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【全編動画あり】2020年12月 菅義偉首相「感染対策の決め手がワクチン、接種体制整備に全力」

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 菅首相は22日、東京都内で開かれた読売国際経済懇話会(YIES)で講演し、新型コロナウイルスの感染拡大について「高止まり後に直近で増加に転じ、地域も広がっている」と危機感を示した。「感染対策の決め手となるのがワクチンだ」とも述べ、ワクチンの接種体制の整備に全力を挙げる考えを強調した。

 政府は、ワクチンの安全性や有効性を確認後、医療従事者や高齢者から順次接種する方針だ。首相は冷凍保存や輸送などの課題を解消するため、厚生労働省や国土交通省などによるチームを首相官邸に作ったことを明らかにし、「関係省庁を挙げて対策を講じている」と語った。

   

【英語版】Prime Minister Suga’s speech at the Yomiuri International Economic Society (YIES) on Dec. 22.

   

 さらに、「年末年始は医療機関も体制を縮小せざるを得ない時期だ。静かな年末年始を過ごしていただくという形で国民の皆さんの協力を得ながら、何とか感染拡大を食い止めたい」と述べ、感染封じ込めへの決意を示した。

また、首相は「自動車から排出される二酸化炭素をゼロにすることを目指す」と表明した。2050年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標に向け、電気自動車(EV)や水素を使う燃料電池車(FCV)の普及を軸に進めていく考えを示したものだ。

皇居・三の丸尚蔵館の収蔵品貸し出し強化、地方観光の起爆剤に

 菅首相は22日、読売国際経済懇話会(YIES)での講演で、皇居・三の丸尚蔵館の収蔵品を地方の美術館や博物館に貸し出す取り組みを強化し、「地方観光の起爆剤」にする考えを示した。同館の収蔵品を巡っては、文化庁、宮内庁、読売新聞社による「紡ぐプロジェクト」が2019年から展覧会で公開している。

 同館は、江戸時代の絵師・伊藤若冲(じゃくちゅう)の絵画など皇室で代々受け継がれた約9800点を収蔵する。首相は「わが国は内外の観光客に知られていない素晴らしいコンテンツ(素材)がある。最たるものが文化財や美術品だ」と述べ、「今後4年間にわたり、全国各地で毎年4か所以上の展覧会を実施する予定だ」と語った。21年は京都国立博物館で紡ぐプロジェクトの展覧会が開かれるほか、宮城県、和歌山県、宮崎県の3か所で開催が予定される。

講演要旨

経済再成長 私の宿題

 バブル崩壊後、我が国の経済、社会が抱える様々な問題について「少子化、高齢化が止まらない」「日本企業のダイナミズムが失われている」「IT、デジタルの流れに乗り遅れている」「新たな成長の原動力となる産業が見当たらない」と言われてきた。長年先送りしてきた「宿題」として残っている。アベノミクスで日本経済はバブル期以来の好調を取り戻した。だが、ポストコロナ時代で日本経済が再び成長し、世界をリードするために、これらの宿題に答えを出すのが私の内閣だ。

■コロナ対策

 国内の新型コロナウイルス新規感染者数が先週末、3000人(1日当たり)を超え、観光支援策「Go To トラベル」を(年末年始に)全国で一度停止することにした。キャンセル代は、旅行代金の35%を国から事業者に支払うことにしていたが、50%に引き上げる。飲食店の時間短縮要請への協力金は、従来の倍の1か月120万円にした。

 医療機関についても今回の経済対策で1兆4000億円の追加支援を行い、コロナ対応の病床確保を支援する。コロナに対応する医療機関へ派遣される医師、看護師への支援額も倍増する。看護師が本来業務に専念できるよう、清掃事業の経費も国で支援する。

 感染対策の決め手となるワクチンは安全性・有効性を最優先することが大前提だ。(米製薬会社)ファイザーから承認申請があった。国内治験で来年2月までに主要データをまとめる。しっかり審査し、承認したものは、全額国の負担で接種する。

■脱炭素

 地球温暖化は、人類共通の危機と言われてきた。環境省と経済産業省の間で膠着こうちゃく状態が続いていたが、私は国内外の経済人、有識者らと情報交換する中で、グリーン社会に向けた世界の流れは避けることができないと認識した。攻めの姿勢で取り組むべきだと考え、就任後、いち早く「2050年カーボンニュートラル」を打ち出した。

