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    遮断機なし踏切 事故多発 東海2か所改善検討

    • 死亡事故の起きた坊主山踏切。人通りはほとんどないが、「地元住民には必要」との声も(鈴鹿市庄野町で)=南条哲治撮影
      死亡事故の起きた坊主山踏切。人通りはほとんどないが、「地元住民には必要」との声も(鈴鹿市庄野町で)=南条哲治撮影

     遮断機のない踏切(第3、4種踏切)での死亡事故が2014年度以降、全国の36か所(9月末時点)で発生していたことが運輸安全委員会のまとめでわかった。うち、東海3県では2か所。安全委は事故のたび、報告書で安全対策を求めてきたが、付近住民の生活道路としての需要や事業者への設置にかかる費用負担がハードルとなっており、改修や廃止はなかなか進まない。

     

     

     

     

    ■「農地所有者に必要」

     

     三重県鈴鹿市のJR関西線・坊主山踏切(警報機もない第4種踏切)で1月、バイクの男性が快速列車にはねられ、死亡した。安全委は9月に公表した報告書で「地形的に見通しが制約されている」と指摘した。

     安全委は「第4種踏切は廃止するか、保安設備(遮断機や警報機)を整備すべきだ」とし、坊主山踏切は交通量が極めて少ないことから、JR東海や道路管理者の鈴鹿市、住民で廃止検討の協議を求めた。

     市が3月、踏切の存廃を地元に尋ねたところ、「線路をまたぐ農地の所有者もおり、踏切は必要」との意見もあった。市は「住民の利用がある以上、市として廃止は求められない」、JR東海は「踏切の立体交差化や統廃合も含め、自治体と協議していく」とする。

     

    ■事故率1.4倍

     

     国土交通省によると、過去4年間の全ての踏切事故を分析すると、「第3、4種」では100か所当たり0.94件で、遮断機・警報機のある「第1種」の1.4倍に上った。

     死亡事故は今年9月末までに、JRやローカル鉄道の計15事業者が管理する21道県の踏切で計36件発生している。東海3県では坊主山踏切のほか、16年6月に岐阜県本巣市の第3セクター・樽見鉄道の踏切(第3種)で軽乗用車の女性が死亡した。

     

    ■1か所1300万円

     

     しかし、改善はなかなか進んでいない。

     第1種に改修するには高額の費用がかかる。国交省によると、警報機と遮断機は本体価格だけで1か所1300万円以上かかる。補助制度はあるが、設備費の半分までしか補助されない。同省中部運輸局によると、愛知、岐阜、三重の3県の踏切は17年度末現在で3596か所あり、第3、4種は約8%の301か所だが、財政的に余裕のないローカル鉄道ほど、その割合は高い。

     踏切全72か所のうち、第3、4種が約4割に上る樽見鉄道は来年度中に、死亡事故のあった踏切に遮断機を設置し、第1種化する方針。整備費など500万円は国、県・本巣市と3分の1ずつ負担する予定だ。担当者は「安全のため3、4種は極力減らしたいが、一気に改修するのは財政的に難しい」と頭を悩ませる。

     都市交通政策に詳しい竹内伝史でんし・岐阜大名誉教授は「高齢化が進む中で鉄道サービスを維持するためにも、設置費の補助を拡充して鉄道事業者の負担を軽くするべきだ。当面の対応策として、自動車だけ通行禁止にするなど交通規制によって事故を回避できるのではないか」と指摘する。

     

    <遮断機のない踏切> 警報機だけがある「第3種」と、遮断機も警報機もない「第4種」がある。国土交通省によると、2017年度末時点で、警報機・遮断機つきの「第1種」が全国で2万9801か所、第3種は723か所、第4種は2726か所。係員が遮断機を操作する「第2種」は現在、存在しない。

    2018年10月11日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    
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