国データバンクによると、「新型コロナウイルス関連倒産」(法人および個人事業主)は、11月6日現在、47都道府県全てに広がり、687件に上っている。

 業種別にみると、「飲食店」(103件)、「ホテル・旅館」(62件)、「アパレル小売店」(45件)、「建設・工事業」(44件)、「食品卸」(36件)、「アパレル卸」(25件)などの業種が上位に並ぶ。都道府県別では、東京都が159件と最も多く、大阪府68件、神奈川県34件、兵庫33件、北海道、静岡県各32件と続く。

 687件のうち、負債5億円未満の小規模倒産が577件と全体の8割を超える。もともと経営基盤が脆弱な中小・零細企業にコロナ禍が追い打ちをかけ、倒産に至った構図が浮かび上がる。

 コロナ以前から、中小企業の事業継続に立ちはだかっているのが後継者難だ。東京商工リサーチがまとめた今年上期(1~6月)の後継者難による倒産件数は、前年同期比79.6%増の194件で、調査を始めた13年以降で最多となった。

 業種別では、建設業が同2.2倍の47件、製造業が3.2倍の35件で、ともに最多を更新した。

 上期の後継者難倒産の要因を分析すると、経営者の「死亡」が40.2%、「体調不良」が35.6%、「高齢」が13.4%だった。全国の社長の平均年齢は19年末時点で62.16歳となり、調査を開始した09年以降で最高を更新している。

 全体の上期の倒産件数は同0.3%増とほぼ横ばいだっただけに、社長の高齢化と後継者難がより深刻な問題になっていることが読み取れる。

廃業は最悪の選択肢

 こうした中、廃業の検討を始める中小企業も出てきた。東京商工リサーチが7月に実施した廃業に関するアンケート調査(回答6638社)によると、コロナの収束が長引いた場合、中小企業の7.7%が廃業を検討する可能性があると回答した。時期については、45.1%が「1年以内」と答え、切迫した状況にあることが分かった。

 同社は「コロナ禍で業績が悪化する中、状況が厳しい企業ほど後継者が見つからず、経営を立て直せないという悪循環に陥るケースが多い。廃業に関する調査の数字を単純に当てはめれば、約358万社のうち、12万4000社が今後1年以内に廃業を決断する可能性が出てきた」と分析している。

 M&A(企業の合併・買収)仲介専門会社で業界最大手の日本M&Aセンターの三宅卓社長は「私の持論は『世の中に不要な会社はない』だ。廃業は誰も幸せにならない最悪の選択肢」と強調する。

 廃業するためには、まず従業員を解雇しなければならない。従業員の再就職先が見つかるとは限らない。そうなれば、地域経済にも悪影響を与えるという、負の連鎖が発生する。

 また、廃業には思っている以上に費用がかかる。三宅社長は「例えば、工場を整理する場合、産業廃棄物処理の費用は多額で、結果的に経営者の個人財産が減り、借金だけが残りかねない」と指摘する。その上で、「平時なら自助努力で乗り切ることが可能かもしれないが、危機的な状況の下では、第三者へのM&Aによる事業承継が一つの解決策になる」と話す。

事業承継で戸惑う経営者

 コロナ禍による経済活動の停滞に直面する中で、事業承継やM&Aに対する企業側の姿勢に変化はあるのだろうか。

 M&A仲介専門会社のストライクが集計した中小企業経営者を対象に実施したインターネット調査によると、新型コロナウイルスの感染拡大が、「事業承継やM&Aに悪影響を及ぼす」と考える中小企業経営者が5割超に上った。

 「マイナスの影響がある」と答えた経営者は、事業承継では58.3%、M&Aでは売り手側58.1%、買い手側33.3%だった。経済停滞による売上高の減少や将来不安などが経営者の心理や行動に影を落としている。

 影響があると回答した中で、「コロナ禍のために内容を再検討することになった」経営者は、事業承継で43.4%、M&Aの買い手で40.0%、売り手で26.1%に上った。「計画そのものを取りやめた」経営者も事業承継で9.4%、M&Aの買い手で10.0%、売り手で26.1%だった。

 その理由としては、「売り上げが減少し、将来に不安を感じたため」を挙げる経営者が目立ち、事業承継では70.5%、M&Aの売り手では52.4%に上った。一方、M&Aの買い手側の経営者では、「手元資金を潤沢にしておくため」(66.7%)が最多だった。