 経済対策で、過去に例のない2兆円の基金を創設し、野心的な技術革新に挑戦する企業を今後10年間、継続して支援する。対象は、軽くて薄い次世代の太陽光発電技術や、二酸化炭素を回収し、建築材料や燃料として再利用する技術など。低コストで水素を大規模に製造、流通させ、飛行機などのエネルギーとして利用する技術も対象にしたい。

 再生可能エネルギーの抜本的導入と拡大を進める。風力発電を2030年に約1000万キロ・ワット、50年に4000万~5000万キロ・ワットにすることを目標にする。風力発電コストを、早期に他の電力源に遜色ないレベルまで下げる。自動車から排出される二酸化炭素ゼロを目指し、電気自動車などを最大限導入するため、制度や規制を構築する。

 2050年カーボンニュートラル 菅内閣が掲げた地球温暖化対策の目標で、50年までに二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量と森林整備などによる吸収量をプラスマイナスゼロの状態(炭素中立)として、「排出実質ゼロ」を目指すこと。石炭火力発電所の休廃止や太陽光など再生可能エネルギーの導入促進、自動車の電動化などが達成のカギとなる。

■デジタル化

 デジタル化の司令塔として、デジタル庁を設立する。来年秋の始動を目指す。首相直属の組織とし、情報システムの関係予算を一元的に所管させ、各省庁に勧告、是正ができる強い権限を持たせる。民間から100人規模の高度な専門人材を迎え、官民を行き来しながらキャリアアップできるモデルを作る。公務員の採用枠にデジタル職を創設する。

 マイナンバーカードは、保険証との一体化を来年3月から始め、2024年までに運転免許証と一体化する。マイナンバーのシステムを管理する法人を改革し、来年夏からポータルサイトで自分の情報に24時間アクセスできるようにする。

 デジタル化のカギとなるのは送受信のデータ量、速さ、通信の安定度だ。ポスト5G、次世代の6Gの技術で世界をリードできるよう、官民一体で研究開発を進める。

日米同盟 外交の基軸

■医療費

 後期高齢者が医療機関を利用した場合の負担を、1割から2割に引き上げるのは、安倍政権から引き継がれた課題だった。与党内でも様々な意見があったが、私は、医療制度の将来を考えた場合、高齢者と若者が互いに支え合う仕組みを作るべきだと考えた。最終的に私と公明党の山口代表で、年収200万円以上の人に2割負担をお願いするということで決着した。これで現役世代の保険料負担が740億円減る。

■外交

 日本外交の基軸は、日米同盟だ。先月のバイデン次期大統領との初の電話会談では、日米安全保障条約5条の尖閣諸島への適用、日米同盟の強化、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力を確認した。安保条約については、初の電話会談で先方から言及があるとは、正直、想定していなかった。

 バイデン氏とは国会日程次第だが、出来る限り早い時期に会い、日米同盟の強化に向けた連携のみならず、コロナ対応や気候変動問題など、国際社会共通の課題の協力も話し合いたい。内閣の最重要課題である北朝鮮による日本人拉致問題について、一連の国際会議で多くの首脳から理解と協力を得られた。バイデン氏とも拉致問題での日米連携をさらに深めていきたい。

 日米同盟を基軸に「自由で開かれたインド太平洋」を実現する取り組みを戦略的に進め、中国をはじめ近隣諸国との安定的な関係を築く。この日本外交の基本方針に変わりはない。首脳外交も活用し、積極外交を戦略的に進めていく。

 コロナで国際社会の連帯が弱まりかねない状況にあるからこそ、日本はリーダーシップを発揮し、多国間主義を重視する決意だ。我が国は来年、環太平洋経済連携協定(TPP)の議長国だ。質の高い経済ルールを世界に広げ、世界貿易機関(WTO)、世界保健機関(WHO)など国際機関を通じ、団結した世界の実現を目指し、ポストコロナの秩序作りを主導する。

