中西宏明・経団連会長(日立製作所会長)「産学官でデータ活用を」
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5月末に経団連会長に就任する中西宏明・日立製作所会長は5月24日、東京・内幸町の帝国ホテルで開かれた読売国際経済懇話会(YIES)で講演した。「今後の世の中はデジタル情報で大きく変わる」と述べ、政府が目指す未来社会の構想「ソサエティー5・0」を推進すべきだとの考えを示した。
「ソサエティー5・0」とは、「狩猟社会」を第1期の「1・0」ととらえ、農耕社会「2・0」、工業社会「3・0」、情報社会「4・0」に続く5番目の大きな社会変化を意味する。「超スマート社会」とも称される。
中西氏は「デジタル技術で膨大なデータを集め、その知恵をうまく使って社会課題を解決していく」と語り、先端技術をフル活用し、豊かな社会をつくる意義を強調した。
ソサエティー5・0の実現に向けては、顧客動向など膨大な情報を分析・活用して社会的なニーズを掘り起こすことで、「新しい価値を生むようなビジネスを作っていくことができる」と指摘。産学官の連携によるデータの共有も求めた。具体策として、政府や地方自治体、企業などが持つデータをそれぞれが活用できる枠組みづくりを進めていることを挙げた。
講演要旨
■社会構造の変化
21世紀は、不確実性の時代というくくりで語られる。製造業ではものが売れなくなった。いいものをつくれば売れた時代は終わった。社会や企業、個人に役立つ形にして、システムやサービスの分野を膨らませないと商売にならない。社会構造の大きな変化だ。
デジタル化の波は急速に広まっている。フェイスブックの会員数は20億人もいる。商売の流れが大きく変わり、業界の垣根がない、業界そのものが大きく変容する時代となっている。
日本は、労働人口の減少といった社会課題を抱える「課題先進国」だ。これをデジタルの力で、より良い解決策と新たな方向をつくっていくことが重要になる。
■データの活用
デジタル技術で膨大なデータを集めて、色々な結論を導き出すことができる。その知恵をうまく使って社会課題を解決していく。日本は、これを「ソサエティー5・0」という呼び方で推進している。日本経済の成長にも非常に重要なインパクトを与えうる。
データをより良い社会のために使うことが課題。健康寿命を延ばすことや社会インフラの維持管理などを重点分野に議論している。
- ソサエティー5.0
- 人類の5番目の大きな社会変化を指す。
- 過去 ソサエティー1.0=狩猟社会
- 2.0=農耕社会
- ↓ 3.0=工業社会
- 4.0=情報社会
- これから 5.0=超スマート社会