 ストライクの荒井邦彦社長は「短期的に見ると、売り手、買い手の業況が悪化したことで、『いったん交渉を見送りたい』、『条件を下げて欲しい』といった動きが出ているのだろう」と分析する。ただ、「市場に出回っている資金は潤沢で、積極的に投資していきたいという買い手企業もある。リーマン・ショック時もそうだったが、厳しい経済環境下でM&Aなどによって積極的に攻めた企業が伸びている。今回のコロナショックでも同様のことが起こるのではないか」とみる。

面談希望の件数は急増

 M&A仲介専門会社のファンドブックでは、緊急事態宣言が解除された6月以降、経営者との面談件数が急増し、9月は713件に達した。特に譲渡側の面談申し込みが増えており、同時に業界再編も動き出している。

 旅行サービスを提供する都内の中堅A社は、これまで企業向け研修企画などで順調に成長を遂げてきた。だが、コロナ禍で企業の活動が停止したため、4~6月は売り上げが立たなかった。これまでの内部留保や補助金・給付金で1~1年半はキャッシュが回る見込みは立っているものの、当面の出血を止めて企業価値を守ることが先決と判断し、事業の譲渡を決めた。

 ファンドなど3社が名乗りを上げ、このうち相乗効果が最も見込めそうな会員向けサービスを展開する小売業をパートナーに選定する方向で最終調整しているという。

 同社の清水保秀取締役(エグゼクティブセールス本部マネージングディレクター)は「コロナ発生前で、右肩上がりだった前期末に比べればA社の企業評価は下がっているが、M&Aでグループに参画することで、組織と雇用を守ることができる」と話す。その上で「いずれ旅行関連業種も回復が見込める。譲り受け側にとっては、『負ののれん』を組み入れることでA社の純資産額より割安に譲り受けられる。グループに迎え入れた後の事業の相乗効果も期待できるので、双方にとってよい判断ではないか」と解説する。

企業同士のお見合い

 インターネットによる事業承継プラットフォームを手掛けるバトンズにも、コロナの影響を受けた企業の売却登録が急増している。

 同社には現在、売り案件が3500件、買い手が約7万件登録しているが、コロナ後の2~7月にかけて、売り案件の登録社数は1.2倍に増えた。とりわけコロナ禍の影響で先行き不安の大きい「飲食・食品」の登録数が3.8倍に急増したという。

 日本M&Aセンターの子会社である同社は、年商1億円以下の個人商店などの小口案件をターゲットに、コストと手間をかけず、企業間の売買のほか、医療クリニックや税理士事務所など士業の事業承継もサポートする。

 M&Aセンター出身の大山敬義社長が、広大な米国で普及しているネットを通じた企業売買サイトからヒントを得て、13年に社内ベンチャーとして発足、その後、18年に分離・独立して設立した。

 大山社長は「M&Aは秘密保持に始まり秘密保持に終わるのが鉄則。構想を打ち上げた8年前は、『ネットにM&Aの情報をさらすとは何事か』と関係者からあきれられた」と明かす。その後、実用化に向けて実験を繰り返す中で、「ネットによるマッチングは大きな案件には向かないが、『後継ぎの公募』のような小口案件には適している」(大山社長)と判断し、本格的にビジネスをスタートさせた。

 当初、気を配ったのは売り手の心理負担を軽くすることだ。同社の登録料は無料で、売買契約が成立した際に買い手から成約価格の2%を受け取る。例えば、年商5000万円のX社をY社が1000万円で買収する契約が成立した場合、Y社だけがバトンズに20万円支払う。

 通常、事業承継型M&Aでは、仲介会社が買い手、売り手双方から手数料を受け取る料金プランが多いだけに、同社のシステムは特に売り手にとってハードルが低い。

 売買コストの低さに加えて、同社の最大の特徴は成約までの時間の速さだ。通常のM&Aは、買い手選びや資産査定などに最低でも数か月はかかるが、これまでの記録では、最速のマッチングが13分、成約までが1日と驚異的なスピードだ。一方で、安心して取引してもらえるように、経営者の本人確認や反社会勢力が経営する企業を排除するための個々の審査も怠っていない。

 同社は、中小企業の事業承継支援で全国の自治体などと連携を開始。地域の経済や雇用を守る取り組みに力を入れ始めた。事業承継の成功事例やノウハウも自治体などと共有し、円滑な事業承継の実現を目指している。

 大山社長は「コロナで大きく潮目が変わり、中小・零細企業でも選択と集中からリスクを分散するため、多角化を目指し、企業買収を考えるようになった。起業を目指す個人も買い手として乗り出してきた」と話す。