■東京五輪

 夏には、世界の団結の象徴となる東京五輪・パラリンピックを開催する決意だ。復興五輪として、被災地が復興を遂げる姿を感謝の気持ちを込めて世界へ発信する。「人類がコロナを克服した証し」として、世界の人々を勇気づけ、感動を与える大会となるよう感染対策を万全に準備を進める。

地方所得 引き上げる

■企業改革

 企業が未開拓の成長分野に進出し、成長の担い手となる新たな中小企業やベンチャー企業が育つ環境を作り出すのも、長年の課題だ。女性、外国人、中途採用の登用を促進し、多様性のある職場、しがらみにとらわれない経営の実現に向けて改革を進める。

 大企業で経験を積んだ人を、地域の中堅・中小企業の経営陣として紹介する取り組みを始めた。海外の金融人材を受け入れ、日本にアジアや世界の中心となる国際金融センターを作ることも、長い間言われてきた。日本には、良好な治安と生活環境、1900兆円の個人金融資産など強みがある。

■地域活性化

 地方の所得を引き上げ、消費を活性化しなければ、日本全体が元気にならない。

 官房長官時代から観光と農業改革に力を入れてきた。訪日客数は年間836万人から、昨年3200万人と4倍に。農産品の輸出額は年間約4500億円から昨年、約9000億円に倍増した。これで昨年、27年ぶりに地方の地価が上がった。本当にうれしいことだった。

 コロナを機に地方で暮らしたい人が増えている。500億円の補正予算で、来年度中に離島を含めた日本の隅々まで光ファイバーを整備する。テレワークの妨げになるのが、行政への申請におけるハンコだ。河野行政・規制改革相のもと、行政手続きで必要な押印の99%以上の廃止を決定した。

■少子化

 費用が多額で不妊治療が受けられない人に寄り添い、出産を希望する人に応えたい。不妊治療の保険適用を2022年度から始め、男性の不妊も対象にする。助成額の上限を今までの倍の一律30万円で6回までとし、2人目以降も同様とする。来年実施できるよう、補正予算に計上した。不育症患者や、小児、AYA世代のがん患者などへの支援も推進する。

 待機児童は今年、調査開始以来最少の1万2000人となった。解消を目指し、幼稚園やベビーシッターを含む、地域のあらゆる子育て資源を活用する。女性の就業率上昇も見込み、今後4年間で14万人分の保育の受け皿を整備する。

 男性の育児休業取得を促進する。今年度から男性国家公務員に1か月以上の育児休業の取得を求める。男性の子育てを促進する制度を検討し、来年の通常国会に法案を出したい。全国の小学校で40人学級を35人学級とすることを決めた。40年ぶりの全学年での人数引き下げだ。担任の先生が、きめ細かく子どもの状況を把握できるようになる。

質疑応答

――「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、具体的にどう考えるか。

 「私が首相就任後、初めて日本を訪れたのが、豪州の首相だ。日本、米国、豪州、インドの4か国は民主主義国家であり、その団結を固めた上で、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国と連携するのが極めて大事だと認識している。私は初めての海外訪問で、ASEAN議長国であるベトナムと、大国インドネシアを訪れた。日米豪印の4か国を中心に、ASEAN諸国との連携をさらに密なるものにしていきたい」

紡ぐプロジェクト

 一昨年から文化庁、宮内庁、読売新聞社で「紡ぐプロジェクト」を始めた。文化財を各地の国立博物館で展示し、収益や企業からの協賛金を文化財の保存、修理に充てる。昨年、東京国立博物館の展覧会には1か月で10万人が来訪した。

 展示会には、皇室ゆかりの素晴らしい品々を収蔵する三の丸尚蔵館が出品した。皇居の中にある宮内庁の施設だが、江戸時代の絵画で極めて有名な伊藤若冲作は31点、所蔵されている。鎌倉時代の「蒙古襲来絵詞えことば」や藤原定家の(写本した)「更級日記」など収蔵品は約1万点に上る。展示スペースを現在の8倍に拡充すべく、5年後の完成を目指し、昨年から工事を進めている。

 収蔵品を地方の美術館に展開し、地方観光の起爆剤にするプロジェクトが進んでいる。今後4年間、全国各地で毎年4か所以上の展覧会を実施する予定だ。来年は国立博物館のほか、宮崎、和歌山、宮城で開催を予定している。

(2020年12月23日朝刊)

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