 仮に、年商1億円の小売店の売り上げが5000万円に下がったとしても、個人で起業を目指す人にとっては、ゼロから始めるよりも、ある程度の顧客がついていて当初から5000万円の売り上げが見込めるメリットが大きいためだ。

 大山社長は「米国では7万4000件の売り案件があり、年間1万件が成約している。日本でも売り案件がこれからも増える傾向にある。廃業を減らして、事業承継を進める上で、ネットによる企業売買が果たす役割はますます大きくなるだろう」と市場の成長性を予測する。

AIがマッチング

 人工知能(AI)を活用した企業売買の仲介で頭角を現しているのが、IT企業出身の佐上峻作社長が率いるM&A総合研究所だ。佐上社長は「中小企業の休業や廃業が増えれば、そこに存在した雇用や技術が失われてしまう」ことに危機感を持ち、18年に設立した。

 自ら創業したIT企業を上場企業に売却したM&A経験のある佐上社長は、利用者目線に立って、譲渡先が決まるまで売り手が料金を支払わなくて済む「完全成功報酬」にこだわりを見せる。

 最新のテクノロジーにも詳しい佐上社長は、M&A市場にAIによるマッチングを本格的に導入。「人間が短時間に思い浮かばないような組み合わせを提案してくる」と話す。

 例えば、あるIT企業が単独での事業拡大に見切りをつけ、他の企業の傘下で自社の経営資源を生かしたいと希望してきた案件があった。従来の発想ではIT企業同士の組み合わせを考えるのが一般的だが、AIが提案したのは不動産会社への売却だった。

 佐上社長は「AIは、不動産業界でITを駆使した不動産テックが盛んになっていることを見越して提案したのだろう。AIには営業マンが足で稼いだ情報も順次、入力しており、技術の進展など様々な情報も取り込んで進化を続けている」と驚嘆する。

 AIの提案をもとに、東日本に本社を置くホテルや博物館を運営する不動産関連企業に譲渡が決まり、IT企業が保有していたノウハウを駆使して、集客につなげているという。

 佐上社長は「事業承継型M&Aの分野で、AIは新しいイノベーションを生み出す組み合わせをスピーディーに提案できると思う。精度を高めて、一社でも多く中小企業の廃業を減らしたい」と意気込む。

政府も支援に本腰

 9月16日に発足した菅政権も、中小企業の事業承継を重視する姿勢を鮮明に打ち出している。菅義偉首相は就任記者会見で「厳しい経済状況の中で雇用を守り、事業を継続させていくことが大事だ」と述べ、コロナ対策と同時並行で事業承継を全面的にサポートしていく考えを強調した。

 経済産業省・中小企業庁は、コロナ以前から、黒字でありながら廃業に向かう中小企業が多いことを問題視し、経営資源を次世代の意欲ある親族外の若い経営者に引き継がせるための施策を打ってきた。

 昨年12月には、「第三者承継支援総合パッケージ」を公表。今後10年間で60万件の第三者承継を目指す野心的な目標を掲げた。これに沿って、中小企業庁はM&Aの手続きや手数料の目安などを示したガイドラインの策定や、相談体制の拡充を進めている。売り手と買い手の負担感を軽減するため、金融機関が新旧双方の経営者に個人保証を求める「二重取り」を原則禁止する措置も取った。

 さらに、コロナ対策の一環として、今年度補正予算でM&Aの仲介手数料などを補助する制度を新設。これまで、後継者が新分野にチャレンジする際の費用への補助金はあったが、M&Aそのものを後押しする補助金制度(36億円)は画期的だ。企業庁で10月1日から2次の申し込みを受け付けている。

 官民連携の「経営力強化支援ファンド」(原資450億円)も創設された。地域の中核企業の廃業を防ぎ、M&Aによる地域内の事業再生や集約化を推進する。

 再任された梶山経産相は、菅首相からの指示を受け、既存の施策を進めるとともに、再編を促進しながら中小企業の生産性を向上させ、足腰を強くする仕組みづくりに着手する方針だ。具体的には、再編をさらに後押しする税制のほか、M&Aや企業間のマッチングを円滑にする施策を検討する。政府は地域経済の実情を把握している都道府県とも情報共有しながら、中小企業の事業承継を後押ししていかなければならない。

地域金融機関の役割

 官民で第三者への事業承継支援が活発になる一方で、メインストリームの親族や従業員への承継を推進するには、どのような支援が必要だろうか。

 神戸大の家森(やもり)信善教授(金融論)は「中小企業の廃業が増えているのは、金融機関をはじめ事業承継を巡る支援が十分に機能していないからではないか」という仮説を立て、地元の兵庫県内の事業者を対象に調査に乗り出した。

 18年11月末時点で兵庫県信用保証協会の保証を利用した法人・個人事業主を対象とし、事業承継済みの企業640社、未経験の1877社から回答を得た。兵庫県は、神戸市などの都市部と日本海側の過疎地が併存しており、産業構造は「日本の縮図」ともいえる。

 調査からは、企業側と支援する側の意識のずれが浮かび上がった。金融機関は事業承継支援に力を入れているのに、企業は相談相手としてあまり認知していない。また、廃業を検討している経営者の8割強は、家族や自分自身だけで判断し、金融機関や外部の専門家に相談する意識が低いことも分かった。

 家森教授は「コロナが発生したことで、金融機関はより取引先企業に寄り添う必要があるが、敷居が高いと感じる企業は少なくない。貸し出しなどの金融面だけでなく、情報提供など幅広い支援が事業承継の円滑化につながる」と述べ、金融機関が企業の課題解決に積極的に乗り出すことを求めている。

 事業承継には、金融機関だけでなく税理士や同族企業の経営をサポートするコンサルタントらとの連携も不可欠だ。現状では、特に地方でこうした専門知識を持つ人材が不足しており、経営者がひとりで悩むケースが少なくないのではないだろうか。

 一方で、事業承継が果たすプラスの効果も確認された。

 事業承継を経験した企業のうち、2期連続で黒字を達成した企業の割合は61.3%で、未経験の企業(54.3%)を7ポイント上回る。企業が生き残るだけでなく、経営者が若返ることで経営改革の機運が生まれることを裏付けた。また、親族よりも従業員への承継の方が好業績の傾向にあり、既存事業の見直しに積極的であることも分かった。

30年に1度の好機

 中小企業や同族企業の事業承継は、時代の変革に合わせて企業の経営改革を行うため、約30年に1回回ってくる好機ともいえる。

 新型コロナの感染拡大に伴う経営環境の変化により、大企業だけでなく中小企業も情報技術(IT)やデジタルトランスフォーメーション(DX)への対応をいや応なく迫られる。こうした改革は、引退を間近に控えた高齢の経営者には難しいかもしれないが、若い経営者なら対応できる可能性が高い。

 事業を親族や従業員、第三者に単に引き継ぐだけでなく、後継者が自社の強みや弱みを把握した上で、ビジネスモデルの再構築を図ると同時に、ガバナンス(企業統治)も向上させることが肝要だ。持続可能な経営体への脱皮や、より強固な経営基盤を求めた業界再編を断行して、次の世代にバトンタッチする。それが日本の将来の経済成長にもつながることになるだろう。

■主な参考文献・資料

落合康裕(2016年)『事業承継のジレンマ 後継者の成約と自律のマネジメント』白桃書房

落合康裕(2019年)『事業承継の経営学 企業はいかに後継者を育成するか』白桃書房

オリット・ガディッシュ、ヒュー・マッカーサー『プライベートエクイティ6つの教訓 経営のための知恵袋』ファーストプレス

小寺弘泰(2020年)『認定支援機関実務ハンドブック第2版』一般社団法人金融財政事情研究会

島田直樹(2020年)『日本型ブリッツスケール・メソッド 日本M&Aセンターの経営成長戦略』日本経済新聞出版社

鈴木龍介(2020年)『事業承継法入門』中央経済社

高橋徹(2020年)『同族企業のDNA 強さの源泉と課題』読売クオータリー52号(読売新聞東京本社調査研究本部)

高橋徹(2019年a)『継ぐのは誰か 次世代の中小企業』読売クオータリー48号(読売新聞東京本社調査研究本部)

高橋徹(2019年b)『アトツギたちの挑戦』読売クオータリー50号(読売新聞東京本社調査研究本部)

深沼光、山崎敦史、山田佳美(2020年)『中小企業の廃業がマクロ経済に与える影響』、井上考二、高木惇矢『経営者の事情を理由とする廃業の実態と必要な支援策』日本政策金融公庫総合研究所論集第48号

星野佳路(2019年)『星野佳路と考えるファミリービジネスの教科書』日経BP

家森信善編著(2020年)『地域金融機関による事業承継支援と信用保証制度』中央経済社

渡部恒郎(2017年)『業界メガ再編で変わる 10年後の日本 中堅・中小企業M&Aが再編の主役だ』東洋経済新報社

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1612084 0 読売クオータリー 2020/11/10 05:00:00 2020/11/09 18:03:41 2020/11/09 18:03:41 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201107-OYT8I50011-T.jpg?type=thumbnail

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